「チャレンジしたい。でも、奥さんの許可がないと…」
そんなふうに、心のアクセルを踏めないまま、時間だけが過ぎていませんか?
コーチングの現場では、こんな言葉を何度も耳にします。
新しい一歩を踏み出したい。でも、パートナーの反応が怖い。反対されたら止まってしまう。
愛情とも、恐れとも、自信のなさともつかないその感情。
今回は、そんな“奥さん”をめぐるあるセッションの記録です。
「奥さんの許可がないと動けないんです」
クライアントは40代の男性。
仕事も家庭も一見安定しているけれど、心の奥には「このままでいいのか?」というモヤモヤがある。
新しい挑戦をしたい気持ちはある。けれど、セッションの中で何度も口にされたのは、こんな言葉でした。
「まずは奥さんの許可がないと…」
「奥さんが反対したら、もう無理で…」
「自分だけで決めるのは気が引けて」
まるで人生のハンドルを、自分ではなく“奥さん”が握っているかのような感覚。
でも本当に、それは“奥さんの問題”なのでしょうか?
「…僕、一人で空回りしてただけかもしれません」
対話を重ねていくうちに、クライアントの言葉が少しずつ変わってきます。
「もしかしたら…僕が勝手に、自分の不安を奥さんのせいにしてただけかもしれません」
その言葉が出た瞬間、空気がふっと変わりました。
他人の意見を理由にしていたけれど、本当は自分が怖かった。
失敗すること、自分の選択に責任を持つこと。
その不安に向き合うのが怖くて、“許可”という言葉を盾にしていたのかもしれません。
「奥さんってどんな存在ですか?」という問いに
セッションの終盤、こちらからひとつ質問をしました。
「あなたにとって、奥さんってどんな存在ですか?」
クライアントは少し考えたあと、こう答えました。
「親友ではないですね。戦友、です」
「戦友…ですか?」
「はい。背中合わせで鉄砲を構えてるようなイメージです。運命共同体。でも、何と戦っているのかは…正直、分かっていませんでした」
戦っている相手がはっきりしなくても、黙って一緒に立ってくれる人がいる。
そのことに、クライアントはようやく気づき始めたのです。
本当に求めていたのは、“許可”ではなかった
「なんだか、すっきりしました。今やるべきことが見えた気がします」
そう語るクライアントの表情は、来たときとはまるで別人のようでした。
誰かに背中を押してもらわなければ進めないと思っていたけれど、
実は最初から、背中を“預けられる”存在はそこにいたのです。
“許可”をもらうことが、愛ではありません。
“支えてくれている”ことに気づけることこそ、信頼のはじまりなのかもしれません。
【まとめ】
戦う相手が分からなくても、隣に立つ人がいる。
人はときに、何と戦っているのか分からないまま、毎日を生きています。
焦りや不安、社会的な期待、自分自身への問いかけ。
それに名前がつけられなくても、誰かが隣に立ってくれるだけで、少しだけ強くなれる。
夫婦って、“役割”ではなく“姿勢”なんだと思います。
どちらが決めるか、ではなく、どちらが信じるか。
許可じゃなく、信頼。支配じゃなく、尊重。
そして気づいたとき、自分もまた、誰かの“背中を守る存在”になれていたら。
あなたも、新たな一歩が踏み出せるはずです。