中小企業経営のための情報発信ブログ465:本の紹介 5%社員の習慣

記事
ビジネス・マーケティング
今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
今日は、越川慎司著「AI分析で分かったトップ5%社員の習慣」(ディスカヴァー トゥエンティーワン)という本を紹介します。
越川氏は、「トップ5%のリーダー」と「残念なリーダー」との特徴的な違いがAI分析で明確になったと言い、次のようなトップ5%リーダーの特徴を挙げています。
1.やる気を当てにしない「仕組み」を確立する
 越川氏は、5%リーダーは、チーム目標の達成に向けてのプロセスの中に、「チームメンバーにやる気(モチベーション)があるかどうか」という要素を入れないと言います。つまりチームメンバーにやる気がなくても、5%リーダーがプロセスが実行できるような「仕組み」を作るということです。
 確かに、残念なリーダーのようにメンバーのやる気だけを当てにするようではいけませんが、いくらやる気がなくても回るプロセスを作ったところで、メンバーにやる気がなければ、その仕組みも上手く動かないように思います。メンバーのやる気(モチベーション)を軽視するわけにはいきません。組織というものは「仕組み」だけで動くものではありません。経営資源の中で最も重要なのは「ヒト」です。最も重要な経営資源である「ヒト」がやる気を出して動くからこそ組織も効率的に動くのです。だからこそ、経営理論(マネジメント論)の中で、モチベーションをいかに高めるのかといった様々なモチベーション論が主張され、展開されているのです。
 ここでは、「5%リーダーはつま先立ちでギリギリ届くゴールを設定する」と言い、これを一つの「仕組み」と捉えています。届くかどうかわからない遠いゴールを設定しても、メンバーのモチベーションは上がりません。努力すれば手が届くところに目標があれば、メンバーのやる気を誘発します。「つま先立ちでギリギリ届くゴールを設定する」のは、「仕組み」というよりも、メンバーのモチベーションを高める一つの方法なのです。
2.人を巻き込み、1+1を5にする
 越川氏は、5%リーダーは、「どうやって組織をつくっていくのか」「どうやって問題を解決するのか」という「How」の考えを捨て、「Why(なぜ)」にこだわると言っています。このことは、以前5W1Hについて書いた際にも「Why(なぜ)」の重要性を指摘したとおり、間違ってはいません。ただ、その時にも指摘しましたが「why?Why?」ばかりでは答えは見つかりません。「Where? When?  What? 」とまずは問題の所在を明らかにして、それから原因探究に向かい、最後にどのように解決するのかを検討するのが良いのです。
 5%リーダーは「短期で成果を出す」のではなく、「長期で成果を出し続ける」と言います。これは当然のことです。企業というのは、ゴーイング・コンサーンで、持続的に成長し続けなければなりません。企業の一翼を担うリーダーに長期的視点に立った成長戦略が求められるのは当然のことです。だからこそ、部下の育成も重要となるのです。
3.異質同士の新結合でイノベーションを起こす。
 越川氏は、5%リーダーは「異質同士の組み合わせ」を行うと言っています。先行きが見えないVUCAの時代には多様な人材を組み合わせて仕事に向かわせることが重要な意味を持ちます。5%リーダーは、各人の強み、弱みを把握し、これらを上手く掛け合わせて大きな成果を上げるのです。
 成果を出す優秀なメンバーにも弱みはあります。その弱みを他のメンバーが補完し、組織全体の成果を2倍、3倍にするのです。また、成果の出ないメンバーでは、メンバーの強みを把握し、その強みを伸ばすのです。
 あらゆる面で、チーム内の強み、弱みを掛け合わせることによって人間関係をも良好にしていくのが5%リーダーです。
4.ストイックにならない
 5%リーダーの目的は、メンバー各人が考えながら自走する組織を創ることで、自分自身が強力なプレイヤーになることではありません。
 以前「有能なリーダーと人気のリーダーの違い」で書きましたが、自分が率いるメンバーと同じ仕事をするのではなく、メンバーを率いて仕事をさせることが有能なリーダーの役割です。自らがストイックに業務を遂行するのではなく、チーム全体を上手く取りまとめ、正しい方向に導いていくのが5%リーダーです。
5.根回しを構造化する
 5%リーダーは、社内のパワーバランスや出身、積極さ、社内人脈などを把握し、誰を巻き込んでいくかを構造化しています。相手に興味や関心があることをアピールして、自己開示で相手の心を開かせるなどして、戦略的に根回しをします。
 5%リーダーは、常にチームの目標達成を考えており、適切な情報共有と教育が重要であることを理解しています。
 ここでの内容は間違っているとまでは思いませんが、あまりにも根回しばかりに気が取られているようでは、リーダーとして失格です。意識的に根回しをするのではなく、普段の行動の中で色々な人が自然と集まり、色んな人を巻き込んで、自然と情報共有ができてこそ、優秀なリーダーです。5%リーダーは自ら意図的に根回しせずとも自然と根回しできているものです。
6.「伝える」ではなく「伝わる」を目指す
 5%リーダーのコミュニケーション術は「伝える」ではなく「伝わる」を目指していると言っています。
 コミュニケーションにおいて大切なのは、お互いが共感し、より良い人間関係を構築することです。これは5%リーダーだけでなくすべてのビジネスパーソンに必要なスキルです。自分の思いが相手に伝わり、相手から共感を得てよいよい人間関係、信頼関係を築くのです。そのためには「伝える」ではなく「伝わる」ことが大切です。これこそが真のコミュニケーションです。
7.「やめること」を決めて、新チャレンジを
 リーダーは多くに仕事に忙殺されています。優先順位を設定することなく、降ってくるタスクにそのまま対応することは生産的ではありません。優先順位を決めることは重要ですし、時には切り捨てることも必要です。
 5%リーダーは、日常的に発生する目先の緊急業務と距離を取りながら、長期的な目標達成に向けて進捗を管理することが必要です。
 時間自体には限りがあります。限りある時間の中で、何か新しいタスクが降ってきたり、新たなチャレンジをしていくには、「やめることを決める」ことが重要になってきます。
8.うなずきのバリエーションが5つ以上ある
 5%リーダーは「聞き上手」であると言われます。以前にも書きましたが、「雑談は質問力」、コミュニケーションは質問から始まります。質問をして相手の答えを聞く、それを掘り下げてまた質問する、時々自分の話をするのです。相手の話を聞くには、「頷くこと」も「間の取り方」も重要です。
 越川氏は、5%リーダーは「はい」「なるほど」「そうですね」「運」「やっぱり」など、多彩なうなずきのバリエーションを持っていると言っています。
ここに挙げられている5%リーダーの特徴は、すべてが正しいとは思いませんが、大筋においては間違いはなさそうです。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す