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今日は「リーダー」「リーダーシップ」について書いていきます。」
かつて中国特任全権大使を務めた伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏はその著書「社長って何だ!」(講談社現代新書)の中で、「組織のリーダーは『二重人格者』であるべき」という趣旨のことを言っています。
丹羽氏によれば、人間には感情的な面と論理的な面があり、リーダーは、その両方を常に見届けることが必要で「昼はジキル、夜はハイド」でなければならないというわけです。つまり、リーダーには相手を思いやる心(温情)と時に冷たく突き放す冷酷さが必要だということです。
そこで、中小企業の経営者に必要な資質、リーダーシップについて考えてみたいと思います。
1.リーダーシップとは? まずは「リーダーシップ論」から
リーダーシップとは、集団に目標達成を促すよう影響を与える能力のことを言います。
リーダーについて、かつては①肉体的資質②知的な資質③道徳的な資質④一般教養⑤専門知識⑥経験など個人の特性を把握しようとする特性論が有力な時もありました。
現在ではリーダーの行動を中心に考える行動論が主流になっています。
それでは、どのようなリーダーが組織をうまく動かせるのでしょうか?
中小企業においては、ワンマン的な経営者が多いと思います。資金繰りから営業まですべてを社長自らが率先して行わなければならないということからもやむを得ないところです。
しかし、このような専制的なリーダーは短期的には高い生産性を上げますが、長期的には従業員の反感を増加させ(場合によっては従業員が辞め)、生産性が低下するといった悪影響が出ます。
一種カリスマ的なリーダーシップを発揮できる経営者であればその人一代のうちは良いのですが、二代目以降で経営が悪化し、事業の継続といった面で問題を残します。逆に従業員参加的(民主的)なリーダーシップでは、短期的には生産性は低いものの長期的には従業員のモティベーションが高まり生産性が向上すると言われています。
リーダーシップについては、オハイオ実験、ミシガン実験など多くの実験が行われ、おおむね従業員中心型のリーダーシップは高生産性を、職務中心型のリーダーシップは低生産性をもたらすとされています。
ただ、いかなる場合にも当てはまる最適なリーダーシップ行動は存在せず、どのような条件の下でどのような行動が有効かが重要です(コンティンジェンシー理論)。
そのうちのSL理論によれば、①構成員の成熟度が低い場合には指示的リーダーシップ(高タスク志向・低人間関係志向)②構成員の成熟度が中低の場合には説得的リーダーシップ(高タスク志向・高人間関係志向)③構成員の成熟度が中高の場合には参加的リーダーシップ(低タスク志向・高人間関係志向)④構成員の成熟度が高い場合には委任的リーダーシップ(低タスク志向・低人間関係志向)が適切であるとしています。
このようにリーダーは、条件によってとるべき行動を変えなければならず、丹羽氏がおっしゃられるように、リーダーは「二重人格者」でなければならないでしょう。もしかしたら、「二重人格者」では不十分で「多重人格者」である必要があるかもかもしれません。
2.「組織を腐らせるリーダー」から考えるリーダーの資質
1.では経営学の「リーダーシップ論」からリーダーシップについてみましたが、ここからは理論を離れ、具体的にリーダーシップ、リーダーの資質について書いていきます。
企業経営にとってリーダーシップは重要です。企業がパフォーマンスを上げるために重要なのは「組織を引っ張るリーダー」の存在です。
リーダーがイマイチでも何とかなっている会社はありますが、それは「何とかなっているだけ」です。健全に成長している企業には素晴らしいリーダーが必要なのです。
素晴らしいリーダーとはどのようなリーダーでしょうか?
ここでは、逆に「組織を腐らせるリーダー」の特徴から優れたリーダーの本質に迫っていきます。
まず組織を健全に成長させるためには、次の3つが必要です。
Ⅰ:魅力的なビジョンを物語る
Ⅱ:ビジョンを実現するための戦略をつくり、実行する
Ⅲ:組織全体がそのビジョンに賛同し、集中できる基盤を創る
これらができないリーダーが組織を腐らせていくのです。
従って、組織を腐らせるリーダーは
Ⅰ:魅力的なビジョンがない = 考えることができない。
Ⅱ:戦略の策定と実行ができない = 口だけで手足が動かない
Ⅲ:組織が動かない = 人望がない
の3つに集約できます。
どこの世界でもこうしたトップや上司はいますね。わが国の最近のトップも見事なまでにこの3つに当たっていたと思うのですが・・・これで国が腐ると一番迷惑を被るのは国民です。それは企業でも同じです。企業が腐ると従業員だけでなく、株主、取引先、消費者といったステークホルダーや社会も迷惑を被ります。
【組織を腐らせるリーダーの特徴1】 考えることができない
組織を率いるためには、将来ビジョンや全体戦略、財務、人事、システム、営業、カスタマーサポートなど、すべてを詳細まで把握することは不可能ですが、全体観を持ちつつ、現状の把握、問題点の抽出、打ち手の提案など実施しなければなりません。ある程度細かいところは任せていいのですが、大事なところはトップが決める必要があります。
実際に何が起きているのか、その本質を見抜くことができず、何がよいのか何が悪いのかもわからない、物事をしっかりと考えて判断・決断することができない者がトップになった瞬間、組織は全く動かなくなってしまいます。
何故、こうした人材がトップになるのでしょうか?
基礎的な考える力を鍛えず、英語やプレゼンなど見栄えの良いスキルのみを磨きつつ、波風立てない性格がうまくマッチして、上司に気に入られて昇進していくからです。
人材の育成は極めて重要です。まずは、考える力のある人材を育てなければなりません。
【組織を腐らせるリーダーの特徴2】 口だけで手足が動かない
トップは単に意思決定して命令しているだけではいけません。すべてを自分でする必要はありませんが、現場レベルではどうしても進まなくなったプロジェクト、非常につらい意思決定(事業撤退、組織規模縮小など)については、リーダーが率先して取り組む必要があります。
「○○の意見を聞かないと」「もう少し状況を見てから」などと言って先延ばしする、あるいは口では「分かった」と言いながら、特に何のアクションも起こさない、そういうトップは駄目です。
端的に言うと「行動力がない」ということですが、そもそも何をすべきか、何が危機なのかもわからないため(特徴1の考える力がないため)、「行動しなければ」といった切迫感を本当の意味で持てていないのです。
【組織を腐らせるリーダーの特徴3】 人望がない
考える力もなく、自ら火事場に飛び込む(行動する)覚悟もないため、もちろん現場や中間管理職からも総スカンを喰らっています。いくらミーティングで「私はリーダーとして皆さんの声をしっかり聴いて経営していきます。顧客第一で更なるサービス改善に、全社一丸となって取り組みます」と高らかに宣言しても、社員はみな白けています。
考える力も行動力もない者が、いくらジョブズの名言やドラッカーの経営哲学を引用して滔々と語ったとしても社員の反応は(笑)だけになります。このようなトップの下ではモチベーションも、エンゲージメントも上がりません。「言われたこと」はやるが、それだけです。そのような組織がお客様を感動させるサービスや商品を生み出せるはずはありません。
今日は、リーダーシップについて、「リーダーシップ論」に触れたうえで「組織を腐らせるリーダー」という側面から見てみました。ここから見えてくるのはリーダーに必要な資質、それは「考える力」「行動力」「人望」の3つということになります。
これらはリーダーだけでなく、すべてのビジネスパーソンに必要な資質でもあります。お互い磨いていきましょう。