介護が始まると転職活動はどう難しくなるのか

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「今の会社が厳しくなったら、転職すればいい」
そう考えている方は少なくありません。
もちろん、その考え方自体は間違いではありません。

ただ、親の介護が始まると、転職はできなくなるというより、やりにくくなる条件が一気に増えるようになります。

実際、介護をしている人は628.8万人、そのうち有業者は364.6万人で、介護をしている人の58.0%が働いています。さらに、介護・看護のために過去1年間に前職を離職した人は10.6万人でした。つまり、転職を考える前に、まず「働き続けること自体」が揺らぎやすい現実があるのです。

もともと45歳以降の転職は、若い頃より『余裕勝負』になりやすい

転職そのものが不可能になるわけではありません。
ただ、年齢が上がるほど、勢いだけでは動きにくくなります。

厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、2024年の転職入職率は、男性で20~24歳が10.0%なのに対し、45~49歳は6.0%、50~54歳は5.1%、55~59歳は5.4%でした。女性も20~24歳が20.4%に対し、45~49歳は10.7%、50~54歳は8.2%、55~59歳は7.6%です。

数字だけで「転職しにくい」と断定はできませんが、少なくとも40代後半から50代は、20代より実際の転職入職率が低く、条件やタイミングの影響を受けやすい年代だといえます。

転職活動は、思っている以上に『細切れ時間』では進みにくい

就業構造基本調査では、「仕事を探したり、準備したりしている」とは、求人サイトを見る、応募する、職業紹介所に申し込む、結果を待つ、開業準備をする、などを含むと定義されています。

つまり転職活動は、単に「気が向いた時に求人を見る」だけではなく、応募、面接調整、情報収集、比較検討まで含めた、ある程度まとまった心身の余裕が必要な行動です。

ここに親の介護が入ると、この余裕が先に削られます。
病院からの電話、通院付き添い、入退院対応、家族との連絡。

こうしたことが始まると、転職活動に必要な

時間
集中力
スケジュールの自由度

が、思っている以上に失われやすくなります。

特に50代は、介護と仕事の両立だけで手一杯になりやすい

介護をしながら働いている人は、年齢別にみると50代に厚く集まっています。

令和4年就業構造基本調査では、介護をしている有業者は、45~49歳で39.5万人、50~54歳で70.4万人、55~59歳で82.2万人でした。
さらに、令和3年社会生活基本調査でも、ふだん家族を介護している人は50~59歳が最も多いとされています。つまり、転職活動を落ち着いて進めたい年代と、親介護が重なりやすい年代が、かなり重なっているのです。

だから、介護が始まってからの転職活動は、
「次を探す」ことより前に、
「今の生活を何とか回す」ことにエネルギーを使い切りやすい。
ここが、一番しんどいところだと思います。

親と離れて暮らしている人ほど、勤務地や働き方の条件が狭まりやすい

転職が難しくなるのは、時間の問題だけではありません。
選べる条件の幅も狭まりやすくなります。

内閣府の令和7年版高齢社会白書では、65歳以上の一人暮らしは増えており、令和2年時点で、65歳以上人口に占める割合は男性15.0%、女性22.1%でした。親が一人暮らしで、子どもが別の地域で働いているケースは、もう珍しくありません。

こうなると、転職先を考える時にも、

出張が多い仕事は難しい、
遠方勤務は選びにくい、
急な呼び出しに対応しづらい仕事は避けたい、
在宅や柔軟勤務を優先したい、

という条件が増えます。

つまり介護が始まると、転職活動は「どこへ行きたいか」だけではなく、
どこなら親対応と両立できるかで選ばざるを得なくなることがあるのです。

しかも、転職しても収入が上がるとは限らない

もう一つ見落とされやすいのが、転職後の収入です。

厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、2024年の転職入職者の賃金変動を見ると、45~49歳では前職より賃金が「増加」した割合が46.4%、「減少」した割合が23.8%でしたが、50~54歳では増加39.0%、減少28.2%、55~59歳では増加27.4%、減少36.6%となっていました。

つまり、50代後半では、転職後に賃金が減る人の割合が増える側を上回っています。

介護が始まってからの転職は、

時間の制約が増え、勤務地や働き方の条件も狭まり、収入面でも妥協を迫られやすい。この三重苦になりやすいのです。

介護休業があるから大丈夫、とは言い切れない

もちろん、介護休業や介護休暇は大切な制度です。
厚生労働省の特設サイトでは、介護休業は対象家族1人につき3回まで、通算93日まで利用できるとされています。

ただ、この制度があるから転職しやすくなる、という単純な話ではありません。

むしろ現実には、
まず今の仕事を続けるために制度をどう使うか、
親の初動対応をどう整えるか、
その上で本当に転職が必要か、

という順番で考えた方が安全です。

介護が始まった直後は、転職判断まで一気に進めるには負荷が大きすぎる。
だからこそ、介護が始まる前の準備が大切になってきます。

では、どう備えればいいのか

私は、介護が始まる前に、転職のためというより、転職しなくても済む余地
と転職が必要になった時に動ける余地の両方を残しておくことが大切だと思っています。

そのためにやっておきたいのは、次の3つです。

1.今の会社で使える制度を確認しておく
介護休業、介護休暇、在宅勤務、時差出勤、相談窓口。
転職の前に、いまの職場で調整できる余地を知っておくことです。

2.親の初動対応を整理しておく
通院先、緊急連絡先、保険証、重要書類、家族の役割分担。
ここが整っているだけで、仕事も転職活動も止まりにくくなります。高齢者の一人暮らしが増えている今、これはかなり重要です。

3.「転職するか」より先に「何があれば働き続けられるか」を考える
勤務地、時間の融通、収入ライン、介護との両立条件。
これを先に整理しておくと、介護が始まってからの判断がぶれにくくなります。50代では賃金減少のリスクも上がるため、条件整理は特に大切です。

まとめ

介護が始まると転職活動が難しくなるのは、
年齢だけのせいではありません。

転職活動に必要な余裕が削られる。
勤務地や働き方の条件が狭まる。
収入面での妥協も起きやすい。

この3つが重なるからです。

だからこそ、親の介護準備と終活は、「介護が始まってから考えるもの」ではなく、転職しなくても済む余地を残すために、前倒しで始めるものという見方が大切になります。

第20話では、
「キャリアの不安と親の不安を、別々に考えてはいけない理由」
というテーマで、この2つを切り離して考えると、なぜ判断を誤りやすいのかを掘り下げていきます。

まずは、親に何を・どの順番で・どう話せばよいかを一緒に整理してみませんか?

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