キャリアコンサルタントとして「誰を支援したいか」が少し見えてくると、次にぶつかるのがこの壁です。
「会社員向けでいくのか」
「介護と仕事の両立に悩む人に寄せるのか」
「複業希望者向けの方が自分らしいのか」
ここで多くの人がまた止まります。
でも実は、ここで必要なのは『大きな分類名』を決めることではありません。
本当に必要なのは、その中のどんな人の、どんな悩みに絞るかです。
「会社員向け」は広すぎる
たとえば「会社員向け」と言っても、悩みはまったく同じではありません。
若手社員の不安。
管理職の孤独。
役職定年が見えてきた50代の揺れ。
異動や人間関係のしんどさ。
今後の生活設計やキャリアプランの迷い。
JILPTの調査でも、この5年間で増えている相談内容は、「現在の仕事・職務の内容」「職場の人間関係」「今後の生活設計、能力開発計画、キャリア・プラン等」「部下の育成・キャリア形成」で、企業領域に多い相談内容へ重心が移っています。
つまり、今の時代に「会社員向け」と言うだけでは、広すぎて伝わりにくいのです。
絞るときは「属性」より「状況」で考える
テーマを絞るとき、多くの人はまず属性で考えます。
40代会社員。
50代会社員。
女性。
管理職。
介護中。
複業希望者。
もちろん属性は大事です。
でも、それだけだとまだ広いです。
本当に届きやすくなるのは、そこに状況を足したときです。
たとえば、
「40代後半で、このまま今の会社にいていいのか迷っている会社員」
「親の介護が始まり、離職は避けたいが働き方を整理できていない人」
「定年後を見据えて、好きなことを活かした複業を始めたい人」
こうなると、ぐっと具体的になります。
相談者は、自分に近い状況が見えた時に初めて「これは自分向けかもしれない」と思えるからです。
会社員向けに絞るなら、どこで切るか
会社員向けは広いですが、その分、切り口はたくさんあります。
たとえば、
今の仕事がしんどい会社員。
職場の人間関係で消耗している会社員。
役職定年や定年後を見据え始めた会社員。
部下育成や1on1で悩んでいる管理職。
学び直しや複業に関心がある会社員。
こうした切り方なら、「会社員向け」でもかなり輪郭が出ます。
JILPTでも、企業領域では「現在の仕事・職務内容」「職場の人間関係」「今後の生活設計・能力開発・キャリアプラン」「部下の育成・キャリア形成」が多いことが示されています。ですから、会社員向けを考えるなら、『転職支援』だけに寄せる必要はないのです。
むしろミドルシニアのキャリコンにとっては、『今の会社の中で揺れている人』の方が、自分の経験を活かしやすいことも多いです。
介護両立層向けは、悩みが深く、支援価値が伝わりやすい
介護と仕事の両立に悩む層は、テーマとして非常に強いです。
なぜなら、悩みが切実で、しかも一人で抱え込みやすいからです。
仕事を辞めるわけにはいかない。
でも親の状態も気になる。
きょうだいとの温度差もある。
制度は分かっても、現実の回し方が分からない。
将来への不安も大きい。
こうした悩みは、表面的な制度説明だけでは足りません。
働き方、家族関係、将来不安、罪悪感、現実的な段取り整理まで必要になります。
私自身は専門領域を、「シニアの世代の仕事と介護の危機を共に乗り越えるコンサルタント」として、介護離職や人材不足に悩む中小企業向けのコンサルティングも行っています。
このテーマの良さは、個人相談だけでなく、企業研修や啓発にも広げやすいことです。つまり、個人向けと法人向けの両方に育てやすいテーマでもあります。
複業希望者向けは、これから伸びやすい
複業希望者向けも、かなり狙いやすいテーマです。
特にミドルシニア世代は、
このまま会社一本でいいのか。
定年後の収入が不安。
好きなことを活かしたい。
生きがいと仕事を両立したい。
という気持ちを持ちやすいからです。
複業支援はニーズがあるのに、まだ支援者が十分ではない領域でもあります。
しかもこのテーマは、趣味や人生経験とつなげやすいです。
好きなことを活かしたい人。
夢中になったことを収入につなげたい人。
資格を眠らせず小さく始めたい人。
ロープレ相手、占い、自己理解支援、講座づくりなどから入りたい人。
こうした人たちに対して、かなり具体的な支援テーマをつくりやすいのが複業希望者向けの強みです。
絞るときは「誰」だけでなく「何に困っているか」まで言う
ここが一番大事です。
たとえば、「介護両立層向け」だけでは、まだ広いです。
でも、
「親の介護が始まり、離職は避けたいが、何から整理すればいいか分からない40代・50代」
まで言えると、かなり伝わります。
同じように、「複業希望者向け」ではなく、
「好きなことを活かして複業したいが、何を商品にすればいいか分からない45歳以上」
「会社員向け」ではなく、
「役職定年が見えてきて、この先の働き方を整理したい50代会社員」
こうなると、言葉が急に届きやすくなります。
つまり、テーマを絞るとは、対象名を決めることではなく、困りごとの輪郭を出すことなのです。
最初は一つに決めすぎなくて大丈夫
ここで安心していただきたいのは、最初から一生変わらないテーマを決める必要はないということです。
実際、支援をしていく中で、
会社員向けから介護両立層に寄っていく人もいます。
再就職支援から複業支援へ広がっていく人もいます。
複業支援から、実は自己理解支援や対人支援職のデビュー支援に広がることもあります。
大切なのは、広すぎるまま止まることではなく、いったん仮でも絞ってみることです。
絞ってみると、必要な発信、プロフィール、実績づくり、サービス設計がかなりやりやすくなります。
まとめ
会社員向け、介護両立層向け、複業希望者向け。
どれもテーマとして成り立ちます。
でも、本当に伝わるのは、そこからさらに一歩進めて、どんな状況にいる、どんな困りごとを持つ人かまで見えている時です。
JILPT調査でも、企業領域では「現在の仕事」「職場の人間関係」「今後の生活設計・キャリアプラン」「部下育成」といった相談が増えており、仕事の悩みはかなり多様化しています。
また、私の今までの経験からも、介護と仕事の両立支援、ミドルシニア支援、複業支援といったテーマに、まだ十分な支援が届いていない現実も感じています。
だからこそ、「誰向けか」だけで止めず、「その人は何に困っているのか」まで絞ることが、活動の軸づくりにはとても大切です。
「会社員向け、介護両立層向け、複業希望者向けのどこに寄せるべきか迷っている」「自分の経験を、どの困りごとに結びつければいいか整理できない」
そんな方は、まずは現状整理から始めてみてください。
テーマは、広く持つより、届く形に絞った方が動きやすくなります。
まずは今後の活動の軸を明確にしていくことから始めていきましょう。
ご相談はお気軽に