第9話で描かれた、骨肉の相続争い。 法定相続分を盾にした兄弟との泥沼の戦いは、心身ともにあなたを疲弊させました。 しかし、いざ遺産分割の実務に入ろうとした時、あなたは戦慄します。
親父の遺産、これだけのはずがない...。
生前、親はこう言っていました。
「最近は金利がいいから、退職金の大半はネット銀行に移したんだ」
あなたは、親の遺品であるスマートフォンを手に取ります。その画面の向こうに、数千万円の資産があるはずです。 しかし、画面には無情にも「パスワードを入力してくださいの文字。
何度試しても、エラー。ロックは開きません。 これが、現代の相続における新たな地獄、「デジタル遺品」の入り口です。
第一の地獄:存在すら証明できない「ステルス資産」
通帳があれば、どこの銀行にいくらあるか一目瞭然です。
しかし、ネット銀行には「通帳」がありません。
スマホが開かなければ、アプリも見られない。メールも見られない。
つまり、「どこの銀行に口座があるのか」すら、あなたには分からないのです。
「もしかして、楽天? SBI? それとも...?」
あなたは雲を掴むような思いで、片っ端から金融機関に問い合わせるしかありません。しかし、ネット銀行には「窓口」がありません。
電話は繋がりにくく、手続きはすべて郵送。本人確認書類、除籍謄本、印鑑証明...。
一つの銀行の残高照会をするだけで、数ヶ月の時間が溶けていきます 。
その間にも、相続税の申告期限(10ヶ月)は刻一刻と迫ってきます。
目の前にスマホがあるのに、その中の資産には指一本触れられない。 まるで資産が蒸発してしまったかのような錯覚と焦りが、あなたを追い詰めます。
第二の地獄:死してもなお課金され続ける「ゾンビ・サブスク」
資産が見つからないだけなら、まだマシかもしれません。
もっと恐ろしいのは、「見えない借金」が増え続けることです。
クレジットカードの明細を見て、あなたは青ざめます。 「月額980円」「月額1,500円」「ゲーム課金 5,000円」...
動画配信サービス、有料アプリ、健康食品の定期購入。
親が契約していた「サブスクリプション」が、親の死後も解約されず、毎月銀行口座からお金を吸い上げ続けているのです 。
「解約しよう」 そう思ってサービス会社に電話しても、返ってくるのはこの言葉。 「ご本人様のアカウントにログインして、解約手続きをお願いします」 「ご本人様のスマホに送った認証コードを教えてください」
スマホが開かない(=認証コードが見れない)あなたは、解約すらさせてもらえないのです。 これを放置すれば、数ヶ月で数万円、数十万円が無駄に消えていきます 。まさに、死してもなお追いかけてくる「ゾンビ」のような請求です。
解決策は「パスワードの共有」だけではない
「じゃあ、親にパスワードを聞いておけばいいのか?」 話はそう単純ではありません。セキュリティの厳しい現代、パスワードは頻繁に変更され、本人ですら忘れてしまう時代です。
必要なのは、パスワードそのものではなく、「スマホが開かなくなった時、どうするか」という事前の取り決めです。
主要なネット証券・銀行の口座リスト(IDまでは不要でも、銀行名だけは必須)
有料サービスのリストと解約方法
そして何より、信頼できる家族だけに託す「デジタルの合鍵」
これらを、親が元気なうちに、つまり「50代の今」準備しておかなければ、60代、70代になってからでは、もう手遅れなのです。
最終回目前! この「無限地獄」から脱出する唯一の道
親の入院から始まり、介護離職、相続争い、そしてデジタル地獄...。
これまでの全10話で描いてきた地獄絵図は、決して他人事ではありません。 何の準備もしなければ、確率100%であなたの身に降りかかる未来です。
しかし、絶望する必要はありません。 これらの危機はすべて、「事前のシミュレーション」と「家族会議」で回避できるのです。
次回、いよいよ最終回。 これら全ての地獄を回避し、笑って最期を迎えるための「ロードマップ」を提示します。
そのための最強のツール、「私と家族の100年ライフ見える化ノート 体験ワークショップ」。
ここに参加することが、あなたが地獄行きの列車から降りる、非常に重要な取り組みです。