「もっとサービスを良くしましょう。」
飲食店では、よく聞く言葉です。
しかし、その「良いサービス」とは何でしょうか。
笑顔でしょうか。
元気な挨拶でしょうか。
料理を早く提供することでしょうか。
もちろん、どれも大切です。
しかし私は、
「誰にとって良いサービスなのか。」
ここを考えなければ、本当に良いサービスは生まれないと思っています。
お客様を洞察する力は、とても大切です。
一人ひとりのお客様を見て、
何を求めているのかを考える。
これは接客において非常に重要な力です。
しかし、この考え方だけでは、
個人の能力に依存したお店になってしまいます。
経験豊富な店長がいる日は良いサービス。
休みの日はサービスが落ちる。
それでは、お店として安定した価値を提供できません。
経営で重要なのは、「仕組み」にすることです。
良いサービスとは、
スタッフの能力だけで成り立つものではありません。
誰が接客しても、お店として伝えたい価値が伝わる。
その仕組みを作ることが、経営の仕事です。
だから私は、
サービスを教育だけで終わらせるのではなく、
仕組みに落とし込むことが重要だと考えています。
そもそも、誰にサービスを届けたいのでしょうか。
ここで、多くのお店が見落としてしまうことがあります。
それは、
「誰をお客様として考えているのか。」
ということです。
ファミリーなのか。
カップルなのか。
会社員なのか。
地域の常連なのか。
観光客なのか。
ターゲットが曖昧なままでは、
どんなサービスが正しいのかも決まりません。
ペルソナが決まらなければ、仕組みは作れません。
店舗をつくるとき、
「こんなお店にしたい。」
という想いはあっても、
「誰に来ていただきたいのか。」
まで明確に設計されていないケースは少なくありません。
だから、
接客も、
料理も、
価格も、
販促も、
スタッフ教育も、
その場の判断になってしまいます。
サービスは感覚ではなく、
ターゲットに合わせて設計するものなのです。
展開できるお店と、できないお店の違い。
チェーン店や多店舗展開している企業では、
店長が変わっても、
スタッフが変わっても、
ある程度同じサービスを提供できます。
それは、
理念だけではなく、
サービスが仕組みとして設計されているからです。
一方で、
オーナー一人の感覚だけでサービスを決めてしまうと、
そのお店でしか再現できません。
これが、
事業として展開しにくくなる理由の一つです。
もちろん、すべてのお店が展開を目指す必要はありません。
私は、
個人経営が悪いと言いたいわけではありません。
オーナーの人柄で愛されるお店。
常連のお客様との距離が近いお店。
それも素晴らしい経営です。
展開を考えていないのであれば、
オーナー自身の感性や経験を大切にする経営も、一つの正解です。
ただ、
複数店舗を目指すのであれば、
サービスは「人」に頼るものではなく、
「仕組み」として再現できることが必要になります。
良いサービスとは何か。
私は、
良いサービスとは、ターゲットとしているお客様に、お店が届けたい価値を正しく伝えられる仕組みをつくること。
だと考えています。
笑顔や挨拶も、その仕組みの一部です。
料理も。
接客も。
空間も。
SNSも。
すべてが一つの方向を向いたとき、
初めて「また来たい」と思っていただける体験になります。
そして、それが長く選ばれ続けるお店につながっていくのです。