私は、「2タッパ理論」で仕込みを管理する。   ― 空のタッパが、次の仕事を教えてくれる ―

私は、「2タッパ理論」で仕込みを管理する。 ― 空のタッパが、次の仕事を教えてくれる ―

記事
ビジネス・マーケティング
飲食店では、営業中によくこんな声が飛び交います。

「ネギお願い!」

「水菜がなくなった!」

「炒め野菜、急いで仕込んで!」

忙しい時間ほど、人が人へ仕事を頼みます。

でも、私の店では、そんな声はほとんど聞こえません。

理由は、人ではなく、

仕組みが仕事を教えてくれるからです。

私は30年以上、飲食店の現場に立ってきました。

その中で気付いたことがあります。

人は忘れます。

忙しければ、なおさらです。

だから私は、

「忘れないように。」

ではなく、

忘れても困らない仕組みを作るようになりました。

その一つが、私が勝手に

「2タッパ理論」

と呼んでいる仕組みです。


やることは、とても簡単です。

同じ食材は、同じ大きさのタッパを2つ用意します。

例えば、

・炒め野菜

・笹ネギ

・水菜

それぞれ同じタッパを2つ用意し、ラベルを貼って管理しています。

営業中は、片方だけを使います。

もう片方は、満タンの状態で冷蔵庫の定位置に置いてあります。


こちらが、実際に私の店で使っている冷蔵庫です。

同じ食材は、同じタッパを2つ用意し、

ラベルを貼って定位置で管理しています。

特別な設備ではありません。

誰でも取り入れられる、小さな改善です。

タッパ.jpg


営業中、使っていたタッパが空になったら、そのまま洗い場へ持っていきます。

そして、冷蔵庫から満タンのタッパを取り出す。

営業は、そのまま続きます。

お客様を待たせることもありません。

一見すると、それだけのことです。


しかし、この仕組みの本当の価値はここからです。

洗い場には、空になったタッパがあります。

その空のタッパを見るだけで、

「この食材を仕込めばいい。」

誰でも分かります。

私は、

「水菜お願い。」

「ネギ切って。」

そんな指示を出しません。

空のタッパが、次の仕事を教えてくれるからです。

営業中は、ずっと忙しいわけではありません。

お客様が途切れる時間もあります。

その時間に、洗い場にある空のタッパを見つけたスタッフが仕込みをします。

すると、次に空になった時には、また満タンのタッパが待っています。

この流れを繰り返すだけです。


この方法にしてから、

「言った。」

「聞いていない。」

「忘れていた。」

そんなことが、ほとんどなくなりました。

仕込み漏れも減りました。

営業も止まりません。

スタッフが変わっても、同じように仕事が回ります。

それは、人が優秀だからではありません。

仕組みが優秀だからです。

30年以上、飲食店を経営してきて思うことがあります。

現場で本当に大切なのは、

人を育てることだけではありません。

誰が働いても、同じように仕事が進む仕組みを作ることです。

その仕組みがあれば、

新人でも、

ベテランでも、

同じ方向を向いて仕事ができます。

たった2つのタッパを用意するだけ。

特別な設備も、高価なシステムも必要ありません。

それでも、お店は大きく変わりました。


改善とは、人に頑張ってもらうことではありません。

人の記憶や経験に頼るのではなく、

誰が働いても、同じ結果が出せる仕組みを作ることです。

その小さな仕組みの積み重ねが、強い店を作ります。

それが、私が30年以上現場で改善を続けてきた答えです。


◆アオ日記🐾

主人は「空っぽのタッパが仕事を教えてくれる」って言うにゃ。

でも、アオのお皿が空っぽでも、ご飯は自動では出てこないにゃ…。

その仕組みだけは、まだ改善の余地があるにゃ。🐾

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