なぜガソリンの価格は変わるのか?変動要因や価格決定までの流れを解説

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ガソリン価格の高騰が続いています。

資源エネルギー庁によると、10月4日時点でのレギュラーガソリンの全国平均価格は160円となっており、160円台に達するのは2018年10月以来、3年ぶりのようです。

頻繁に車に乗る方にとっては財布に厳しい話ですが、「なぜガソリン価格は上がったり下がったりするのか」と疑問に思ったことはあると思います。

そこで今回の記事ではガソリン価格の「変動要因」や価格決定までの流れを解説していきたいと思います。

原油価格の変動

まず、ガソリンの元となる原油の価格変動が大きく影響します。

原油価格は様々な要因によって株式や為替のように常に変動します。ですのでここでは原油価格の主な変動要因について解説いたします。


・米国シェールオイルの生産状況
シェールオイルというのは、頁岩層(シェール層)から取れる原油の事です。

20年ほど前まではこれを掘削する事が困難でしたが、2000年代後半にアメリカで技術革新(シェール革命)が起こり掘削 ・生産が出来るようになりました。

その結果アメリカの原油生産量は2014年に当時首位のサウジアラビアを抜いて以来、首位を独走している状態にあります。

この原油生産量世界一のアメリカの「シェールオイル」の生産状況は、原油価格に大きく影響を与えます。(生産量が増えれば下落要因に、減れば上昇要因になります。)


・OPEC(石油輸出国機構)の動向
OPEC(石油輸出国機構)というのは「サウジアラビア」「イラン」「イラク」など、中東の原油生産国14か国によって結成されている組織で、主に原油の生産量や価格を調整し、原油生産国の利益を守る事を目的としています。

国単位の生産量はアメリカが首位ですが、中東地域( OPEC加盟国)全体で見ると世界でのシェアが40%を超え、首位のアメリカ(約18%)を超えます。
そのため OPEC(石油輸出国機構)の動向も原油価格に大きく影響を与えます。

例えば、加盟国同士の仲が悪くなり価格競争をすると下落要因になったりします。


・原油の需要状況
先進国を中心に世界各国の需要状況も原油価格に影響します。

単純に原油の「消費量が増える」または「増えると予想される」場合、原油価格の上昇要因となり、その逆は下落要因になります。

例えば2020年に新型コロナウイルスが流行し始めた頃は、各国がロックダウンや渡航規制などによって人の移動が制限された影響を受け、原油の需要が激減し、原油価格が大暴落しました。

そして現在では制限の緩和によって原油の需要がある程度回復し、原油価格も暴落前の水準に戻っています。(暴落時に生産量を大幅に削減した影響もあります)


・アメリカの在庫状況
アメリカは世界最大の原油消費国となっています。
そのためアメリカの在庫状況が原油価格に与える影響は大きく、様々な原油価格の変動要因の中でも一番の要因と言われています。


・原油先物市場の状況
原油は株式や金のように投資の対象となっています。

ですので世界中の投資家たちが「これから原油価格が上がる」と予想し原油に投資をすると、原油価格の上昇要因となります。

為替の影響

日本は原油をサウジアラビアやアラブなどの中東地域の国から大半を輸入していますが、その取引の決済に使われる通貨は世界の基軸通貨である「米国ドル」です。

そのため「円高になれば安く」「円安になれば高く」仕入れることになります。

日本企業の決定

これまでの「原油価格」「為替」を経て、日本のガソリンを作っている企業への「輸入価格」が決まります。

仕入れ価格が決まると「企業の利益」「日本国内の需要」など様々な要素を考慮して、各地域のガソリンスタンドへの「卸売価格」が決まります。

ガソリンの販売価格の決定

・地域の石油組合による要請
石油組合というのは先述のOPEC(石油輸出国機構)の地域版のような組織で、地域のスタンドの利益を守るためガソリン価格を一定の水準に保つことを目的としています。
※組織の名称は各地域によって異なります。

この石油組合が各スタンドに「大体このくらいの価格でいきましょう」と要請します。

もちろん要請に強制力はありませんが、スタンド同士で価格競争が激しくなると儲からなくなるので、要請通りの価格になることが多いです。

ガソリン価格は地域によって差はありますが、その地域内であれば多少の差はありますが、どのスタンドも大体同じ価格になっていることが多いと思います。


・各店舗の決定
最後に各スタンドが石油組合の要請を受け、店舗の経費などを考慮しながらガソリンの販売価格を決定します。
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