味方って、 最初から隣に立つ人じゃない
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コラム
昼休みの終わり。
凪は、教室の自分の席で、
窓の外を見ていた。
はっきりと拒絶し、言葉にした。
——でも。
世界が劇的に変わったわけじゃない。
視線は、まだ感じる。
噂も、完全には消えていない。
ただ。
昨日までの
「決めつける空気」だけが、
少しずつ、形を失っていた。
「……なあ」
背後から、声がした。
凪は、一瞬だけ肩を強張らせてから、
ゆっくりと振り返る。
そこに立っていたのは、
あのとき三條と話していた男子、
坂本だった。
坂本は、
「凪さん、さぁ~」
そう言って、
照れたように頭をかく。
坂本を見た瞬間、
凪は、不思議な感覚に包まれた。
今まで
“クラスメイトの男子”
“空気の一部”
だった存在が、
急に、
一人の人間になった。
「昨日のことさ」
坂本は、少し声を落とす。
「正直、
どう言えばいいか迷ったんだけど」
凪は、何も言わず待つ。
「凪さん、
ちゃんと自分の言葉で話してたよね」
「それって、すごいと思った」
胸の奥が、きゅっと鳴る。
「三條くんの言い方もさ」
「悪気ないんだろうけど……」
「なんか、決めつけてる感じがして」
坂本は、視線を泳がせる。
「俺さ」
「いままで、ただ空気に流されてた」
正直な言葉だった。
「でも、凪さんが拒否したの見て」
「……あ、これは、
俺、ただ黙ってた側じゃいけないって
感じた」
凪は、言葉を探す。
感謝でも、謝罪でもない、
何か。
「……ありがとう」
結局、出てきたのは、その一言だった。
坂本は、少し驚いてから、笑う。
「いや、別に」
「味方とか、そういうんじゃなくて」
一拍、置いて。
「ただ、ちゃんと見てたいだけ」
その言葉は、
凪の胸に、静かに染み込んだ。
——味方って、
——最初から隣に立つ人じゃない。
ちゃんと見て、
ちゃんと考えて、
遅れてでも、言葉を選ぶ人。
それもまた、
確かな味方なのだと、
凪は初めて知る。
少し離れた席で、
三條がこちらを見ていた。
一瞬だけ。
坂本と目が合い、
三條は、すぐに視線を逸らす。
——気づいている。
盤面が、また一つ、
静かに動いたことを。
放課後。
悠真が、凪の隣に並ぶ。
「……ね」
「一人じゃなかったね・・・」
その言葉に、
悠真は、ほっとしたように息を吐く。
「凪が立ったからだよ」
凪は、少し考えてから、首を振る。
「ううん」
「立った“あと”に、
来てくれたんだと思う」
それが、嬉しかった。
世界は、急には変わらない。
でも。
拒絶は、
孤独を呼ぶだけじゃない。
誰かが、名乗るきっかけにもなる。
凪は、そう感じた。
そして——
この小さな変化を、
三條輝が見逃すはずがなかった。
物語は、
静かな均衡を破る
“次の波”へ向かっていく。