1. 「用途変更」とは
建物の「用途」とは、住宅、オフィス、飲食店、ホテルなど、その建物が何に使われるかという目的のことです。既存の建物の使い道を変えることを「用途変更」と呼びます。
確認申請が必要なケース
用途変更先の用途が「特殊建築物(飲食店、物販店舗、ホテル、病院、福祉施設など)」であり、かつ、その用途に供する部分の床面積が200平方メートルを超える場合、原則として役所(または指定確認検査機関)へ「建築確認申請」を行い、建築基準法に適合しているかの審査を受ける必要があります(2019年の法改正で100㎡から200㎡に緩和されました)。
確認申請が不要なケース
床面積が200平方メートル以下の場合や、類似の用途間(例:劇場から映画館など)の変更であれば、建築確認申請は不要です。ただし、確認申請が不要であっても、「建築基準法などの関連法令に適合させる義務」は残ります。
2. 行政書士の役割と「できること・できないこと」
用途変更において、行政書士が関わる領域は非常に重要ですが、法律に基づく明確な業務の切り分け(独占業務)が存在します。
行政書士が「できない」こと(建築士の独占業務)
建築確認申請の代理・書類作成
用途変更に伴う「建築確認申請書」の作成や提出代理は、建築士法により建築士(一級・二級など)の独占業務と定められています。行政書士がこれを行うことは法律違反となります。
行政書士が「できる・得意とする」こと(行政書士の業務)
行政書士は、用途変更した建物で「実際に事業を始めるための許認可・届出」を担当します。
建物が適法になっても、営業許可が下りなければビジネスは開始できません。以下の業務を主に行います。
1. 営業許認可の取得
飲食店にする場合
保健所への「飲食店営業許可」申請。
ホテルや民泊にする場合
保健所への「旅館業許可」や「住宅宿泊事業(民泊)の届出」。
深夜営業のバーやキャバクラにする場合
警察署への「風俗営業等の許可」や「深夜酒類提供飲食店営業の届出」。
福祉施設・保育所にする場合
指定権者(都道府県や市区町村)への「事業者指定申請」。
2. 消防関連の届出(一部)
建物の用途が変わると、求められる消防設備(スプリンクラーや火災報知器など)の基準が厳しくなることが多々あります。消防署への「防火対象物使用開始届」などの作成・提出をサポートします。
3. 都市計画法など他法令の調査
その土地(用途地域)で、そもそも希望するビジネス(用途)が可能かどうか、都市計画法や地域の条例などを事前調査します。
まとめ
用途変更手続きにおいて、行政書士は「建築確認申請そのもの」はできませんが、用途変更の目的である「新しい事業を適法にスタートさせるための行政手続き全般」を担うキーパーソンです。
用途変更を伴う事業を計画される際は、最初から「用途変更に強い建築士」と「その業種の許認可に強い行政書士」の両方に相談するか、または提携している専門家チームに依頼するのが最もスムーズで確実な方法です。