自分で創る自分の車 No.12

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エアロダイナミクス 2/4

■エアロダイナミクスの原理の続き...

●正面の面積
抗力係数は、それ自体では車両の「滑りやすさ」を判断するのにしか役立ちません。
車体の形状による空力効果を完全に理解するには、車両の前面積を考慮する必要があります。
前方面積は、車両が空気中を走行する際にできる穴の大きさを規定するものです。

下図では、セダンはトラックに比べて、空気中にできる穴がはるかに小さくなっています。
FA1-2.png

つまり、Cd値と前面投影面積を組み合わせることで、自動車が生み出す実際の抗力を算出することができるのです。


●リフト・ダウンフォース
ダウンフォースとは、飛行機の翼が持つ揚力と同じで、持ち上げるのではなく、押し下げるように作用します。空気中を移動するあらゆる物体は、リフトフォースとダウンフォースのいずれかの状況を作り出します。
ほとんどのレーシングカーや、一部のロードカーは、ウイングなどの空力装置を使って車両を路面に押し付け、トラクションを高めています。
一方、一般的なストリートカーは、リフトを発生させる傾向があります。
これは、車両のボディ形状が自身の上に低圧領域を生成するためです。

ベルヌーイの原理によれば、一定の体積の空気では、空気分子の移動速度が大きいほど圧力が低くなる。
同様に、一定の体積の空気では、空気分子の速度が低いほど圧力が高くなる。
これは、静止した物体を横切って動いている空気や、比較的静止した空気中を移動している自動車にも当てはまります。

前述の「正面からの圧力」の項では、車両のフロントグリルに空気が突っ込んできて気圧が高くなったと述べました。
これは、空気が前方に近づくにつれて速度が低下し、その結果、より多くの分子が小さな空間に詰め込まれていることを意味します。
車両前方で空気が停滞すると、側面や上面、下面など、より圧力の低い場所を探します。

下図は、この効果を、空気の速度と密度を矢印で表したものです。
LD1-2.png
ボンネットの上を流れる空気は圧力を失っていきますが、フロントガラスに到達すると再び障壁にぶつかり、一時的に高い圧力になります。
ボンネット上の圧力の低い領域は、ボンネットの領域に作用する小さな揚力を生み出します(ボンネットを車から吸い取ろうとするようなものです)。
フロントガラスの前の圧力の高い部分では、ダウンフォースが発生します。
これは、フロントガラスを押し下げるようなものです。

多くのロードカーが問題になるのは、屋根の上に大きな面積があるということです。
ウィンドスクリーンの前にある圧力の高い空気がウィンドスクリーンの上を通過すると、加速して圧力が下がります。
空気がルーフの上を通過すると、圧力の低い空気が文字通りルーフの上に乗り上げます。

さらに悪いことに、空気がリアウインドーに向かうと、ウインドーがトランクに向かって下がっているためにできる切り欠きによって、空気がうまく満たされない真空(または低圧空間)が生じます。
流れが切り離され、低圧になることで揚力が発生し、トランクの表面積に作用すると言われています。
空力デバイスでこれらの影響を軽減する前は、レーシングカーのドライバーは、高速走行時に車両後部が軽くなるのを感じていたということです。

忘れてはならないのが、車両下側も揚力やダウンフォースを生み出す役割を担っているということです。
車両のフロントエンドがリアエンドよりも低い場合、フロントエンドが車両下の空気の流れを制限し、下面と道路の間の隙間が広がることで低圧エリアが形成されます。
車両上の空気圧が中立かそれ以上であれば、上下の圧力の差によってダウンフォースが得られます。
下図をご覧ください。
LD2-2.png

このように、車両上を流れる気流には高気圧と低気圧があり、その合計で車体が自然にリフトやダウンフォースを生み出していることがわかります。


■エアロダイナミクス・ハウツー・ヒント (2/4まとめ)

・スポイラーの使用
セダンタイプのレーシングカーに多く採用されているのがスポイラーです。
この空力補助装置は、トランクのリアリップに「ダム」を作り、トランク上の空気圧を上昇させることでダウンフォースを発生させます。
また、リアウィンドウの切り欠き部分にスポイラーを装着することで、ウィンドウ後方の空間に圧力を戻すことができます。

・ウィングの使用
ウイングは、航空機に搭載されているものを逆さにしたものです。
非常に効率的に機能し、あまり積極的ではない形でもドラッグよりもダウンフォースを発生させるので、多くのレース界や高性能ロードカービルダーに愛されています。
ウイングは、空気の流れがはっきりしている場所に設置するのがベストです。
ウィングを障害物の後ろに設置すると、ウィングが生み出すダウンフォースが減少します。

・フロントエアダム(スポイラー)の使用
車両前方にあるエアダムは、車両下側に到達する空気の流れを制限します。
これにより、車両下側の圧力が低くなり、効果的にダウンフォースを得ることができます。
また、多くの場合、エアダムは車両のCd値を下げる効果もあります。


次回エアロダイナミクス3/4に続く
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