子育ての悩みの中で1,2を争うものに「食べ物の好き嫌い」があります。
我が子を思って色んな食材を使ったり、調理を工夫したりしてみるけれど、全然食べてくれなくてもう嫌!!
なんて、思ったことがある人は少なくないはず。
今回は、「どうして子どもは好き嫌いをするのか?」について【安全な食物の選択】と【味覚の成長】にフォーカスしまして、
更に、「好き嫌いによる悪影響」と、世界が注目する「豊かな食生活」について、みなさんが疑問や不安に思っていることについて詳しく解説していきます!
結論
はい、みなさんこんにちは!
子育てをもっと楽しく!ちょっと肩の力を抜いて子どもと関わることができるように援助をしております!男性保育士のRyU先生です。
ココナラでは、コラムの執筆と共に育児相談を受け付けております。
今回は「食の好き嫌い」という身近な悩みから、子ども達の「脳神経の発達」や「世界の食育」への取り組みについてまでボリュームたっぷりでお送りします!
では、いきましょー。
結論1.子どもが好き嫌いをする理由
子どもが食事の好き嫌いをする理由については、実はかなり前から結論が出ています。
詳しい解説は後程しますが、子どもが好き嫌いをする理由、その大きな要因は以下の2つになります。
1.味覚には食べ物が安全か危険か確かめる役割がある
2.子どもは大人に比べて食の経験が圧倒的に少ない
この2つが大きな原因となることで、子どもは元々【好き嫌い(食の選択)をするもの】になっています。
また、味覚による選別の力を持っていることで、苦手な物は食べたくない→「苦手な物を食べる経験がより不足する」という構造ができています。
なので、好き嫌いや苦手克服がなかなかできないことは、実は当然のこととも言えるのです。
結論2.好き嫌いがおよぼす怖い影響
好き嫌いをすることによる恐ろしい影響として、「栄養バランスが悪くなる」ということも勿論ですが、
食生活の貧困によって本来あるはずだった「感覚・神経の発達や活性化をする機会」そのものを逃してしまうということが言われています。
好き嫌いは生得的に(産まれた時から)持っている生きる知恵ではあるのですが、それは進化の過程に手にした【力の名残】とも言えます。
今は食文化の進展、食の安全性の向上もあって味覚の意味そのものが変化したとも言えます。
【安全なものかを確かめる】という原始的な役割から、【より栄養価や価値の高いものを見つける】という、より生活の質を高める為の役割へと変化しているのです。
こうしたことを受けて、今や世界では子どもの成長や発達を促進させる為には「知育」、「体育」よりも、豊かな食経験を積む「食育」が注目されつつあるのです。
1.味覚は安全な食物の選択に役立っていた
子どもが好き嫌いをする理由に、味覚の本来の役割が大きく関係しています。
まだ、今の様に【安全な食生活】なんて無かった進化の途中。
人は「酸味」と「苦味」のあるものは、安全ではない、価値(栄養価、新鮮度など)が低いものと判断することで、安全な食物を取捨選択するようになりました。
なので、子どもの嫌いな食べ物は「苦いもの」か、「酸っぱいもの」もしくは「甘くないもの」が多くなっているのです。
味覚には5種類あって「甘味」、「酸味」、「塩味」、「苦味」、「うま味」これら五味を人間は舌で感じ取っています。
専門分野ではないので詳細な説明を省きますが、「酸味のある物=腐った物」、「苦味のある物=毒のある物」と判断しているそうです。
赤ちゃんは、何でもまず口に含んでみて安全かどうかを確かめますが、昔は大人も食の安全の為にまずは口に入れてみて判断していたのですね。
こうやって、人の「味覚」が「安全の確保」に役立っていたことを知ると、子ども達の好き嫌いに少し寛容になれる気がしませんか?
「あー、この子が今ピーマンを口から出したのは、『苦いから毒があるかもしれない』と判断したのかー・・・・・・」と、イライラもちょびっと和らぎそうですよね?
・・・・・・ですよね?
2.嫌いな物は食べないから苦手克服ができない
子どもが好き嫌いをする理由の2つ目は、嫌いな物は「食べる経験」が少ないからということです。
要は「嫌いだから食べない。食べないから嫌いなまま」ということです。
この解決策は凄く単純で、食べる経験を増やすことで苦手克服ができるようになっていきます。
・・・・・・と、こう言うと「そんなことは分かっている!」、「だから色々と工夫をしているんじゃない!」と文句が聞こえてきそうです。
でも、本当に分かっていますか?本当に色々な工夫をしているのでしょうか?
調理の仕方を色々と工夫することだけで終わってはいませんか?
保育園でも食べ物の苦手克服は一つの課題
子ども達の食べ物の苦手克服は、保育園でも必ず出てくる課題の一つです。
確かに「工夫して調理をする」ことは基本になってきますし、すごく大切なことです。ですが、「調理の工夫」は、苦手克服をする為の工夫の一つに過ぎません。
苦手を克服する為の工夫は調理法だけではないということを理解している人は意外と少ないものです。
大切なのは、「食材そのものに触れる機会」であったり、「食材への感謝、生産者への感謝の気持ちを持つ」こと、「自分で栽培してみる経験」など、
子ども達が食事や食材そのものへの興味関心をより深めるには、どう工夫をすれば良いのか?というアプローチをすることが実は、調理の工夫と同じくらいに大切なことなんです。
こうしたアプローチを行う取り組みを「食育」と呼びます。
ちなみに、保育園などでよく「お野菜スタンプ」などをしますが、あれも表現遊びだけでなく「食材を使って遊ぶことで、その食材をより身近に感じる」ということを目的として、食育の一環の活動として行っているものになります。
食育については、後でもう少し詳しく説明をしますね。
味覚の成長と衰えは子どもの頃に起こる
味覚を感じる為の器官である「味蕾(みらい)」は舌の表面にあって、口に入れたものが味蕾に触れることで「甘い」、「苦い」、「塩っぱい」、「酸っぱい」、「うまい」と脳が判断する様になっています。
この味蕾の数は成長と共に増えていき、8歳ごろから急激に多くなり、12歳頃をピークにどんどん減少していくようになっています。
これだけ急速に成長して、早々と衰退する器官は身体の中でもすごく珍しいものです。
子どもの好き嫌いが多く、強い傾向があるのは「味蕾」という五味を感じる器官の成長による「敏感さ」も影響しているのです。
ちなみに成人の味蕾の数は、ピーク時の子どもの味蕾の数の半分以下とも言われています。つまり、大人よりも子どもの方が味覚は敏感であるとも言うことができます。
大人になると苦手な物が減っていく理由は、その逆で「味覚が鈍感」になっていることが大きな要因の一つになります。
実は怖い好き嫌いによる悪影響
好き嫌いによる悪影響としてまず考えられるのは、「栄養バランスが崩れやすい」ということでしょう。
お子さんを持つ方が一番気になるのは、やっぱり子ども達の健やかな成長なのかなと思います。
ですが、実は好き嫌いが悪影響を与えることはそれだけではありません。
好き嫌いをすると苦手な物は避けて、好きな物だけを選り好むことになります。
すると、色んな食材を食べることが少なくなるので、「色んな味を味わう」、「色んな食感を楽しむ」、「色んな風味を感じる」など、【豊かな食の経験】が不足してしまいます。
豊かな食の経験は、子ども達の生活をより豊かにし、神経系の活性化など成長や発達にも深く関わるものです。
好き嫌いをそのままにするということは、そうした経験をする機会を見逃してしまう事にも繋がりかねません。
だからこそ、この【豊かな食経験】を子ども達に与える為に、世界が「食育」に注目をしているのです。
「食育」と向き合う世界
食育とは?
「食育(しょくいく)」という言葉を耳にする機会が段々と増えてきている様に思います。ですが、まだまだ浸透しているとは言えないので、食育とはなにか?について軽く解説をします。
文部科学省はHPで以下の様に食育を説明しています。
『食育とは、「子ども達が一生涯に渡って健やかに生きていくことが出来るよう、その基礎を作る為に様々な食を通じた経験をすること」(一部引用)』
その内容は、「食事のマナー」や「食材への感謝や理解」、「安全で高品質な食材を選択する力を養う」、「地域の産物や歴史への関心・理解を深める」など、食を通じて学ぶ本当に多岐に渡るものが対象となります。
実は日本は「食育後進国」
日本に食育という概念が入ってきたのは、最近のことで、実は他国と比べると日本は「食育後進国」と言っても過言ではありません。
安全で便利な食生活を実現している日本ですが、「食を通じた教育」に関心を持つのは遅かったというのですから驚きですよね。
世界では「食育」の浸透と共に、子ども達に、より【豊かな食経験】ができるように様々な活動が広まっています。
個人的にすごく関心があるのは、食育先進国と言われるフランスで取り組まれている「フレンチのシェフによる食育」です。
実際に料理を食べることは勿論、調理の体験や、食材そのものの味や食感を味わう経験や、食材の栽培などについてその道のプロが直々に教えるというのですから豪華ですよね。
何でも取り組みの一環として、五味それぞれを味わう為の授業というものもあるようで、砂糖で甘味、カカオで苦味のように食材の持つ味わいを使って大剣をするのだそうで、個人的に自分でもやってみたいなと感じました。
日本でも少しずつこのような動きが広まっていて、公的な機関での食育も少しずつ深まりつつあり、また民間団体などが個別により食育に特化した取り組みを行うことも増えてきている様です。
豊かな食経験を増やすには?
豊かな食経験を増やす為に、何も特別な手段が必要なわけではありません。なるべく色んな物を食べたり、時にはじっくりと五感を使って食事を楽しむことで十分な効果が期待できます。
フランスでシェフの料理を食べる機会があることを知って、日本の懐石料理を食べさせなくてはいけない!と思う必要はないのです。
もちろん、家庭料理ではなかなか味わえないプロの本格的な料理を食べることや、色んな国の料理を食べる経験はすごく良い経験となることに間違いはありませんが、必ず必要というわけではありません。
おうちでも、色んな食材を使ってみる、色んな調理法を試してみる、時には素材の味そのものを味わってみる、など楽しみながら家族で取り組むことは可能です。
また、おうちでの食育はとても重要で、何か食材を育ててみたり、一緒に調理をしてみるだけでも子ども達の反応は違ってきます。
「食事」や「食材」に対する興味を持つことで、あっけないくらいに簡単に苦手を克服するケースもありますし、深い興味関心は自然と食の経験を豊かにすることに繋がっていきます。
「苦手克服」を目的にしては辛くなる
子ども達は、生まれた時から自分を守る為に味覚を発達させながら、口にする食べ物の「苦い」、「酸っぱい」ということを感じ取り安全かどうかを確かめています。
苦手の出発点は、そうした人間の進化の過程によるものだと思うと少し、好き嫌いをする子どもと向き合う気持ちが軽くなるのではないかと思います。
「苦手克服」は育児の中の一つのゴールの様に思われがちですが、苦手な食材を少なくすることは、【豊かな食経験】を増やすことが本当の目的になるべきです。
【豊かな食経験】をすることで子ども達に良い影響がたくさんあります。
「甘味」、「苦味」、「塩味」、「酸味」、「うま味」という五味を感じる経験や、食材それぞれの「食感」、「風味」といった特徴を感じる経験が、脳や神経系の発達を促します。
また、食を楽しむという事は、食材への感謝や、生産者や調理をする人への感謝、食事のマナーや、栄養などに関する知識、「食」を通じて学ぶ様々な経験への期待や興味関心を深めることにも繋がっています。
ただ「苦手克服をしなくちゃ!」と思い悩むのはしんどいですが、「【豊かな食経験】を増やす為にはどうしたら良いのかな?」、「だとしたら、苦手な物は少ない方が良いよね!」と考えられるうようになると
今ある漠然とした不安や辛さが、未来への期待につながる課題に見えてくるはずです。
子ども達と食に関する様々な経験を楽しみながら、家族で【豊かな食経験】を増やしていってくださいね。
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