保育士の叱り方に学ぶ、感情的にならずに子どもも納得できる叱り方

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 子ども達と生活をしていると、様々な発見や喜びがあると思います。それと同時に、いえ、それ以上に不安や、葛藤、などストレスがかかる場面も多いのではないでしょうか?

 今回は保育士が現場で意識している、感情的にならずに上手にこちらの意図を伝える叱り方を紹介します。

結論:叱ることは、子どもが納得できる意図を伝えるチャンス

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 子ども達を叱る時って、どこかマイナスなイメージを抱くことが多いかもしれませんが、実はそれは間違いです。

 「叱る」という行為は、失敗の経験と共に大人や社会の「意図」を子ども達に伝えるチャンスなんです。

 そのことを理解せずに子ども達と毎日を過ごしてしまうと、「叱っても言うことを聞かない」、「叱ったのに全然反省していない」なんて、感情的になりイライラしてしまったりするのです。

誰かに何かを教える時、感情は邪魔になることが多いです。

 感情には、あなたの主観がたっぷりと含まれていますし、どうしても親のエゴや、大人のエゴが見え隠れしてしまいます。

 そうすると子どもからすると「これは僕の為に言っているのかな?自分の為に言っているのかな?」と困惑したりすることがあります。

 また、自分事に感じられず、何故叱られているのかも分からないし、どうすれば改善されるのかも分からないから、また同じような失敗をしてしまう。なんてことになります。

 マナーやルールを守れなかった時、約束を破ってしまった時、大人は叱るチャンスを得ます。

 子ども達との生活の中で、これから叱る機会が出てきたら、どうして、ダメなのか、次からどうすれば良いのか、他の方法はないか、子ども達と一緒に考えたり、こちらの意図を正確に伝える為にどうすれば良いのかを考えるようにしましょう。

 コツを掴むまでは、言い方を工夫したり、叱る環境を考えたり、整えたり、少し大変かもしれません。ですが、段々と自分の子にはどうすればより伝わるのかが分かってきます。

 すると、これまでなら感情的になって怒鳴っていた場面でも、心が揺さぶられることが少なくなり、子どもも大人もストレスになる時間が目に見えて減ってきます。

 導入部にも書きましたが、上手に叱ることができるようになると、育児の中での肩の荷が軽くなります。その分、自分自身の自己実現に力を使ったり、もっと子どもや家族の為にパワーを回したりすることができるようになるのではないかと思っています。

感情的な関わりは子どもも大人も辛いだけ

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 子ども達との生活の中では、様々な困難や課題と向き合う場面が多くあります。その中で、不安や不満、葛藤を感じたり、自分の無知や無力感に落ち込んでしまう事があるかもしれません。

 子ども達は成長の途中、そのまっただ中です。昨日通じていたものが、今日は通じないということも多くあります。
 成長し続ける子ども達と、現状を維持しようとする大人と間にギャップが生まれやすくなる、これはごく自然で、当たり前な事なのです。

 どんな人間関係でもそうですが、お互いの意識や、方向性にギャップや違いが見えると、途端にストレスが大きくなりしんどい思いをしたりしますよね。親子関係でも、それと似たようなストレスがあるのではないかと考えています。

 子ども達は決して、親の所有物ではないのですが、それでも生命を維持する為に生活の多くの部分を親や周りの大人に依存しています。
 このことから、大人側も責任感を強く抱くし、どこか子どもの為という名の「エゴ」が現れてしまったりします。

 そうなると、せっかくの意図を伝える為の叱る時間が、お互いの剥き出しの感情をぶつけ合うだけの無益な時間になってしまうのです。

 感情と感情のぶつかり合いは、ほとんどの場合で、お互いが傷ついて、お互いがより不満を溜めて、落としどころを見つけることも出来ずに終わります。

 それでは、大人も子どももあまりにも辛い時間になってしまいます。

 そうならないように、上手な意図の伝え方「叱る」ことについてよく理解し、活用して欲しいなと思います。

感情的になることでのデメリットを知ろう

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 子ども達と接する時に感情的になってしまうことはあると思います。

 正直な話、保育士という専門家であっても、子どもとの相性や、その日の体調や精神状態、何かしらのアクシデントなどで、感情的になってしまうことがあります。
 勿論、その感情を子ども達に向けることはプロの行いではないので、アンガーマネジメントを自分でしたり、複数で見ているクラスなら一時的に役割を交代するなどして、子どもにも保育士にも無用な負担がかからないように工夫をします。

 なので、自分の子どもとはいえ、人と人とがコミュニケーションを取りながら、一緒に過ごす環境では、お互いにストレスを感じたり、何か不満が出てきたりすることは当然のことだと言えます。

 感情的にならないに越したことはありませんが、感情的になってしまった時にも、あまり自分を強く責めたりしないで欲しいなと思います。

◇感情的に怒ることのデメリット
 感情的に怒ることについてのデメリットを知ると、怒る機会は少ない方が良いということに自信を持てるかと思いますので、ここでは、感情的に怒ることでのデメリットを「一般的なこと」と「子育てのこと」について挙げていきます。

●一般的な怒ることのデメリット

身体面:血圧の上昇、呼吸が早くなる、心拍数や血流の増加・・・・・・など
精神面:興奮、覚醒、不安の増加、後悔、ストレス・・・・・・など

 感情は脳内の伝達物質の変化などが伴い、心身に多くの影響を与えます。

 こと怒ることに関しては、強いストレスを感じたり、怒ってしまった後で後悔して落ち込んだり、そもそも凄く疲れてしまう。ということがデメリットと言えます。
 人によっては、怒るという感情によってもたらされる興奮や覚醒作用で物事を進めることができる人もいるようなのですが、大半の人は後で後悔したり、怒ることで疲れたりストレスを感じたりすることが多いので、少ないメリットを選ぶ必要性はあまり感じられません。

●子育ての中での怒るデメリット

子ども:悲しくなる、泣く、怒る、大声を出す、耳を塞ぐ、話しを聞かなくな 
    る、何かにやつあたりをする・・・・・・など
大人 :イライラする、悲しくなる、大きな声になる、強い口調になる、手を
    あげる、可愛いと思え無くなる・・・・・・など
関係性:意図が伝わらない、感情をぶつけ合う、建設的な話し合いができない、お互いの愛着や信      
    頼感を損なう・・・・・・など 

 子育ての中で怒ることによる影響としては、上記の様なことが挙げられます。子どもも大人も、ストレスを感じ、悲しくなったり、もっとイライラしたり感情が揺さぶられます。

 更に、怒ることばかりが長く続き、お互いのストレスが溜まっていくと、攻撃性が出てきたり、場合によっては手を挙げる、体罰などの暴力的な行為や、ネグレクトなどの愛着障害の引き金にもなりかねません。

 何より、やはり僕が最も悪影響だと感じているのは、子ども達に大人が怒ったり、叱ろうとしている意図が伝わらなくなってしまうことです。
 これでは、改善も見込めませんし、ゆくゆくは最悪のシナリオへと歩を進め始めてしまうかもしれません。これほど悲しい未来はないと思うのです。


子どもが納得できるのが上手な叱り方

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 さて、ここまでの記事を読んで、感情的に怒ったとしても問題は解決されない場合が多く、大人にとっても子どもにとってもお互いにあまり良い影響は無さそうだということが分かったと思います。

 では、子ども達が何かに失敗した時に、何かのルールやマナーを破ってしまった時に、誰かを傷つけたりしてしまった時に、問題を解決できて、子どもも大人も穏やかでいられる方法はないのでしょうか?
 そんな方法があれば、これまでの育児よりもうんと楽になりますよね?

 その、方法こそが今回のテーマである上手に叱るということになります。

 では、上手に叱るにはどうすれば良いのかというと「子どもに意図が伝わり、納得できる方法を模索する」ということだと考えています。

 子ども達は、確かに人生経験が少なく、まだまだ知識としても経験としても未熟な部分が多々あります。ですが、子ども達は大人が考えるよりもずっと賢くて、ずっと大人の言葉を聞いているものです。

 子ども達に伝わる「言葉」で、「環境」を整えて、よい「タイミング」で話をすると、多くの場合には納得してくれます。それは、こちらの意図が十分に伝わったからこその納得だと思うのです。

 逆に「言葉」や「環境」、「タイミング」が合わないと、なかなか納得ができず、同じ失敗を繰り返したり、どうして叱られたのかが理解できない場合もでてきます。

 だからこそ、私たち大人は、子どもに伝わりやすい方法を模索する必要があり、子どもに伝える力が高いと「上手に叱る」ことができるというわけです。


保育士が実際に叱る時の方法

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 子育てと保育の一番の違いは、「限られたスペースで大人数の子ども達を複数の大人が見守る」という点です。

 もちろん、資格の有無とか、自分の子ども、他人の子どもという明確な違いはあるのですが「子育てと保育とでは同じことをしている」という大きな勘違いをしている人に、伝わるのは上記の説明になるのかなと個人的には考えています。

 なので、保育士の実践していることが、全てそのままで家庭でも生かせるというわけではありません。
 そうではないのですが、それでも、子ども達の発達についての理解があり、子育て家庭支援についても勉強する保育士が実践する「叱り方」には、家庭で生かせるヒントがたくさんあると思うので、紹介します。

●保育士が子どもを叱る時に意識すること

・子どもの状態:話を聞けるくらいには落ち着いているか?
・言葉    :年齢や個人に合わせた言葉を選ぶことが出来ているか?
・文の長さ  :年齢や個人に合わせて文章を短くできているか?
・時間    :叱る時間が長すぎないか?
・周りの環境 :危険や集中力が切れてしまう状態ではないか?
・自分の状態 :子どもと真摯に向き合える心身と環境の状態にあるか?
・・・・・・など

 保育士が子どもを叱る時の頭の中は、ざっとこんな感じです。

 個人的には、どんなに突発的でも、保育現場であればこれくらいは最低限必要な配慮かなと思っています。
 他にも、その日の「クラスの雰囲気」だったり、「登園までの様子」であったり、「睡眠や食事が十分かどうか」などについても、十分に配慮されるべきだと思います。

 なぜ、ここまで考えて叱る必要があるのか?というと、「保育士も子どもにも負担が少なく、子ども達に正確に意図を伝える為」に他なりません。

 また、ここまで考えて初めて子ども達が意図を受け取る準備が出来るからでもあります。

 次項では、それぞれをもう少し深く見ていきつつ、家庭で活用するポイントを6つ紹介していきます。


1.子どもの状態:話を聞けるくらいには落ち着いているか?

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 家庭でも常に意識してみて欲しいのが、叱る瞬間の子どもの状態です。

 トラブルなどで癇癪を起していたり、びっくりして放心状態だったり、激しく泣いている場合には、大人の話を聞く準備が整っていません。ここで幾ら説明しても、怒鳴って大声をあげても、子ども達の耳には響きません。

 こんな風に感情があふれ出てしまっている時には、まずは子ども達を落ち着けることを考えます。

 しばらく寄り添ってあげて、子ども達がしっかりと目を見れる様になった頃が、改めて話始める頃合いかなと思います。

 後述もしますが、もしその場が道路や遊具の上など危険がある場合には、まずは安全な場所に移動することが最優先です。
 安全な場所が確保できたら、優先して子どもの気持ちを落ち着けてあげましょう。

 こう言うと「これから子どもを叱るのに、わざわざ落ち着けるって変じゃない?」と思う方がいるかもしれません。
 ですが、僕達は子どもを「怒りたい」わけではありませんでしたね。これから話す意図を伝える為に「叱る」のであれば、子どもをまず落ち着かせるということに矛盾はないのです。

2.言葉:年齢や個人に合わせた言葉を選ぶことが出来ているか?

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 子どもの聞く準備が整ったら、いよいよこちらの意図が伝わる様に話をしていきます。

 ここで大事なのは、子どもの年齢や個人差によって言葉を選ぶとうことです。

 どれだけじっくり説明しても、2歳の子に小学生に伝えるような言葉を選んでも意味は伝わりません。
 知らない単語もたくさんあるでしょうし、そもそも「抽象的な概念」であったり、「他者の気持ちを推し量る力」だったりは、これから先に学んでいくことです。

 なので大切なのは、その年齢の中でなんとなくでも「納得」できる説明をしてあげることです。

 物事は複雑なので、正確に理解させようと思ったら小学生や中学生くらいになるまで待たなくてはいけません。
 それでは困ることも多いので、正確な理解とは言えなくても、子どもが納得できる説明をすることが重要になります。時には方便が必用な場合もあるかと思います。

 例えば、「~という理由でダメ」が伝わらないのであれば、ひとまず「ここではダメ」と伝えるのも一つの方法です。
 特に安全面や、他の人に迷惑が掛かってしまうリスクがある場合には、こうした部分的な説明も必要なケースが出てくるかと思います。理由は理解できるようになったら伝えてあげましょう。

3.文の長さ:年齢や個人に合わせて文章を短くできているか?

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 子どもに話をする時に、言葉選びと同じくらい意識したいのが「文章の短さ」です。年齢が低ければ低いほど、短い文章で端的に伝える必要性がでてきます。

 「この公園の奥にある林にはリスがいるので、林の近くでは静かに遊び、リスがいても大声を出したり、エサを与えたりしないでください」という、ルールがある公園があったとします。

 恐らく4,5歳児さんなら、この文章の長さでも少し分かりやすい単語を使ってあげるだけで納得できると思います。ですが、3歳だと少し文章が長く、2歳以下では長すぎて全てを納得することは難しくなります。

 こうした場合には、短く切って説明をしたり、その都度で説明をするなどの工夫ができます。

 最初は「林の近くでは静かに遊ぼうね」だけ伝えて、子どもが林の近くまで行って興味を示したり、リスを見つけた時に「リスさんビックリしちゃうから大きな声出さないよ、エサもあげちゃダメ」と伝えるような形です。

 こうすることで、長い文章が区切られて、短い文節(文章の区切り)で納得しつつ、最終的にはルールを網羅して伝えることが出来ています。

 例題をルールにしてしまいましたが、注意する時も基本は同じです。できるだけ短い文で伝えていって、段階的に伝えていく中で最終的に伝えたかったことが全て納得できるようにすれば問題ありません。

4.時間:叱る時間が長すぎないか?

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 次に叱る時間についてです。子どもを長時間叱り続ける意味は全くありません。長ければ長い程、お互いにとって苦しい時間が続いていくだけですし、聞く方の集中力も次第になくなっていきます。

 では、どのくらいの時間で伝えるようにすれば良いのかと言うと、よく推奨されるのは「1分以内」と言われています。それも「より短い程良い」とされていますね。

 この考え方には僕も大賛成で、どんなに長くても3~5分くらいで切り上げておきたい所ですね。

 ちなみに、この1分なんですが「どこからどこまでの時間?」と思いませんでしたか?僕は、他の記事や論文を参考にしている時に「ん?」って思ったんですよね。

 それを明確にしている人はあまり居なかったのですが。

 環境を整えて、子どもが落ち着いて、「子どもが納得できるように話をする」この時間を1分以内にという事だろうと思います。

 上手な叱り方を説くのであれば、「事前の準備」と「事後のケア」も考えなくてはいけません。それも含めて「1分」はあまりにも短すぎます。

 なので叱る場合には、安全の確保をし、子どもを落ち着ける、自分も落ち着いて伝える内容を整理する・・・という「事前の準備」を迅速に行って、1分を目標に長くても3~5分を目安に話をする、そしてその後の様子を注意深く見守る「事後のケア」をしていく。という流れが自然かなと思います。

5.周りの環境:危険や集中力が切れてしまう状態ではないか?

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 叱る時に意識したいことに「周りの環境」があります。少し触れましたが、道路であったり、坂道であったり、遊具の上など危険がある場合には、まず何よりも優先してその場を離れます

 何かをした時に叱らないと効果が薄れるのでは?と考えてしまうかもしれませんが、子ども達の安全以上に優先されるべきものなどありませんし、いけないことをした時に場所を移動する短い時間で忘れてしまえるほど都合の良い頭は持っていません。

 安全を確認してから、話を始めても十分に効果があります。

 また、危険がないかだけが「環境の確認」ではありません。安全確保をした次に考えたいのは、「子どもが集中できる環境」かどうかです。

 例えば、周りでお友達が自由に遊んでいたり、子どもの視線の先に玩具やテレビがあったら、子どもは集中して話を聞くことができませんよね?
 これは、子ども達が反省していないからでも、話を聞く気がないからでもなく、「注意力の散漫」、「好奇心」、「衝動性」などの、小児の持つ特性によるものです。

 なので、視線の先にテレビがあって話を集中して聞けないのであれば、それはその子が注意力が無いわけでも、反省していないわけでもなく、子ども達の特性がテレビの方へと意識を向けてしまっているだけなのです。
 なので、こうしたケースではテレビを消してあげることで、話に集中して聞くことができるようになります。

 お家の中で注意したいものとしては「テレビやパソコン」、「玩具やゲーム」、「窓の外の景色」、「兄弟姉妹が遊んでいる」などです。部屋に子ども達の作品や、好きなものを飾っている時には、そうした装飾品にも注意しましょう。

 子どもが集中して話を聞ける環境は、「静か」で、「意識が逸れる物が少ない」場所で、「広すぎない空間」です。

 お家でそうした場所が見つからない場合には、部屋の角に大人が背を向けて、目の前に子どもがいる状態にすると良いでしょう。
 狭い場所に移動したわけではないので圧迫感はなく、子どもの視線では話をする大人と、壁だけが見える状態です。
 もしその場所に何か飾ってあるなら、話をする時間だけ布で隠す、なども効果がありますよ。

6.自分の状態:子どもと真摯に向き合える状態にあるか?

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 最後に、叱る側の大人の状態です。

 これまで何度も言ってきているので、もう「怒る」ことはしたくありませんよね。なので、まずは気持ちを落ち着けます。

 アンガーマネジメントという考え方を知っている人もいるかと思いますが、「怒り」というものはコントロールが可能です。
 また、怒りによる興奮状態と言うのはすごく瞬間的なものなので、ついイラっとそてしまった時に「10秒深呼吸」をするだけでも、心を落ち着ける高い効果があることが分かっています。

 咄嗟の出来事で驚いた場合にも、冷静さを取り戻せるように少し間を置くようにしましょう。どの感情であれ、子どもが納得できるように伝えることが目的の場合には心は平静に近い程良いかと思います。

 心を落ち着けたら次に、伝える内容を整理しましょう。その時には、言葉選びや、文章の長さ、話をする時間も意識して、伝えることを精査していきます。

 加えて、話の要点はできれば「1つ」にします。どんなに多くても「2つか3つ」には絞りたいところです。

 伝えたいことが複数ある時には、優先順位をつけて優先度の高いものを選びます。無理に全てを話しても、子ども達は一度にたくさんのことは覚えることができません。

 「文章の長さ」でもあったように、話の内容も段階的に伝えることは可能です。緊急性の高いものや、重要度の高いものはその場で伝えて、他のものは別の機会に伝えていけば良いのです。

●子どもの記憶に関する脳の働き

 子ども達が約束を忘れたり、一度で覚えられない理由は脳のメカニズムによるところが大きいんだよーという話を少しします。

 専門的な話も含むので読み飛ばしてもらっても大丈夫です。読んでくれる方にはなるべく簡潔に伝えたいと思いますので、少しお付き合いを。

 脳の記憶のメカニズムは三つになっていて、記憶する期間の長さによって区別されています。その中で瞬間的な記憶で、短い記憶期間のものを「短期記憶」と言います。
 一般的に「記憶」という場合には、最も長い「長期記憶」を指していることが多いです。ちなみに最後の一つは「感覚記憶」と呼ばれます。

 「短期記憶」は「7±2チャンク」という、記憶容量のようなものが決まっていて、5~9個くらいのものしか、ぱっと記憶できないようになっています。チャンクというのは言葉(情報のまとまり)の数だと思ってください。

 チャンクは情報のまとまりなので、言葉をたくさん知っていたり、言葉と言葉に繋がりを見つけることができる人ほど、まとまりが大きくなり、効率的に短期記憶を使うことができます。

 反対に子ども達は、まだまだ言葉や情報の繋がりは分かりませんし、知っている単語も大人よりもずっと少ないです。必然的に、脳が記憶できる容量を非効率的に使うことになるので、一度に覚えられることは少なくなるのです。

 また、短期記憶は保存期間が短く、記憶が定着するまでに反復する必要があります。

 なので、子ども達が1度言った約束を忘れてしまったとしても、努力不足や不注意ではないことがあるということは理解していて欲しいなと思います。

 子どもに伝える内容を少なくすること、何度も繰り返し伝えること、それが脳のメカニズムからも分かる「子どもへの効率的な伝え方」なのです。

「怒る」を手放すと育児の肩の荷が2つくらい落ちる

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 上手な叱り方ができるようになると「怒る」という行為を手放すことが多くなります。それはそのまま、育児の中で「イライラしたり」、「ストレスに感じたり」、「心を乱す時間が少なくなる」ということです。

 そう考えると、怒ることよりも、叱ること、ひいては子どもが納得できる説明をする為に考えることに時間や労力を使った方が気持ちも楽だし、育児をもう少し楽しめるようになるのではないかなと思います。

 子育てに正解はありません。あるのはその時代の流行りだったり、文化による考え方、そして家族ごとの相性くらいです。

 それでも、効率的な考え方や、時短テクニック、様々なサービスがあるのは、極力無駄な苦労はしないで子育てに向き合ったり、楽しんだりしたいと皆が思っているからです。

 僕はもっと多くの人が、育児に対してもっている不安やストレスから解放されて、少しずつ肩の荷を下ろしていって欲しいと思っています。

 今回紹介した「叱り方」についても、読んでくれた方の肩の荷をほんの少しでも軽くすることができれば、これほど嬉しいことはありません。

 叱ることは、子ども達に意図を納得できるように伝えるチャンスです。上手な叱り方には、事前の配慮も必要ですし、話し方にも工夫が必要です。


 ですが、その苦労は決して無駄な物ではなくて、伝える側の大人からしても、受け取る側の子どもからしても、お互いが感情をぶつけあって苦しんだりせずに、言葉を交わすことができる。結果的に、伝えたい意図がしっかりと伝えるためのプロセスの一つになります。

 子ども達は、今も成長の真っただ中です。これからも、たくさんのことを知って、覚えて、失敗して、成功して、挑戦して・・・・・・・・感動も葛藤も、期待も不安もたくさん届けてくれます。
 その隣では、育児が苦しくない程度に肩の荷が降ろせたあなたがいてくれることを僕は望んでいます。

 これからも、少しずつ知識をつけて、実践していきましょうね!

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