「安心できる場所」で力を発揮する ~違いは、間違いではない~

「安心できる場所」で力を発揮する ~違いは、間違いではない~

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子どもは、安心できる場所で力を発揮します。
これは、子どもだけではありません。
私たち大人も、きっと同じです。
「自分のことを理解してもらえている」
「うまくできなくても、否定されない」
「失敗しても、責められない」
「自分の気持ちを受け止めてもらえる」
そんな場所にいるとき、私たちはホッとします。

肩の力が少し抜けて、
「やってみようかな」
「もう一度やってみようかな」
そんな気持ちが自然と生まれてきます。

ここは安心。
ここは安全。
ここでは、自分らしくいていい。
そう感じられる場所だからこそ、私たちは持っている力を発揮できるのだと思います。
子どもたちも同じです。

「できない」のは“相性”なのかもしれない

園や学校で、
「みんなと同じようにできない」
「集団活動に入りにくい」
「先生のお話を聞いていられない」
「切り替えに時間がかかる」
そんな姿が見られることがあります。

保護者の方は、
心配になることもあるでしょう。

先生方も、
「どうしたら、この子がみんなと一緒に参加できるだろう」
と悩まれることがあると思います。

でも、そんなときに少しだけ、見方を変えてみてほしいのです。
その子が「できない」のではなく、

今の環境や、求められていることと、その子の発達との相性が、少し合っていないのかもしれない。
そんなふうに考えてみることもできます。

「生活年齢」と「発達」のペース
園や学校では、「生活年齢」をもとに、学年やクラスが分かれています。
生活年齢とは、生まれてから今日まで何年、何か月経ちましたということです。
その生活年齢で3歳児クラス、4歳児クラス、5歳児クラスに分かれます。

けれども、子どもの「発達年齢」は、「生活年齢」とまったく同じ歩幅で進んでいくわけではありません。
言葉の理解が得意な子。
身体を動かすことが得意な子。
人とのやりとりをゆっくり育てている子。
気持ちの切り替えに時間が必要な子。
音や光、触られる感覚などを、とても敏感に感じる子。
一人の子どもの中でも、得意なことと、まだ育っている途中のことがあります。
発達の形も、育つスピードも、一人ひとり違っていて自然なのです

クラスとの「相性が合わない」ことがある
園の活動は、その年齢の多数派の子どもたちが取り組みやすい内容を中心につくられています。
たとえば生活年齢が3歳児のクラスでは、クラスの多くの子が
「これくらいの時間なら座っていられるかな」
「これくらいの言葉なら理解できるかな」
「このくらいなら自分でできるかな」
ということを考えながら、活動や生活の流れがつくられていきます。
もちろん、それは集団生活をつくるうえで必要なことです。
けれど、そのやり方がすべての子どもに同じように合うとは限りません。

言葉だけの説明では分かりにくい。
みんなと同じ時間、座っているのはつらい。
急に活動が変わると、気持ちが追いつかない。
大勢の子どもがいる場所では、音や刺激が多すぎる。
そんな子もいます。

すると、
「みんなはできているのに、この子には難しい」
ということが起こります。

でも、それはその子が「間違っている」ということではありません。
今の環境や方法との相性が、少し合っていない。
私は、そんなふうに捉えることを大切にしています。

「違い」は「間違い」ではありません
私たちは、知らず知らずのうちに、
「みんなと同じ」
ということに安心するところがあります。

反対に、周りと違うと、
「どうしてできないんだろう」
「このままで大丈夫かな」
と不安になります。

そして子ども自身も、
「みんなはできるのに、自分はできない」
「また注意されちゃった」
「どうせぼくはできない」
そんな経験が積み重なると、自信をなくしてしまうことがあります。

本当は力を持っているのに、
「やってみよう」
と思えなくなってしまう。

それは、とてももったいないことです。
違いは、間違いではありません。
ただ、今いる環境や、今のやり方と、少し相性が合っていないだけなのかもしれません。

相性が合わないなら、「工夫」を入れてみる
では、環境との相性が合わないとき、どうしたらよいのでしょう。
私は、そこに「工夫」を入れてみることをおすすめしています。

たとえば、
言葉だけでは分かりにくい子には、絵や写真を使ってみる。
長い時間座ることが難しい子には、途中で身体を動かす時間をつくってみる。
大勢の中では落ち着かない子には、安心して過ごせる小さな場所を用意してみる。
予定の変更が苦手な子には、先に見通しを伝えてみる。

「できないから、もっと頑張ろう」
ではなく、
「どうしたら、この子が安心してできるかな?」
と考えてみる。

すると、その子に合った工夫が少しずつ見えてきます。

工夫は、「特別扱い」ではありません
園で個別の工夫をすると、
「この子だけ特別にしていいのかな」
と思われることがあります。

ご家庭でも、
「この子に合わせてばかりでいいのかな」
と心配になることがあるかもしれません。

でも、私は工夫を、
その子が自分の力を発揮するための「足場」
のように考えています。

眼鏡が必要な人が眼鏡をかけるように。
高いところに手が届かないとき、踏み台を使うように。
その子に必要な工夫があることで、
「分かった」
「できた」
「楽しかった」
という経験が増えていきます。
そして、「できた」が増えてくると、少しずつ安心が生まれます。

これらの工夫により、社会との相性の合わなさ加減が減少してくるのです。

自分らしくいられる場所になり、安心につながります。
お子さんが笑顔になります。
お母様がホッとされます。
先生方が安心されます。

この工夫の方法を、私は毎日、
みなさんと一緒に考えさせていただいています
私は、皆さんとお話する時間が大好きです。

あなたはあなたらしくいて良いのですよ

そして、まわりと違うこと、
それは、本当は、とても素敵な力になることもあるのです。

こんな風に、これからも、工夫や具体的なアイデアを届けていきたいと思っています。

お子さんと、ご家族の方に。

毎日、子どもたちのために「どうしたらいいだろう」と考えている先生方に。

ここが、
「大丈夫。工夫の方法は一緒に探していける」
と思っていただける場所になれたら、とても嬉しいです。

生活の中で、ご家庭で、園で、使える工夫の具体的な方法を、
今後、ここでもご紹介していきたいと思っています。

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