自己一致

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コラム
今回は、
アスリートにおける自己一致について解説します。

自己一致と言う概念を提唱したのは
アメリカ臨床心理学者カールロジャースです。

自己一致とは、
あるがままの自分、つまり
「泣きたいときに泣き、笑いたいときに笑い、悲しいとき、楽しいとき、
その気持ちを純粋に受けとめ素直な感情として表現できる人」
ということです。

この自己一致が完成されていくと自己肯定感が高まり
抱えていた不安や、困惑が解消され
リラックスした自分を取り戻すことができます。

さて新体操界のエース 皆川夏穂選手の場合はどうだったのでしょう。

夏川夏穂選手は、新体操の個人を牽引するフェアリージャパンのエースとして
前回リオオリンピックに出場を果たしています。

2017年イタリアでの世界選手権では
この種目42年ぶりとなる銅メダルを獲得しています。

しかし選手として順調だった彼女は突然のケガに襲われます。

右足にコンパートメント症候群を発症、昨年12月手術を受けました。

今回東京五輪の選考のため、
完治を待たず無理を押して人生の勝負に出たのです。

大会前のインタビューでは

「これまでサポートしてくれた方に対して、
演技で感謝の気持ちを表現したい」

と前向きにコメントしていましたが、
結果として2回連続五輪出場の夢は立たれてしまったのです。

「少しミスがあっても、絶対にあきらめない気持ちは最後まで持っていた。
でも結果はついてこなかった・・
自分の体の状態を考えたら、これが今自分の最大限の演技だったと思う」

大粒の涙を流しながらインタビューに答えていました。

「ここ1ヶ月ギリギリの状態でふつうに歩くこともできなかった。
ギリギリの状態で練習していた。
そういう状況も実力のうちなので受け止めたい」

「掲げてきた目標は達成しながら、ここまで来ることができた。
今は少し悔いが残っている状態だけど、ここまでの事を考えると、
決して無駄ではなかったと思う」

ここでポイントは、
大会前のインタビューで
「これまで・・」と言う表現を使用していることから、
もうすでに満身創痍の自分には最高の演技を長く続けることができない。

つまり、もう昔とは違う自分を受容していたと言う事がわかります。

次のポイントは、
大会後のインタビューで
「自分の体の状態を考えたらこれが今自分の最大限の演技だったと思う」
と答えていましたが、
もっと最高の演技ができるはずだった自分(理想的自己(自己概念))が
現実的にはここが限界だった(現実的自己(経験))
と言う自己受容が始まったところです。

そしてさらに、
「ここまでの事を考えると、決して無駄ではなかった」と
ケガを克服し、ここまで努力してがんばってきた自分を褒めています。

つまり、自己受容(いまの私のありのままのすべてを受け入れる)を進めています。

自己受容が進むことで、今までのプレッシャーから解放され、
新しい自己肯定感が生まれます。

この自己肯定感こそ、本来の自分を取り戻すきっかけとなるのです。

インタビューはここまででしたが、きっと彼女は冷静に自己受容を進め、
次のステップとしての自己肯定感を取り戻していくと想像できます。

彼女は最後に
「演技する場をもらえるのであれば最後にもう1回演技したい」
と締めくくりました。

彼女の自己一致がもたらす自己受容が、
彼女のこれからの新しい人生に
再び、まばゆいばかりの輝きを放つことを望んでやみません。

今日はここまで

あしたプラスになれば・・

written by Kaz Okayasu
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