不登校と発達障がいグレーゾーン

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コラム
「また今日も行けないの?」
朝7時、リビングに立つ母・Mさんは
ソファでうずくまる中学2年生の息子・Yくんを見てため息をつきました。

「頭痛い」
「気持ち悪い」
そう言って、Yくんは布団をかぶります。

最初は「少し疲れているだけ」と思っていました。
でも、休みが増え、遅刻が増え、
ついにはほとんど学校へ行けなくなりました。

「甘えてるだけなんじゃないか」
Mさんは悩んでいました。

家ではゲームばかり。
夜更かしして、昼まで寝ている日もある。

「本当にしんどいならゲームなんてできないよね?」
「このまま将来どうなるの?」
焦りから、つい強く言ってしまう日もありました。

「みんな頑張って学校行ってるんだよ!」
「少しは努力しなさい!」
するとYくんは黙り込み、部屋のドアを閉めました。

親子の会話は、どんどん減っていきました。


そんなある日、Mさんは学校のスクールカウンセラーに相談しました。
私はそこで、まずこう聞きました。

「Yくんは、小さい頃から疲れやすさはありませんでしたか?」
Mさんは少し驚いた顔をしました。
「あります。人混みが苦手で、音にも敏感でした。
予定変更するとすごく不機嫌になったり…」

さらに話を聞くと、
・忘れ物が多い
・友達との距離感が不器用
・空気を読みすぎる
・集団の後はぐったりする
そんな様子もありました。

私はMさんに、
“発達障がいグレーゾーン”についてお話しました。
「診断がつかなくても発達特性の“傾向”をもっている子はいます」

そう伝えると、Mさんは静かに涙を流しました。
「私、この子を怠けてるって思ってました…」

でも実際のYくんは、学校でずっと頑張り続けていたのです。
授業中は周囲の音が気になる。
友達の表情を気にしすぎる。
先生に当てられるだけで心臓が苦しくなる。

みんなが普通にできることが、Yくんには何倍も疲れることだったのです。
でも周囲には、それが見えません。

「普通に見えるんだから頑張れるでしょ」
そう言われ続け、限界が来てしまったのでした。

Mさんは、恐る恐る聞きました。
「ゲームって…やっぱりやめさせた方がいいですか?」
私は首を横に振りました。

「今のYくんにとって、ゲームは“逃げ”というより、“安心できる場所”かもしれません」
ゲームの世界では、
失敗しても怒られない。
自分のペースでいられる。
仲間とつながれる。

学校では常に緊張していたYくんが、唯一ホッとできる時間だったのです。
もちろん昼夜逆転や依存には注意が必要です。

でも、“取り上げること”が先ではありません。
まず必要なのは、安心を回復することです。

その日から、Mさんは声かけを変えました。
「学校行ける?」ではなく、
「今日は少し眠れた?」
「何か食べられそう?」
そんな言葉を増やしていきました。

すると、少しずつYくんの表情が柔らかくなっていきました。
ある日、ぽつりとこう言ったそうです。
「学校、ずっと苦しかった」

Mさんは、その言葉を聞いて初めて、
“この子はサボっていたんじゃなかった”
と気づくことができました。

スクールカウンセラーとして
多くの不登校の子どもたちと関わる中で感じるのは、
「動けない子には、動けない理由がある」
ということです。

特に、発達障がいグレーゾーンの子どもたちは
“普通に見える”からこそ
理解されにくい苦しさを抱えていることがあります。

だからこそ親御さんには、
「どうしてできないの?」ではなく、
「何がこの子を苦しめているんだろう?」
という視点を持ってほしいのです。

不登校は、
心が限界まで頑張った結果の
“休みたい”というサインかもしれません。

安心できる関わりの中で
子どもは少しずつエネルギーを取り戻していきます。

その回復の力をどうか信じてあげてください。

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