時計の動きが速くなる

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私が小学生の時、一時間目国語の授業で今日の課題は、自分が大人になったらやりたい仕事、について作文を書くことになりました。
授業時間は45分先生がそれでは始めというと、前の席のアキラ君はスラスラと
原稿用紙に書き始めた。
僕は 題名と自分の名前を書いて原稿用紙を見つめると、何を書けばいいのかわからなくなった。
やりたい仕事などわからないからだ。
今から決められないし、楽しそうに仕事をしている大人を見たことがなかった。
お金持ちそうな政治家は、飛行機やピーナッツ事件で捕まるし、
お金持ちそうな医者は楽しそうな顔をして聴診器を当てたことがない。
ぼうず丸儲けという近所の、和尚さんはいつもつらそうで悲しそうな顔をしている。

公園でいつも朝からお酒を飲んでいる浮浪者のほうが、よほど楽しそうだとも思ったりした。
時計を見るとまだ5分しか経っていない。
あと40分
何を書いていいのかわからない。
周りをみると、後ろの席のひろえちゃんはもう書き終わっていた。
僕は何を書けばいいのか、電車の運転手は難しそうだし、博士になるには大学にに行かなくてはならないし、仮面ライダーの博士や、アトムのお茶の水博士は何を研究しているのかわからないし、
一番星桃次郎が一番格好いい大人だとも思っていた。
やはりトラック野郎になりたいのかな。
原稿用紙には、大人になったら電飾のついたトラック野郎になりたいです。
とだけ書きました。
夕方居残りさせられて、400文字を埋めさせられた苦い経験です。




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