欲しいのはお金? それとも幸福感?

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ビジネス・マーケティング
転職サイトの広告は、どうしても年収をアピールする傾向があります。

以前のような露骨な広告は、あまり目にすることは減りましたが、年収アップをアピールする転職支援会社は少なくありません。

でも、私達が本当に望むものは年収なのか、一度考えてみる必要があります。

1.低賃金社会

現代社会において、私たちは豊かさを「お金」と結びつけがちです。

特にバブル経済が崩壊し、30年以上日本人労働者の賃金は上がっていません。

実は日本の最低賃金は先進国中で最下位です。

そのため、デフレ社会に慣れてしまったのかもしれません。

Minimum-wage-chart.png

私のメンターのお一人が現在オーストラリアで生活されていますが、学生アルバイトの平均時給は3000円を超えているそうです。

日本の約3倍。

このような状況ですから、それだけ賃金に強い関心を持つ方が増えるのも無理はありません。

そして転職して、少しでも賃金の高い会社へ移りたいと考える人が増えている。

また少子高齢化社会の影響で、老後を心配している若い方がたくさんいます。

私は大学生と話しをする機会がありますが、真剣に年金の心配をしている若者がいることに驚かされます。


2.本当に欲しいものとは

お金が無いと生きてはいけません。

そのため、働く1番の動機は生活のため、お金のためといっても過言ではありません。

でも、よくよく考えてみると、私達が欲しいものはお金そのものではなく、お金を支払うことで得られる物やサービスです。

たとえば、空腹の時に1万円をもらったとします。

この1万円で飲食店に行くなり、スーパー等で食材を買って自宅で調理して空腹を満たすでしょう。

もらった1万円札そのものを食べる人はいないと思います。

食べたことが無いのでわかりませんが、おそらく美味しくはないでしょうし、紙1枚食べたところで満腹にはなりません。


3.心と体を満たすもの

つまり、私達が欲しいもの望むものとは、お金そのものではなく、お金を通して得られる物やサービスであり、そこから得られる充実感や満足感、安心感なのではないでしょうか。

・健康的で美味しいものを食べて体と心を満たす

・大好きなミュージシャンのライブに行って充実感を得る

・家族のために保険に加入して安心感を得る

このような「心を満たすため」に、お金を求めているわけです。

だから高賃金の会社へ転職したくなります。

しかし高賃金が支払われるということは、それだけの労働量があるということ。

少なくとも今の仕事以上に、時間と体力や知力を費やす覚悟が必要です。

転職して賃金は上がったが、毎日残業ばかり、休日出勤が毎週続く、ストレスで夜ほとんど寝られないということがあるかもしれません。


4.生きるために働くのか、働くために生きるのか

体や心を満たすためにお金を得る。

そのお金を得るために、やりたくもないことを我慢して働くとしたらナンセンスではないでしょうか。

過労とストレスで心身はボロボロになりながら、高賃金を得ているとしたら、本当にその仕事をする意味があるとは思えません。

大切なのは、いくら賃金を得ているかではなく、何のために働いているか。

あなたが働く目的や意味はなんでしょう?

自分が何を大切にしているのか、何に喜びを感じるのか。

自分の心の声に耳を傾け、自分らしい生き方を見つけること。

その生き方のために仕事があるわけです。

私達は生きるために働くのであって、働くために生きているわけではありません。

でも、働くために生きているように見える方がたくさんいます。

過労で病気になり長期間会社を休むことになった。

それなのに、「会社へ迷惑をかけるから」とリモートワークで仕事をしている方がいらっしゃいました。

会社側に立つと、この方は「責任感がある」と、高く評価されるでしょう。

「社員の鏡」といわれるかもしれません。

しかし、その代償は大きいですね。

なぜなら健康はお金では買えないからです。

「身を粉にして働く」といいますが、このようなことをしていたら、本当に燃え尽きて灰になってしまいます。

私達が求めているお金は、そのお金という物質が欲しいのではなく、本当はお金で買える幸福感を求めています。

それなのに、仕事自体にまったく幸福感を感じられないとしたら、こんなおかしな話はないでしょう。

一人ひとりが、働く目的と理由を考えて仕事を選ぶ。

豊かな日本はそこから始まると考えています。

最後に、過労死でご主人を亡くされた方の手記をご紹介します。

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夫の尊い命が過労死として労災の認定が下りた後でさえ、焼香のために自宅を訪問した上長からは、儀礼的なあいさつがあっただけで謝罪の言葉はなく、会社側の対応には誠実さが感じられませんでした。15年間、誠心誠意、勤勉に働いてきた夫の会社に対する貢献はなんだったのだろう、と腹立たしさとむなしさを覚えました。

私たち親子のような過労死による遺族をこれ以上増やさないためにも、企業、そして経営者は、従業員との関係性を見直し、従業員の命と健康を第一に考えてほしいと願ってやみません。

2018年04月03日号 山形新聞より抜粋

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