リカード・モデルとヘクシャー=オリーン・モデルは、産業を単位とする国際分業と国際貿易パターンを説明する理論モデルです。本稿では、2財、2国の設定の下、両モデルの相違について説明します。
リカード・モデルは、労働生産性の相対的格差によって比較優位を決める理論です。一方、ヘクシャー=オリーンモデルは、労働と資本という生産要素(賦存要素)の違いによって比較優位を決める理論と定義されます
主な相違点には、生産要素の数です。リカード・モデルは、投入される生産要素が労働力という1生産要素に限られるのに対し、ヘクシャー=オリーンモデルは、労働力と資本の2生産要素が投入される形となっています(斉藤、2015年)。
さらに、両モデルは、設定される前提条件が異なります。例えば、リカードモデルは、生産技術(労働生産性)に2国間で格差が生じている一方、ヘクシャー=オリーンモデルは2国間で消費者の選好、生産技術は共通しています。
この前提条件の違いは、貿易利益の源泉に差を与えます。比較優位の概念では、貿易利益の源泉は、財の相対価格の決定因子である生産要素の賦存量と消費者の選好、生産技術の3つで決まります。これを踏まえると、リカード・モデルは、2国間で生じる生産技術の差をもとに、生産活動を比較優位のある特定分野に特化させることで得られる利益に貿易利益の源泉があります。一方で、ヘクシャー=オリーン・モデルは、選好と生産技術が一定であることから、労働力と資本という生産要素の賦存量の豊富さと、生産される各財の技術上での生産要素の集約度が貿易利益の源泉となっています(市田、2009年)。
片方の国が片方の財に生産を特化する完全特化の起きやすさにも違いがあります。通常のリカード・モデルでは、2国2財の生産可能性フロンティアにおいて、片方の国が片方の財のみを生産する完全特化による世界の生産点は、端点上にしか存在せず、完全特化の成立条件が限られます(小川、2011年)(下図)。
引用:小川健「結合生産を含むリカードモデルでの特化パターン分析」
対して、ヘクシャー=オリーン・モデルは、その国の資本、労働の賦存量を示す資本賦存点が原点Oと点A、Bを結んだ2本の直線にはさまれた不完全特化錐の外にある時は、必ず片方の財のみが生産される(下図)ため、完全特化が実現しやすいとされます(木村、2000年)。これらにより、前者より後者のモデルの方が完全特化が起きやすいと言えるでしょう。
引用:木村福成『国際経済学入門』を参考に自己作成
参考文献集
市田敏啓『ヘクシャー・オリーンモデルと比較優位について』早稲田大学商学学術院(2009年)
木村福成「第3章 ヘクシャー=オリーン・モデル」『国際経済学入門』日本評論社(2000年)、pp.54
斉藤豊『女子大生のためのキャリアデザイン』電気書院(2015年)、pp.181
吉原直毅「グローバル不正義としての南北間搾取」『Discussion paper series』Institute of Economic Research、Hitotsubashi University(2014年)、pp.1-26
いかがでしたでしょうか。上記のように、アカデミックレポートの例文制作を手掛けています。経済学を中心に対応いたしますので、お気軽にお声がけください。
*著作権はすべて執筆者に保持されております。転載や剽窃はお控えください。