【後編】心のなかの小さな会社と、私たちが「無価値」を感じる理由

【後編】心のなかの小さな会社と、私たちが「無価値」を感じる理由

記事
コラム
私たちを追い詰める「現代社会」の影

 生物学的な理由だけでなく、私たちが置かれている「環境」もまた、無価値感という洗脳を植え付ける原因になっています。
 現代は、あらゆるものが「点数」で管理され、測られる社会です。数値によって人間の優劣が決めつけられてしまう環境では、劣等感ばかりが募り、「自分に価値がある」と思える体験に出会えなくなってしまいます。
 かつての社会は「〜してはいけない」という抑圧的な場所でした。しかし現代は「何でもやれる、自己実現すべきだ」という、過度な主体性を求められる「疲労社会」へと変化しました。
 自由の裏側で、私たちは常に「何者かにならなければならない」というプレッシャーに晒されています。
 さらに、かつて心の拠り所であった宗教や地域コミュニティが消え去った「真空社会」のなかで、私たちは孤独に立ち尽くしています。

 SNSの普及は一見つながりを生んだようですが、皮肉にも私たちの感覚を麻痺させ、本当の意味での「承認」を枯渇させてしまいました。
 傷つくことを恐れるあまり、私たちは他者との「摩擦のある深い関係」から逃避し、結果として誰からも必要とされていないような孤立感を深めていくのです。

おわりに

自分が無価値に思えるとき。

 それは、あなたの心が弱いからでも、人間として劣っているからでもありません。
 脳内の部署が少し疲れてバランスを崩しているだけであり、現代社会の構造そのものが、あなたにそう思い込ませているだけなのです。
 まずは、自分のなかで懸命に働いている脳の部署に「いつもありがとう」と声をかけるように、静かに自分を労わってみませんか。

                         沙門蒼俊   合掌
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