パーンツ!!
とにかく明るい安村さん、すごかったですよねー。
一回戦でネタを出し尽くしたかと思いきや、二回戦・決勝と、手を変え品を変え。
飽きさせず、なおかつ英語圏の人に伝わるネタをしっかり用意したのは流石だと思います。
最近、お客様から海外の面白いコメディアンを紹介してもらって視聴していたのですが、日本の笑いと英語圏の笑いって全然違いますよね。
日本の笑いは一言で言うなら「訂正する笑い」です。
ボケが突拍子もないこと、常識から外れたことを言い、ツッコミがそれを訂正する。「なに言ってんだよ!」「そんなわけねぇだろ!」みたいな。
おかしいことをおかしいと指摘し、常識に当てはめようとする笑いです。
でも英語圏の笑いは「自己主張の笑い」。
「おれはこんな変わったことできるんだぜ」
「みんなはこう言ってるけど、おれはこんなふうに考えてるんだ」
みたいな。
他人と違うことを否定せず、それどころかもっと主張する。
常識から外れていようが、面白ければオッケー。
多様性と実力主義の二本柱が、英語圏の主軸のように思えます。
人と違うことを良しとするから、訂正する必要がない。
訂正する必要がないから、ツッコミの役割がいらない。
ツッコミがいらないから、一人で十分。
その結果、海外では一人でマイクを持って延々と喋る「スタンドアップコメディ」が主体となり、ツッコミ役が必要な日本では、二人で喋る漫才が主流となっているのだと思います。
そして安村さんは人と違うことを主張するスタンスなので、英語圏の笑いと相性が良かったのでしょうね。
安村さんは、全然英語ができないように見えます。
審査員との質疑応答でも、とりあえず「サンキュー!」で乗り切っています。
審査員の一人から「どうやってこのネタを思いついたの?」と訊かれたときも、「……サンキュー!!」で乗り切る徹底ぶり笑
しかし私は、これでいいんじゃないかな、と思います。
ああいった場で最も大事なのは、とにかく堂々としていること。
特に英語圏では、くよくよするより前向きであるほうが好まれます。
英語が話せないからと言って、「えっと……その……」とモジモジしていたら、それだけで悪印象。
それよりは「分かりません!」と開き直ってしまうほうがよほどマシ。
実際、そのあと別の審査員が「あまり彼に難しいことを聞いてはいけないよ」とフォローしてくれています笑
できないならできないで、開き直ってしまう。
このメンタルは見習いたいですよね。
wear(着る)は、他動詞です。
だから、
「I’m wearing it.」
「I’m wearing pants.」
あたりが正しい表現だと思うのですが、安村さんは「履いてますよ」をそのまま訳そうとしてしまった。
その結果「I’m wearing.」という、英語としては不完全な表現になってしまいました。
これだと英語圏の感覚では、「私が履いているのは……」と言われているように聞こえてしまいます。
文章が中途半端に終わっているようで、モヤッとしてしまう。
だから現地の観客や審査員たちは、つい「パーンツ!」と言ってしまったんです。
英語が苦手な安村さんが、こうなることを予期していたとは思えません。
おそらく本当にうっかりミスだったのでしょう。
しかしそれが観客との掛け合いに発展し、最後は「パーンツ!」の大合唱。
安村さんが「I’m wearing.」まで言ったら、観客が「pants!」と答えるのがお約束みたいになったんですよね。
すごいことだと思います。
成功するか分からない中に身を投じるのって、簡単なことではありません。
もしかしたら全くウケず、それどころか大ブーイングで終わる可能性だってあった。
それでも「やる!」というその気概、見習いたいですよね。
ということで安村さんおめでとう&お疲れ様でした、というお話でした。
ちなみに私はフランス版ゴットタレントに登場した、ウエスPも好きです。