でんじゃらすじーさんが今読んでも面白かった話

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コラム

月刊コロコロコミックで連載されているギャグ漫画の一つに、「でんじゃらすじーさん」というものがあります。

2001年から始まり、現在まで連載中。

お子さんをお持ちの方ならば、知っている人も多いのではないでしょうか。

でんじゃらすじーさんに限った話ではないですが、低年齢向け漫画にありがちな傾向として、下ネタが非常に多い。

排泄物(大)とか普通に出てくる。

「いやいや笑 さすがにこんなの出たくらいで笑わないでしょ」

と思う人もいるかもしれませんが、小学生男子は普通に笑います。

当時の私もゲラゲラ笑っていました。

中学に上がるにあたって、なんとなくの風潮というか、「コロコロコミックは小学生まで」という感覚がありまして、私もそのあたりで購読を止めてしまったんですよね。



今日、何か面白い本ないかな、と古本屋に行ったのですが。

そこで偶然、かつてのコロコロコミックを見つけました。

私が読むのを止めたときから、もう少し経ったあとのものでした。

懐かしいな、とか、俺のあとに小学生になった子も同じように読んでたのかな、とか思いつつ手にとって。

パラパラめくっていくと、やっぱりそこにはでんじゃらすじーさんが載っていました。



下ネタ多めな小学生男子向け漫画の中でも、でんじゃらすじーさんは特にその傾向が強いと感じます。

1ページ全部使って、でっかい排泄物(大)をドーンと載せたり。

お食事中の方がいたらすみません。
さすがにご飯食べながらこんなブログ読んでる人はいないと思いたいですが。

さすがにもう大人なので、話の流れというか、オチのつけかたも予想がついてしまいます。

「ここまでがフリだから、そろそろオチがくるな」
「たぶん次のページめくったら『アレ』がページいっぱいに出てくるんだろうな」

とか。

そう思いながらページをめくったら、やっぱり『アレ』がドーンと出てきて。

正直ちょっとクスッときたけど、面白いからというよりは、予想が当たったことや、「今でも変わらないな」という安心感だったり。

「まあ、こんなもんだよな」などと思いつつ、さらに読み進めていくと、また同じような展開が始まって。

また最後は『アレ』でオチをつけるのかな、と思っていたら、案の定そのパターン。

さすがに2回目は……と思いつつページをめくったら、次のコマでさらに大きなオチが出てきまして。

具体的に言えば、でんじゃらすじーさんが逮捕されてた。

1回目のような安堵感からくる笑いではなく、今回は意表を突かれて普通に笑っちゃった。

マスクを着けていなければ笑っているのがバレるところだった。セーフ。

その展開に面白いと思うと同時に、感心してしまって。



こんな描き方ができるのは、作者さんが読み手の思考を読んでいるからです。

一回目の流れの最後に『アレ』でオチをつけておけば、読んでいるほうは、「こうやってオチをつけるんだな」と理解します。

それが頭に残っていると、もう一度似たような流れが始まったとき、読者は「また『アレ』でオチをつけるんでしょ」と予想してしまいます。

作者さんはそれを読んでいるからこそ、その予想を裏切る形で、次のページにさらに大きなオチを持ってきた。

つまり1回目の流れ自体が、本当に笑わせたい2回目の”前フリ”だったということ。

そして私はそれに、まんまと乗せられたのでした。



低年齢向け漫画でも、描いているのはプロです。

子供のころは気づきませんでしたが、そこにはしっかり戦略が組み込まれています。

さすが、20年以上連載しているだけのことはある。

むしろ私のほうが「子供向けの漫画だし」と侮っていたのではないか。
ちょっと反省。

やっぱ今でも第一線で活躍してる人はすげーな……と感心しつつ、古本屋をあとにしたのでした。
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