その封筒は、郵送で家に届きました。
保育園の結果通知です。激戦区で、13か所書いて、全部落ちていました。
フルタイムの共働きでも、だめでした。
「仕事、どうしよう」と思いました。
けれど同時に、子どもと過ごせる時間ができたことを、嬉しいと感じている自分もいました。
そして、育休をもらっている立場でそれを喜んでいることが、後ろめたくもありました。
あの日の気持ちは、いまでもひとつの言葉にまとめられません。
やりたかった仕事と、配属された仕事
わたしは社会福祉士として、社会福祉協議会に入職しました。
ところが配属されたのは人事労務。
専門職として働きたかったので、最初はモヤモヤしていました。
けれど、やってみると楽しかったのです。
採用に関わった人が、職場で活躍してくれること。
社内で悩む人のための相談窓口を立ち上げたこと。
休職した人の復職を支えたこと。
障がいのある職員がやりがいを持って働けて、同じ部署の人たちも助かる。
そんな形を一緒に探したこと。
その後は社会福祉士として、制度の狭間にいる人の話を聞き、地域にある支え合いの力も借りながら支援する仕事もしました。
その中で、気づいたことがあります。
民生委員さんからの情報や電話相談で出会う、「窓口に来られない人」の存在です。
そういう人ほど、悩みが深いことが多い。
この人たちが相談できる場所があればいいのに。
そう思って探していたときに、たまたま知ったのがココナラでした。
実績1、2件での決断
登録したのは在職中、妊娠するよりずっと前のことです。
ご相談をいただいたのは、わずか1、2件。
それでも忘れられません。
実績のほとんどないわたしに相談するのは、きっと勇気が要ったはずです。
誰にも話せなかった悩みを打ち明けてもらい、匿名で顔が見えないからこそ言えることがあるのだと知りました。
また誰かの力になりたい、と思いました。
そして、あの封筒が届きます。
育休を延ばしても、きっと受からない。
それなら、自分でやるしかない。頑張ってみよう。
夫は元経営者で、義父も会社を経営しています。
二人とも応援してくれました。
当時わたしが口にしていた目標は、「せめて子どもと気兼ねなくハッピーセットを食べられるようにしたい」。
夫は、「必要とされていることだと思うから、やってみたら」と言ってくれました。
半年間、申し込みは来なかった
不安はありました。社会福祉士の独立といえば、成年後見人が中心です。
メンタルヘルスの相談で、本当にやっていけるのか。
独立を決めてから半年ほど、申し込みはほとんどありませんでした。
ニーズがないのかもしれない。
わたしの人生は、どうなるんだろう。
そう考える日が続きました。
その間にしたのは、地味なことばかりです。
ログインを増やす。サービスページを書き直す。画像を工夫する。
流れが変わったのは、2024年8月。
電話相談の申し込みが、急に増えました。
これで頑張れるかもしれない。光が見えた気がしました。
相談の中で、つながったこと
最初のころに多かったのは、うつの症状や、生きているのがつらいという気持ちを抱えた方からの相談でした。
その中に、仕事が続かない、短い期間での離職を繰り返している、という悩みがありました。
話を聞きながら、わたしは気づくと、人事の視点と心理の視点の両方から考えていました。
モヤモヤしながら働いた、あの人事労務の経験が、ここでつながったのです。
もうひとつ、気づいたことがあります。
病院に行くほどではないけれど、悩んでいる人がたくさんいること。
深い悩みには、病院やカウンセリングという場があります。
けれど、その手前にいる人が頼れる場所は、多くありません。
考え方のくせは、誰にでもあります。
早めに整えるほど、立ち直りも早い。
そう感じて、キャリア支援に加えて、自分を知るためのコーチングを始めました。
深い悩みのご相談も、いまも大切にお受けしています。
ココナラでの相談は、いま589件。
社協時代や業務委託先での相談も合わせると、1,500件を超えました。
企業と提携して、働く人のカウンセリングやコーチングに関わる機会もいただいています。
いまの働き方
いま、子どもは2人います。
上の子が幼稚園に行っている間に、セッションの準備や資料作りをします。
帰ってきたら、2人を連れて公園へ行ったり、一緒にごはんやおやつを作ったり。
下の子には、生まれつきの心臓病があります。
完治はせず、手術を繰り返す必要があり、いまは在宅酸素を使っています。
週3回の訪問看護とリハビリ、往診、大きな病院への受診。
入院中は、毎日面会に通います。
それでも、とても明るくて、たくましい子です。
兄妹げんかもするし、お兄ちゃんについていこうと、いつもにこにこ動き回っています。
できるだけ普通の暮らしをさせたくて、酸素ボンベを持って、いろいろな場所に出かけます。
上の子には、子どもらしく過ごしてほしいと思っています。
幼稚園が長いお休みの間は、看護師さんが下の子をみてくれている時間に、2人で公園へ。
夫に下の子を任せて、2人で出かける日もあります。
みんなで過ごすのが大好きな子なので、週末は家族全員で行ける場所を探して、たくさん出かけています。
わたしが仕事をするのは、訪問看護の時間と、夜です。
みなさんの仕事が終わる時間に、セッションをしています。
子どもと過ごす時間がたくさんあって、誰かの役に立てている実感もある。
その両方があるいまの形を、ありがたいと思っています。
独立を決めたときの目標だったハッピーセットは、いま、気兼ねなく食べられています。
あのとき思い浮かべていたのは、上の子と2人の姿でした。
いまは下の子も加わって、家族みんなでマックに行けます。
それが、とても嬉しいです。
いま、迷っている人へ
相談のあと、思いつめていたものが少し軽くなった。
転職に踏み出せた。
自分を知って、受け入れて、気持ちを自分で整えられるようになった。
そういう変化に立ち会えることが、わたしはとても嬉しいです。
あの封筒が届いた日、わたしには実績も自信もありませんでした。
あったのは、「窓口に来られない人の力になりたい」という気持ちだけです。
思いどおりにいかなかった出来事が、自分らしい働き方の入口になることがあります。
いま転機の中にいる方に、この話が少しでも届いたら嬉しいです。