SNSガイドラインの基本～作成方法まで

SNSガイドラインの作成が一般的になっている今、企業がリスク対策としてガイドラインを作成することは重要です。しかし、何から始めれば良いのか、どのようなものなのか不安に感じる方も多いでしょう。まずは基礎知識を身につけ、ガイドライン作成の第一歩を踏み出しましょう。

SNSガイドラインとは？

SNSガイドラインは、企業のブランドイメージや信頼性を保つための行動基準です。企業によって定義は異なりますが、行動基準や具体的なルールを含むものが一般的です。

ガイドラインの役割

ガイドラインには、平時のリスク抑制と有事の対応準備という2つの役割があります。平時には情報漏洩や法令違反を防ぎ、有事には迅速な対応を可能にします。

作成時のポイント

ガイドラインは、企業公式SNSと従業員の個人利用SNSの2つを対象に作成します。企業公式SNSでは、投稿内容の質や企業イメージの維持、トラブル対応の準備が重要です。従業員の個人利用SNSでは、具体的なルールやリスク意識の向上が求められます。

企業公式SNS運営の重要ポイント

企業の公式SNSを効果的に運営するためには、以下のポイントが重要です。

1. 投稿内容の質を維持する

   - 例: 定期的にコンテンツの見直しを行い、最新の情報やトレンドを反映させる。

   - 事例: ある企業が季節ごとのキャンペーンを実施し、ユーザーの関心を引き続けた。

2. 企業イメージとブランドイメージに沿った運用

- 例: ブランドカラーやロゴを統一して使用し、視覚的な一貫性を保つ。

   - 事例: ファッションブランドが統一感のあるビジュアルを投稿し、ブランド認知度を向上させた。

3. 運用目的の明確化と共通認識の共有

 - 例: SNS運用の目的を明確にし、全員が理解するためのミーティングを定期的に開催する。

   - 事例: IT企業がSNS運用の目的を「顧客とのエンゲージメント向上」と定め、全員がその目標に向かって活動した。

4. トラブル発生時の対応方法の事前準備

 - 例: トラブル対応マニュアルを作成し、全員に周知徹底する。

   - 事例: 飲食チェーンがSNSでのクレーム対応マニュアルを整備し、迅速な対応で顧客満足度を維持した。

これらのポイントを押さえないと、SNS炎上などのリスクが高まります。適切なガイドラインを作成することで、リスクを最小限に抑えることができます。

従業員の個人利用SNSに関するガイドライン

従業員が個人的にSNSを利用する際には、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

1. 具体的なルールの設定

 - 例: 年齢層やSNSのトレンドを考慮し、具体的な利用ルールを定める。

   - 事例: 若年層が多い企業が、SNS利用時の注意点を具体的に示したガイドラインを作成。

2. リスクの具体的なイメージ化

- 例: SNS利用によるリスクを具体的に説明し、従業員に理解させる。

   - 事例: 情報漏洩のリスクを具体的な事例を用いて説明し、従業員の意識を高めた。

3. 当事者意識の促進

 - 例: リスクに対する当事者意識を持たせるための教育を行う。

   - 事例: 定期的な研修を通じて、従業員にSNS利用のリスクとその対策を理解させた。

従業員のプライベートなSNS利用を完全に制限することは難しいですが、適切なガイドラインと教育を通じて、情報漏洩や炎上を防ぐことができます。その他の社内規定と併せて、SNS利用のルールを周知徹底することが重要です。

SNSガイドライン作成の準備ステップ

SNSガイドラインを作成する前に、しっかりとした準備が必要です。以下の3つのステップを踏むことで、効果的なガイドラインを作成する基盤を築きましょう。

1. SNSアカウントと利用状況の把握

   - 具体例 自社が運営する公式SNSアカウントの数や種類、各アカウントのフォロワー数、投稿頻度、エンゲージメント率などを詳細に把握します。また、従業員がどのようにSNSを利用しているか、どのプラットフォームを主に使用しているかを調査します。

   - 事例 ある企業が、公式Twitter、Facebook、Instagramのアカウントを持ち、それぞれの利用状況を分析した結果、Instagramが最もエンゲージメントが高いことを発見し、重点的に運用する方針を決定しました。

2. ガイドライン作成の目的を明確化

   - 具体例 SNSガイドラインを作成する目的を明確にし、全員が理解できるようにします。例えば、「ブランドイメージの保護」、「法令遵守」、「情報漏洩防止」などの具体的な目的を設定します。

   - 事例 IT企業が「顧客との信頼関係を強化するため」と「法令遵守を徹底するため」という2つの主要目的を掲げ、ガイドラインを作成しました。

3. 潜在的リスクの洗い出し

   - 具体例 自社で起こり得るリスクを洗い出し、それに対する対策を考えます。例えば、情報漏洩、炎上、法令違反などのリスクを具体的にリストアップし、それぞれのリスクに対する対応策を検討します。

   - 事例 飲食チェーンが、過去のSNS炎上事例を分析し、同様のリスクを防ぐための具体的な対策をガイドラインに盛り込みました。

これらの準備ステップを省略せずに行うことで、SNSガイドラインの内容に具体性と実効性を持たせることができます。ガイドライン作成チームだけでなく、社内全体の協力を得て、各部署が連携して進めることが成功の鍵です。

SNSガイドライン作成の作成ステップ

況把握と目的が決まったら、さっそくSNSガイドラインを作成していきましょう。

SNSガイドラインの基本項目

1. SNS運用における基本的方針

   - 内容 SNSのリスクや機密情報に関するルール、企業への所属意識、SNS運用の責任の所在。

   - 項目例 投稿前のチェック事項、ガイドライン遵守の重要性。

2. SNS更新におけるルール

   - 内容 SNS投稿時に守るべき取り決め。

   - 項目例 投稿内容や目的に関する情報共有、投稿前のチェック事項。

3. SNS投稿時の注意点

   - 内容 禁止項目や配慮すべき内容。

   - 項目例 文章や画像投稿時の注意点、倫理や著作権に関する注意点。

4. SNS上での対応における注意点

   - 内容 返信や他アカウントへの対応時の禁止事項。

   - 項目例 いいねやリツイートの注意点、ダイレクトメール対応時の注意点。

5. SNS炎上時における対応方法

   - 内容 炎上時の対応や社内情報共有フロー。

   - 項目例 クレーム対応の注意点、対応フローの決定。

6. SNSのアカウント管理に関する注意点

   - 内容 アカウントの乗っ取りや誤爆を防ぐための取り決め。

   - 項目例 パスワード管理、デバイス管理の注意点。

これらの項目を押さえることで、SNS運用におけるリスクを最小限に抑えることができます。

SNSガイドライン共有と研修ステップ

SNSガイドラインは作成したらそれで終了というものではありません。社内全体に向けてSNSガイドラインの共有を行うことで、初めてその効果を発揮します。

SNSガイドラインを効果的に社内に浸透させるためには、研修を通じて共有することが非常に重要です。以下のポイントを押さえて、全従業員にガイドラインを理解してもらいましょう

1. 全社的な共有

   - 具体例 企業SNSの運営者だけでなく、一般従業員も含めた全社的な研修を実施します。これにより、全員が同じ基準でSNSを利用することができます。

   - 事例 ある製造業の企業が、全従業員を対象にSNSガイドラインの研修を行い、全員が同じリスク意識を持つことができました。

2. リスクとガイドラインの理解

   - 具体例一般的なSNSのリスクと自社のSNSガイドラインの内容を研修で詳しく説明します。具体的な事例を交えて説明することで、従業員がリスクを具体的にイメージしやすくなります。

   - 事例 IT企業が、過去に発生したSNS炎上事例を紹介し、それを防ぐためのガイドラインの重要性を強調しました。

3. 業種・業態に合わせた事例の紹介

   - 具体例 自社の業種や業態、労働環境に近い事例を研修内容に盛り込みます。これにより、従業員が自身の業務に置き換えてリスクを理解しやすくなります。

   - 事例 飲食業界の企業が、他の飲食店で発生したSNSトラブル事例を紹介し、自社で同様のトラブルを防ぐための具体的な対策を説明しました。

4. 危機意識の向上

   - 具体例 研修を通じて、従業員にSNSリスクの共有と遵守を促します。具体的なリスクとその対策を理解することで、従業員の危機意識が向上します。

   - 事例 金融機関が、情報漏洩のリスクとその影響を具体的に説明し、従業員の危機意識を高めました。

これらのポイントを押さえた研修を実施することで、SNSガイドラインの効果を最大限に引き出し、企業全体でリスクを最小限に抑えることができます。

注意点

ガイドラインは一度作成すれば終わりではなく、定期的な見直しとアップデートが必要です。最新のトレンドやリスクに対応できるようにしましょう。

SNSガイドラインの作成は多くの人を巻き込み、長期化することもありますが、しっかりとしたガイドラインを作成することで、リスクを最小限に抑えることができます。