端的にいえば、「あわせて」については、接続詞と副詞で用いる場合には「併せて」を用い、動詞として用いる場合には「合わせて」を用いるのがよいと思います。
しかしながら、文部科学省では、接続詞を「あわせて」と仮名で表記しているようであり、そのためか、公用文の辞典の中には、接続詞として用いる場合には漢字でも仮名でもよいとしているものや、仮名表記とすべきとしているものがあります。
このようなことから、紛らわしさは残りますが、私としては上記のような使い分けとすることをお勧めします。しっかりとした国の指針にのっとったものだからです。
以下、詳しく説明します。
常用漢字表の「併」の欄には、「併せる,併せて〔接〕 ⇔合わせる」と記載されています。このうち、「併せて〔接〕」の〔接〕とはどういう意味かといえば、常用漢字表の「表の見方及び使い方」の「10」に「例欄の語のうち,副詞的⽤法,接続詞的⽤法として使うものであって,紛らわしいものには,特に〔副〕,〔接〕という記号を付けた。」と書かれています。つまり、この「併せて」は接続詞として用いる場合があることを示していますので、接続詞の場合には「併せて」と漢字で書くのが適切だということになります。
次に、「併」の欄の「⇔合わせる」とはどういう意味かということです。これは、同じく「表の見方及び使い方」の12の(1)」によれば、漢字は異なるが読みが同じのものを示したということです。結局、「合わせて」については、「一つにまとめる」「合計する」「調整する」といった動詞として用いることができることになります。
一方、「併せて」を接続詞ではなく副詞として使えないか、ということについてです。
これについては、まず、内閣訓令「公用文における漢字使用等について」(平成22.11.30内閣訓令第1号)1-(2)-イを見るべきだと思います。そこには原則として漢字で書く副詞と仮名で書く副詞の例が出ているからです。しかし、「併せて」はどちらにも挙げられていません。つまり、これを見る限り、どのように表記すればよいのか分からないのです。
そこで、次に、平成26年文化審議会国語分科会報告「「異字同訓」の漢字の使い方例」を見てみます。これは、令和4年に各大臣宛てに出された内閣官房長官の「「公用文作成の考え方」の周知について」で引用された「文化審議会建議」の「関係資料」の一つですから、公用文表記の基準の一つです。その「報告」では、「併せる」の用例として「交通費を併せて支給する。併せて健康を祈る。」が挙げられています。これは副詞として用いられていますので、これで、「併せて」は副詞として用いることもできることが明白です。