はじめに
「LinkedInのアカウントは一応つくったけど、正直ほとんど触っていない」
まわりの日本のビジネスパーソンと話していると、そんな声をよく聞きます。
一方で、世界に目を向けると状況はまったく違います。
LinkedInは、公式情報でも「10億人以上のメンバーを抱える世界最大級のプロフェッショナルネットワーク」として紹介されています。
外部の調査では、2025年1月時点で約12億人、同年10月時点では13億アカウント以上というデータも出ています。
日本だけを見ていると実感しづらいのですが、「ビジネスをしている人が世界中で集まっている場所」であることは間違いありません。
この記事では、
・なぜ今、日本の企業や個人にとってLinkedInが重要なのか
・先日、私が担当した「日本のAIスタートアップ企業向けLinkedIn活用研修」で何をお伝えしたのか
・この記事を読んだあと、あなたが“最初の一歩”として何をすればいいのか
を整理してみます。
海外展開・海外リーチ・グローバル人材採用などに少しでも関心があれば、
「LinkedInをどう使っていくか?」を考えるきっかけになればうれしいです。
■ なぜ今、LinkedInなのか ─ 世界と日本のギャップ
まずは、ざっくり現状を数字で見てみます。
● 世界:LinkedInは「ビジネス特化SNS」のデファクトスタンダード
・LinkedInは、200以上の国と地域で利用される世界最大級のプロフェッショナルネットワークです。
・2025年時点の外部統計では、世界の登録メンバー数は約12〜13億アカウントに達しているとされています。
「職務経歴書+名刺+SNS」が一体になったような存在で、
・採用・転職
・営業・マーケティング
・パートナーシップ開拓
・個人のブランディング
など、ビジネスに関わるあらゆる場面で使われています。
● 日本:まだ“ニッチ”だからこそ、チャンスが大きい
NapoleonCatの統計によると、2025年12月時点で日本のLinkedInユーザー数は約559万人。人口比で約4.5%です。
世界的に見れば決して多くはありません。
ただ、これは「まだ使っている人が少ない」ということでもあります。
・海外の意思決定者
・海外在住の日本人/日本語話者
・日本市場に興味のある海外企業
こうした層に対して、「日本語+英語」で情報発信できるプラットフォームとしては、
LinkedInはかなり“おいしいポジション”にいます。
● 海外では、LinkedInは「デジタル名刺」
私はジョージアを拠点に、様々な国の方々と出会う機会がありますが、
初対面の相手とは、名刺交換より先に「LinkedInでつながりましょう」と言うことも多いです。
・どの国でどんなキャリアを積んできたか
・現在どんなテーマで発信しているのか
・共通の知り合いがいるか
こうした情報を一瞬で確認できるので、まさに「デジタル名刺+人柄のカタログ」のような存在になっています。
日本では「転職サイトの一種」と誤解されがちですが、
グローバルではすでに「ビジネスのインフラ」に近い位置づけだと感じています。
■ 日本のAIスタートアップ企業でLinkedIn研修を実施しました
そんな中で、先日、ある日本のAIスタートアップ企業様からご依頼をいただきました。
・事業を広げたい
・AI/SaaSという性質上、グローバルでの情報発信も重要
・ただ、社内にLinkedInに詳しい人がおらず、手をつけられていない
という課題感をお持ちで、
「まずは社内の主要メンバーが、LinkedInの基本と活用イメージを共有できる状態まで整えたい」
という目的で、2回に分けてオンライン研修(各1時間)を実施しました。
進行には、Notionとスライドを使いながら、
・実際の画面
・他社の事例
・ワークシート
などを組み合わせて進めていきました。
ここからは、2回の内容をかんたんにご紹介します。
■ 第1回:LinkedIn基礎とビジネス活用のメリット
第1回のテーマは、
「LinkedInとは何か?そして、BtoBビジネスにどう効くのか?」
という“土台づくり”です。
● LinkedInの基本機能と画面の見方
・ホーム(フィード)
・マイネットワーク
・求人
・メッセージ
・通知
など、普段なんとなく見ている画面を、
「これは何のためのページか?」
「ビジネス的にはどう使えるか?」
という視点で整理していきました。
● 企業ページと個人アカウントの違い
LinkedInには、
・個人が使う「プロフィール」
・組織が使う「LinkedInページ(企業ページ)」
の2種類があります。
公式ヘルプでも、「LinkedInページは組織全体を表すもの」「プロフィールは個人を表すもの」と明確に区別されています。
研修では、
・企業ページ:
→ 会社の「公式情報」「事業内容」「求人」「従業員」をまとめて見せる“玄関口”
・個人プロフィール:
→ メンバー一人ひとりの専門性・人柄・ネットワークを見せる“顔”
というように、役割を整理しました。
● BtoB企業にとってのメリット
特にAIスタートアップのようなBtoB色の強い企業にとって、LinkedInは
・海外企業の意思決定者にダイレクトにリーチできる
・コンテンツ発信を通じて、専門性と信頼を積み上げられる
・将来の採用候補やパートナーにも「見つけてもらえる」
といった価値があります。
日本語のWebサイトだけでは届かない層にも、
英語プロフィール&投稿を通じて接点をつくりやすいのが大きなポイントです。
● プロフィール作成の基本(企業ページ/個人)
第1回の後半では、チェックリストを使いながら、
・企業ページに必ず入れておきたい情報
→ ロゴ/バナー画像/会社概要/Webサイト/拠点/業種/サービス概要 など
・個人プロフィールで最低限整えたいポイント
→ 写真/ヘッドライン/自己紹介(About)/職歴/スキル など
を一つひとつ確認しました。
「まずは“空き地”を埋めるところから始めましょう」
というスタンスで、全員でプロフの棚卸しをしていった形です。
■ 第2回:発信戦略と運用の方向性を決める
第2回のテーマは、
「プロフィールを整えたうえで、何をどう発信していくか?」
です。
● まず“誰に”届けるかを決める
AIスタートアップの場合、発信できるネタは山ほどあります。
・プロダクトのアップデート
・導入事例/お客さまの声
・技術的な解説(LLM、RAG、MLOps など)
・チーム・カルチャー紹介
ですが、やみくもに発信すると相手に届きません。
そこで研修では、
・どの国/地域の
・どんな業種・規模の企業の
・どんなポジションの人に
見てもらいたいのかを、Notionのワークで言語化してもらいました。
● 企業アカウントと個人の発信の役割分担
・企業ページ
→ 会社としての方向性・事業内容・実績・採用情報
・メンバー個人
→ 日々の学び、現場目線の解説、プロダクトの裏側、人柄
というように、“役割をはっきり分けて補完し合う”イメージです。
「会社としての一枚岩のメッセージ」と、
「個人のリアルな声」の両方が揃うことで、信用が積み上がっていきます。
● 投稿の種類と使い分け
LinkedInでの主な投稿形式は、
・テキスト
・画像(図解・スライド)
・動画
・記事(長文)
などです。
研修では、
・テキスト:考えや気づきをサクッと共有
・画像:図解・スライドで“見える化”
・動画:デモやインタビューで臨場感を伝える
・記事:腰を据えて読みたい人向けに、深い解説
という形で、「どの型で何を伝えるとよいか」を具体例とともに整理しました。
● 投稿頻度とNG例
・最初は「週1〜2投稿」で十分
・まずは3ヶ月続けることを目標にする
・宣伝一色ではなく、「学び・気づき・考え」をセットで届ける
一方で、
・誇張された数字や根拠のない“世界初”“唯一”
・他社や個人を過度に批判する投稿
・政治・宗教などセンシティブなテーマの雑な扱い
などは、避けるべきNG例として共有しました。
● 今後の運用ロードマップ案
最後に、チームの皆さんとディスカッションしながら、
・誰が
・どの曜日に
・どんなテーマで
発信するかをざっくり決め、「3ヶ月の試運転プラン」を一緒につくりました。
■ 研修を通じて見えた「よくあるつまずき」と、その乗り越え方
実際にAIスタートアップの皆さんとワークをしてみて、
「LinkedInをこれからちゃんと使おうとしている会社が、共通してつまずきやすいポイント」
がいくつか見えてきました。
● つまずき1:プロフィールが“履歴書止まり”になっている
・過去の経歴は細かく書いてある
・けれど、「今、誰にどんな価値を届けているのか」が伝わらない
■ 対処法
・ヘッドラインに「誰に/何を提供しているか」を一行で書く
例)
AIを使った◯◯業界の業務自動化を支援|◯◯向けSaaS
・自己紹介(About)で、「いま取り組んでいるテーマ」「なぜそれをやっているのか」を簡潔に書く
● つまずき2:企業ページが“空き家”状態
・企業ページはあるが、ロゴと会社名だけ
・Webサイトリンクや概要、サービス説明が入っていない
■ 対処法
・最低限、以下は埋める
- ロゴ
- バナー画像
- 会社概要(何をしている会社か)
- WebサイトURL
- 所在地
- 業種・規模
・「どんな課題を持つ人のための会社か?」を一文で書く
● つまずき3:「何を投稿していいか分からない」
・ニュースのシェアか採用投稿しかしていない
・内容が“告知一辺倒”になり、読まれにくい
■ 対処法
・以下のメモを習慣化する
- 社内でよく出る質問
- 最近チームで話題になったトピック
- クライアントとの打ち合わせで出た“良い問い”
・このメモを、週1〜2本の投稿に変えていく
・「完璧な記事」ではなく、「スライド1〜2枚+短いテキスト」くらいから始める
■ これからLinkedInを始める人への3ステップロードマップ
ここまで読んで、
「うちもLinkedInをちゃんとやりたいけど、まず何から…?」
と思っている方に向けて、
シンプルな3ステップにまとめてみます。
● ステップ1:プロフィールと企業ページを整える
■ 個人でやること
・顔がはっきり分かる写真にする
・ヘッドラインに「誰に/何をしている人か」を入れる
・自己紹介で「いまの仕事」「これからやりたいこと」を2〜3段落でまとめる
■ 会社でやること
・企業ページを開設 or 中身をアップデートする
・会社概要・サービス内容・WebサイトURL・拠点・業種などを登録する
● ステップ2:ターゲットと発信テーマを決める
・「誰に読んでほしいか?」を一文で書く
・その人たちが知りたがっていそうなテーマを5〜10個書き出す
・その中から、「自社なら具体的に語れるテーマ」を選ぶ
例)
・海外のSaaS企業 → Japan Market Entry/ローカライズ
・日本の中小企業 → 海外リーチの始め方/LinkedInと他SNSの違い
● ステップ3:週1〜2本の投稿から始める
・形式はテキスト+画像でOK
・「今日は◯◯について3つだけポイントを共有します」といった“ミニ解説”にする
・3ヶ月続けたところで、インプレッションと反応の多かった投稿を振り返る
この3つだけでも、「アカウントはあるけど放置」の状態からは確実に抜け出せます。
■ よくある質問(Q&A)
Q1:日本でユーザーが少ないのに、LinkedInをやる意味はありますか?
A:国内市場だけを考えるなら、他SNSや広告の方が効率的な場面もあります。
ただし、海外企業・海外人材・海外在住の日本人/日本語話者にリーチしたいのであれば、LinkedInは非常に相性がいいです。まだユーザーが少ないからこそ、「しっかり整えた企業ページ」と「継続した発信」は目立ちやすいというメリットもあります。
―――
Q2:採用目的だけで使っても大丈夫でしょうか?
A:もちろん大丈夫です。LinkedInは元々、採用・転職の文脈でも強いプラットフォームです。
ただ、「採用投稿だけ」の状態よりも、日頃から事業内容・カルチャー・メンバーの発信がある企業の方が、候補者から見たときの信頼感は高まります。採用を入口にしつつ、徐々にマーケ・ブランディングにも広げていくのがおすすめです。
―――
Q3:運用担当は誰がやるべきですか?
A:理想は、経営層+マーケ+事業責任者+人事が連携することです。
現実的には、
・「社外とのコミュニケーションが多い人」
・「言語(日本語/英語)に強い人」
から優先して育てていくとスムーズです。
企業ページは“会社としてのハブ”、個人は“広がる触手”のイメージで分担すると、負荷を分散できます。
―――
Q4:全部自社でやろうとすると不安です。どこまで自分たちでやるべきでしょう?
A:
・プロフィール・企業ページの整備
・ターゲットとテーマ決め
・週1〜2投稿のトライ
このあたりまでは、自社でトライしてみる価値があります。
そのうえで、
・海外リーチを本格的に設計したい
・英語/他言語での発信設計をしたい
・AIやショート動画も絡めて、運用を仕組み化したい
と感じたタイミングで、外部パートナーに相談する形が現実的だと思います。
■ まとめ&無料相談のご案内
改めて、この記事のポイントを整理します。
・LinkedInは、世界で10億人以上が使うプロフェッショナルネットワークであり、ビジネス特化SNSのデファクトスタンダードになっている
・日本ではまだ約4〜5%程度の普及率で、「やっている企業が少ない=目立ちやすい」というポジションにある
・先日実施したAIスタートアップ向け研修では、
- 第1回:LinkedInの基礎とビジネス活用のメリット
- 第2回:発信戦略と今後の運用ロードマップ
という2本立てで、「自社にとっての使い道」を一緒に整理した
・これから始める人は、
1)プロフィール&企業ページを整える
2)ターゲットと発信テーマを決める
3)週1〜2本の投稿から3ヶ月続ける
というシンプルな3ステップで十分
LinkedInは、“完璧なグローバル企業”だけのツールではありません。
むしろ、「これから海外に踏み出したい個人・チーム・中小企業」にこそ、早めに触ってほしいプラットフォームだと感じています。
■ ここから先を、一緒に整理したい方へ
もしあなたが、
・海外生活や移住、ノマド的な働き方に興味がある
・自社のグローバル展開や海外リーチを考え始めている
・AIやSNSを使って、海外向けの発信や採用を強化したい
・でも、何から手をつければいいか分からない
そんな状態なら、一度、現状を一緒に棚卸ししてみませんか。
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