怖い話公開します!! 題名「夏祭りの少年」

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小説
これはとある夏の出来事。
大学二年生だった俺、トウヤは当時付き合っていたユミと夏祭りに出掛けた。
会場の河原は屋台と大勢の客でにぎわっていた。
トウヤ:「おお、人がいっぱい」
ユミ:「花火って、始まるの何時だっけ?」
トウヤ:「8時から。あと二時間もあるし、とりま、屋台めぐってみようか。」
ユミ:「うん。」
屋台を楽しむ俺たち。一時間が経過した。
ユミ:「ねえ、少し疲れた。休憩しよう。」
ユミの提案で土手に座る。
暫くボーっとしていると、
ユミ:「ねえ、トウヤ。」
トウヤ:「どした?」
ユミ:「あの子見て。」
ユミが指さした先には、辺りを見回す子供が一人。
トウヤ:「もしかして、迷子かな。」
ユミ:「心配だし、ちょっと声かけてみようよ。」
俺たちは子供に近づく。
トウヤ:「君、大丈夫?」
ユミ:「お父さんとお母さんは?」
すると子供は、
「どっか行っちゃった。」
と寂しげに言う。
やはり迷子だったのだ。
俺たちは子供を土手に連れていき、話を聞いた。
子供の名前はレンといった。
トウヤ:「レン君は、どこで一人になっちゃったの?」
レン:「あの川。」
川を指差すレン。
レン:「あの川で泳いでたんだけど。その途中でお父さんとお母さんから逸れちゃった。」
この言葉を聞いて、俺もユミも納得した。というのも、レン君の体は全身びしょ濡れだったのだ。
ユミ:「レン君、だからそんなにびしょ濡れだったんだね。」
そう言いながらユミはタオルでレン君の体をふく。
ユミ:「なんか、肌、凄く冷たいけど。大丈夫?寒くない?」
レン:「うん。大丈夫。」
元気にそう答えるレン。
暫くすると、花火が始まる。
レン:「花火大好き。」
トウヤ:「それは良かった。お父さん、お母さん、見つかるといいね。」
笑顔で頷くレン君。
そして花火は終了。皆が帰り始める。一方、レン君は親を探し回っていた。
ユミ:「見つかった?お父さんお母さん。」
トウヤ:「いない。駄目だ。今年もだ。」
涙を浮かべてレン君はそう言った。
トウヤ:「今年も?レン君、『今年も』ってどういうこと?」
しかしキョロキョロするレン君に俺の言葉は届いていなかった。
ユミ:「確かに、『今年も』って言ってたと思う。」
俺にそう呟くユミ。ユミも気になっていたようだ。
その時、
レン:「あ、いた!!」
レンの叫び声が。
指さす先には、一組の夫婦が。
トウヤ:「あれがレン君のお父さんとお母さん?」
レン:「うん。やっと見つかったよ。ありがとう。バイバーイ!!」
元気よく駆けていくレン。
ユミ:「結局、『今年も』ってどういう意味だったんだろうね。」
トウヤ:「さあ?もしかしたら聞き間違いだったのかも。まあ、親が見つかってよかったじゃん?」
ユミ:「そうだね。」
二人でけじめをつけ、俺たちは帰ることに。
しかし帰り際、ふと会場そばの河川敷に目をやるとあの夫婦の姿が。
ユミ:「あれって、さっきみかけたレン君の親だよね?」
トウヤ:「ああ。ちょっと行ってみるか。」
夫婦のもとに向かう俺たち。
トウヤ:「あの、すいません。レン君のご両親でいらっしゃいますよね?」
途端、夫婦の顔色が変わる。
周りにレン君の姿はない。
ユミ:「じつは、さっき、迷子になってたレン君を保護したんです。そして、先ほどご両親を見つけて走ってったと思うんですけど。」
ユミの話を聞くと、急に泣き出す奥さん。
旦那:「実は...」
旦那さんは打ち明けた。レン君は数年前、祭り当日にその川で溺死したこと、それ以来、ご両親は初めて祭り当日にこの現場に来たことを。
旦那:「つらかったんです。皆がワイワイ楽しんでる姿を見るのが。でも、今回は妻とよく話し合って。この方がレンも喜ぶんじゃないかって。だからここに来ました。」
衝撃的な事実に固まる俺達。「今年も」の意味がようやく分かった。そう。レン君は親が来るのをずっと待っていたのだ。
旦那:「でも、この日に私と妻を見つけることができて、きっとレンも喜んでいるはずです。」
妻:「レンを助けてくれてありがとうございました。」
夫婦は深く礼をして去っていった。
その場に残った俺たちは、二人、手を合わせてレン君の冥福を祈る。
「ありがとう。」
どこからか、レン君の声が聞こえた気がした。
こぼれる涙を拭い、俺はユミと共に、会場を後にするのだった。

解説(伏線回収) 
レンは数年前に川で溺死していた。従って、全身びしょ濡れだったのは川でおぼれたため。また、肌がすごく冷たかったのは既に死んでいたから。

夏祭りの少年、いかがだったでしょうか?
本来はマイページで商品化します。
しかし、皆さまからの日頃のご愛顧に感謝申し上げたく思い、今回は公開に踏み切りました。
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