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小説
ミクロ短編小説 ♯6
記事
小説
ミクロ 恋愛経験豊富な関西兄さん
2025/12/11 17:31
優斗の過去編
── 隠された想いと、戻れない時間 ──**
「……だからミクロ。
もう一回だけ、
あの時みたいに……そばにいてほしい。」
彼女のその一言で、
優斗の表情が一瞬だけ揺れた。
けれど彼はすぐに視線を落とし、
小さく息を吸った。
「……そっか。
なら、ちゃんと話すわ。
俺も隠すつもりなかったし。」
その声はいつもの柔らかい調子やのに、
どこか影があった。
ミクロも彼女も、
優斗の言葉の続きに耳を傾ける。
優斗は夜の空を見上げて、ぽつりと話し始めた。
「俺ら……三年前、付き合ってたんや。」
その言葉に、
彼女の指がピクリと動いた。
ミクロの呼吸が止まる。
(……付き合ってた?)
優斗は続けた。
「まあ正確には、
“付き合いそうで付き合えんかった”関係やけどな。」
彼女はぎゅっと拳を握ったまま、
言葉を飲み込んでいる。
ミクロは彼女を見た。
でも彼女は優斗を見ない。
優斗は続けた。
「彼女な。
昔から人に合わせすぎるタイプでさ。
自分が我慢する癖あるやん。」
ミクロは息を呑む。
それは今も感じていたことや。
「俺も若かったし、
ちゃんと気づいてあげられへんかった。
気持ち伝えるタイミング逃したのも、
全部俺のせいやと思ってる。」
彼女の目が揺れる。
痛みを思い出したみたいに。
優斗は静かに笑った。
「だから今回、
たまたま近くに来たんやなくて……
“ちゃんと向き合いに来た”ってのが本音や。」
ミクロの胸がざわつく。
(向き合う?
今、彼女と?
ここで?)
優斗は言い切った。
「三年遅れでも……
ちゃんと伝えたい気持ちがあるねん。」
彼女は顔を上げた。
驚きと戸惑いで言葉が出ない。
ミクロの心臓がつぶれそうになる。
優斗は軽く笑いながら、
ミクロの目を見た。
「ミクロ君。
あんたがどう思ってるか知らん。
でも……彼女のこと、
ほんまに大事にする覚悟あるん?」
唐突すぎる問い。
でも逃げられない。
ミクロが答えようとした、その瞬間。
彼女が、震える声で言った。
「……やめて。
私の気持ち、私の問題やから……
誰かが決めることちゃう。」
その声は、
三人の中でいちばん強かった。
優斗が驚き、ミクロも言葉を失う。
彼女は続けた。
「優斗の気持ちも分かる。
ミクロの気持ちも……多分、分かる。
でも……
今の私が誰を選ぶかは、
私がちゃんと決める。」
夜風が静かに吹き抜ける。
その強い言葉の裏で、
まぶたは震えたまま。
優斗は目を伏せ、
ミクロは胸の奥が熱くなる。
そして彼女は続けた。
「……だからお願い。
二人とも……少し、時間をちょうだい。」
その言葉で物語はまた一歩、
深い迷路へ入っていった。
誰が選ばれ、
誰が傷つくのか。
まだ、誰にも分からない。
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ミクロ 恋愛経験豊富な関西兄さん
大阪弁で寄り添う相談相手 / 30代後半 / 男性
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