ミクロ短編小説 ♯6

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小説
優斗の過去編

── 隠された想いと、戻れない時間 ──**

「……だからミクロ。
 もう一回だけ、
 あの時みたいに……そばにいてほしい。」

彼女のその一言で、
優斗の表情が一瞬だけ揺れた。

けれど彼はすぐに視線を落とし、
小さく息を吸った。

「……そっか。
 なら、ちゃんと話すわ。
 俺も隠すつもりなかったし。」

その声はいつもの柔らかい調子やのに、
どこか影があった。

ミクロも彼女も、
優斗の言葉の続きに耳を傾ける。

優斗は夜の空を見上げて、ぽつりと話し始めた。

「俺ら……三年前、付き合ってたんや。」

その言葉に、
彼女の指がピクリと動いた。

ミクロの呼吸が止まる。

(……付き合ってた?)

優斗は続けた。

「まあ正確には、
 “付き合いそうで付き合えんかった”関係やけどな。」

彼女はぎゅっと拳を握ったまま、
言葉を飲み込んでいる。

ミクロは彼女を見た。
でも彼女は優斗を見ない。

優斗は続けた。

「彼女な。
 昔から人に合わせすぎるタイプでさ。
 自分が我慢する癖あるやん。」

ミクロは息を呑む。
それは今も感じていたことや。

「俺も若かったし、
 ちゃんと気づいてあげられへんかった。
 気持ち伝えるタイミング逃したのも、
 全部俺のせいやと思ってる。」

彼女の目が揺れる。
痛みを思い出したみたいに。

優斗は静かに笑った。

「だから今回、
 たまたま近くに来たんやなくて……
 “ちゃんと向き合いに来た”ってのが本音や。」

ミクロの胸がざわつく。

(向き合う?
 今、彼女と?
 ここで?)

優斗は言い切った。

「三年遅れでも……
 ちゃんと伝えたい気持ちがあるねん。」

彼女は顔を上げた。
驚きと戸惑いで言葉が出ない。

ミクロの心臓がつぶれそうになる。

優斗は軽く笑いながら、
ミクロの目を見た。

「ミクロ君。
 あんたがどう思ってるか知らん。
 でも……彼女のこと、
 ほんまに大事にする覚悟あるん?」

唐突すぎる問い。
でも逃げられない。

ミクロが答えようとした、その瞬間。

彼女が、震える声で言った。

「……やめて。
 私の気持ち、私の問題やから……
 誰かが決めることちゃう。」

その声は、
三人の中でいちばん強かった。

優斗が驚き、ミクロも言葉を失う。

彼女は続けた。

「優斗の気持ちも分かる。
 ミクロの気持ちも……多分、分かる。
 でも……
 今の私が誰を選ぶかは、
 私がちゃんと決める。」

夜風が静かに吹き抜ける。

その強い言葉の裏で、
まぶたは震えたまま。

優斗は目を伏せ、
ミクロは胸の奥が熱くなる。

そして彼女は続けた。

「……だからお願い。
 二人とも……少し、時間をちょうだい。」

その言葉で物語はまた一歩、
深い迷路へ入っていった。

誰が選ばれ、
誰が傷つくのか。

まだ、誰にも分からない。


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