ツイノベ 366-370

記事
小説
『あなたの目の前には無限の可能性が広がっている』そう言われる度に不安になってしまう。私の目の前にある無限の可能性は、さながら蜘蛛の巣のように見えて、私はその巣の中心でもがいてる。希望に満ちていると勘違いしてしまえば、可能性の蜘蛛に喰い殺される。私の、たった一本の道は――/№366 蜘蛛の意図

ジリリリ。と、地面で蝉が這い蹲っていた。「あ、タンポポだ」意識してないのか、意図してなのか、花を避けた彼女は代わりに蝉を踏み付けた。ジリリリ。という鳴き声が止まる。「秋が過ぎる速さで光は陰るの」彼女の言葉を思い出す。長い夏が終わりに差し掛かり、もうそこまで秋が迫っていた/№367 光の陰る速度

コンビニへ行ったとき、彼女が珍しく募金箱に寄付する。その日の夜に彼女が自殺した。どこかの、誰かが、寄付したお金で幸せになるのだろうか。彼女のことを知らない誰かが。彼女を残して幸せになっていく。ある日、部屋から遺書が見つかる。達筆な字で書かれた文字の、読点だけが揺れていた/№368 アリア

クラスの人気者の影から「存在」をトプン、と掬い出す。黒い塊が手のひらに乗っかる。そっと口に含むと、その人が経験してきた苦痛や幸せの味がした。飲み込む度にその人の影が薄くなる。代わりに私は存在感を増していく。みんなに気付いてもらえるように、今日も泥水のような影を飲み込んだ/№369 影廊

ブラック企業に就職してしまった。食堂のイスに座って同僚のご飯を眺めると、得体の知れない物体が皿の上に乗っかっていた。食堂のメニューは勝手に決められる。同僚が「最近は苦虫や割りばっかり食わされてるよ」と嘆く。上司の失敗やストレスを消化するために、食べたくもないご飯を食べた/№370 ブラック昼食

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら