ツイノベ 091-095

記事
小説
祝福の種なるものが売られていた。この種を植えると願いが叶うが、その代わり、花が咲く前に枯らすと不幸になるそうだ。この種の恩恵なのか、私は意中の人と付き合えることになった。枯れたら別れてしまうと不安になり、花にだけ神経を注ぐ。いつしか、彼に対しての興味は失っていた/№091 祝福の種
公園のベンチに笹舟が置かれていた。そういえば、別れた彼女は笹舟を作るのが上手だった。笹舟を作っては噴水式の蛇口から水を出して、少し窪んだ水皿の中でどこにも行けない笹舟を揺らす。あの日の記憶も君との思い出も、笹舟と同じでどこにも流れないまま、僕も公園で揺らいでいた/№092 笹舟
家にお邪魔すると、彼女は決まって花の世話をする。「そんなに大切な花なの?」と聞くと「祝福の種って言うんだって。この花を枯らすと不幸になるの」と答える。取り憑かれたように花の世話をする様子は、愛でるというより病的に見えた。とっくに花が枯れていることにも気付かないで/№093 種の祝福
『私の声は届いていますか?』で始まる小説があった気がする。電車の中ではみんな携帯に夢中になって。スクランブル交差点ではみんな忙しなく歩いて。私のことなんて見向きもしない。この惑星でひとりぼっちになった気分だ。存在をなぞるように、呟く。「私の声は届いていますか?」/№094 ひとりぼっち惑星
「迷子の言葉を探しています」と張り紙が貼られていた。特徴は優しくて、尖っていて、ふんわりとして、冷たくて、綺麗で、触れられなくて、幸せで、哀しくて。ずっと側にいたはずなのに、気付くと消えていたそうだ。なぜだか僕はこの言葉を昔、心のどこかで知っているような気がした/№095 迷子の言葉



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