『個別の授業で面と向かっては言いにくい話をコラムにしています。ですのでタイトルも「ひとり言」。日々の指導で気づいたあれこれを綴ります。』
テストでも宿題でも、国語の文章を読んでさぁ問題を解こうとなったとき、記述問題ではとくにいきなりパッと頭に浮かぶ言葉ってありませんか?
設問の条件はいろいろうるさくて、「60字以内で」とか「文章中の言葉を使って」とかあるわけですが、そういうものを度外視した状態でのひらめきです。
主人公が友だちに舌打ちしたときの気持ちだったり、修学旅行中に出会ったおばあさんが主人公たちと話すうちに思わず涙ぐんでしまった理由だったり…。
聞かれること自体はそれこそ千差万別ですが、文章を読んで設問に取りかかった一番最初に、「もしかしてあのことでは?」とおぼろげながら気づく──。
人間関係でも第一印象は大事と言いますが、国語の問題の場合も、最初に頭に思い浮かんだ断片が核心を突いているケースが意外なほど多いんですね。
もちろん字数は全然足りないですし、そのままでは答えにはなりません。
しかしたとえば60字なら60字の記述のうち、もっとも重要になる文末の部分が、その第一印象で得たひらめきとほぼ同内容だったりします。
授業でいっしょに問題を解くときなど、「どう思う?」と尋ねたらビックリするほど核心を突いた正解のエッセンスを答えてくれたなんてことがざらです。
「お!今のいいね!」とか言ってほめまくるのですが、生徒さんはさほど手柄と思わないのか、実際に答えを書かせると「あれれ…」となりがち。
「さっき答えてくれた内容が良かったのになぁ。ちょっと抜けちゃったね」と励ますと、どうやらメモを取っておらず忘れてしまったようなんですね。
はい、このことがきわめて重要です。
一瞬のひらめきには真実(国語の問題なら正解)を含まれることが多いのですが、同時にあっと言う間に忘却の彼方へと失われがちでもあるんです!
おもに記述の設問ですが、問題に取りかかってすぐ"ひらめく"ことがあったら、とにかく用紙の余白にメモしておきましょう!
一度忘れたひらめきは、「え~と、なんだったっけ?」と思い出そうとすればするほど、50分程度の試験時間内ではまず記憶が戻りません。
ひらめきをメモしてから、その内容を軸足に、答えの全体を作り上げましょう。
私の名前が"ひらめきマナブ"なのも、算数のみならず、国語でもひらめきが大事なのだとジンワリわかってもらうためなのです。