国語講師のひとり言「国語の勉強が最良の読書」

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コラム
『個別の授業で面と向かっては言いにくい話をコラムにしています。ですのでタイトルも「ひとり言」。日々の指導で気づいたあれこれを綴ります。』
受験用の国語の問題を教えていると、使われている文章が良いものばかりなのに気づきます。

内容的にはたしかに高度ですが、ギリ小学生にもわかるレベルで、しかも読みやすく正確な日本語で綴られています。

たとえば物語文なら、主人公の抱えたトラウマがクローズアップされ、周囲の人々を巻き込んで、彼や彼女の心に変化が兆す印象的なシーンが多いですね。

論説文では、たとえば苫野一徳氏の文章で「一般化」について明快な解説がコンパクトになされ、戸谷洋志氏の親ガチャ論も非常に示唆に富む内容でした。

随筆文では、向田邦子氏の「字のないはがき」などは白眉。

戦争というものの悪の一端にふれようと思ったら、どんな歴史書より心にズシリと刺さるはずです。

少し上級者向けなら、竹西寛子氏の「猫車」。

内容はもちろん文章の美しさにしびれます。小学生にそこまでの鑑賞は難しいとしても、一度触れたか触れていないかはその後に大きく影響するはず。

受験するつもりはないけれど、読書習慣の定着のために受験塾で国語だけ受講する──もしそんな子がいたら、有望なニュータイプでしょう。

学校の教科書ではまずお目にかかれませんし、図書館で小学生が手に取るような本でもないわけで、どれも受験勉強をすればこそ出会えた文章なんですね。

ですから自覚はないかもしれませんが、中学受験の小学生はみんなハイレベルな読書家。

興味を持って取り組めば、難関突破以上の人生の贈り物をもらえるはずです!

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