『個別の授業で面と向かっては言いにくい話をコラムにしています。言いにくいワケは、生徒さんは1人1人状況が異なり、一般論のアドバイスがつねに当てはまるとは限らないからです。
ですのでタイトルも「ひとり言」。本コラムの内容に有効性があるかと問われれば、私自身の中学受験や長年の指導で実践を心がけ、結果を出してきた事実を挙げるのみです。』
「そう言えば、少し前に受けた模試の結果、どうでしたか?」
国語の授業をしていると、受け持つ生徒さんの成績状況は当然気になります。
生徒さんに直接尋ねることもあるのは、現状の成績に積極的な関心が持てているかをそれとなくチェックするためです。
「今回は53点でした」
そんな答えが返ってくると、やっぱりちょっと困ってしまうんですね。
やや不満げな表情から察するに、(あまり良くなかった)そう感じているのは明らかです。
するとオンラインの画面外から親御さんの声が聞こえてきました。
「でも先生、今回は偏差値は58で、前回よりかなり上がって…」
教える方としてはそれは素直にうれしいわけですが、ただ気になるのは生徒さん自身の受け止めです。
小学校と塾とでは、小学校の方がはるかに長く慣れ親しんできた環境。
テストの結果に対する判断の仕方ひとつ取っても、なかなか発想が切り替わらないんですね。
偏差値ということばには妙にネガティブな響きがありますが、中学受験をするからには、
"点数を気にする"から"偏差値を気にする"へ
この転換は必要不可欠でしょう。
しかし人間とは保守的な生き物。
小学生と言えどもそのへんは変わらず、小さい頃から何年も親しんできた点数評価の価値観から、なかなか抜け出せない子がけっこういます。
かく言う私にも価値観がシフトした瞬間がありました。
あるとき塾の算数のテストで67点を取り、点数で良し悪しを判断する学校の感覚で、「うわ~、やっちまったー!」と落ち込んでいたのでした。
ところがその回は平均点がかなり低く、67点はじつは高得点だったとあとで知ってビックリ。
おぼろげな記憶ながらすでに小5の終わりか小6の始めの頃だったはずで、今から思えばずいぶん気づくのが遅い気もします。
ただいずれにせよそれ以降は、点数ではなく偏差値を気にするまっとうな受験生になれたのでした。