占いを超えていけ

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 私には、15年ほど付き合いのある友人がいました。
 彼女の口癖は「結婚したい」で、私は結婚にそこまで興味がないのですが、なんとなく話を聞いて、意見を求められれば自分の見解を話したりしていました。
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 通話アプリで毎晩のように他愛のない話をして、毎回途中から彼女の婚活の話が始まるんですが、だんだんゲンナリしてきていました。
 彼女は当時35歳だったのですが、結婚相手に求めるハードルが高すぎるんです。

 よくある話だと思うのですが、顔はこうで、年収はこれくらいあって、性格はこうで……等々、とにかく条件が厳しかったんです。

 彼女と仲の良い私から見ても「無茶だなぁ」と感じる部分が多くて、角が立たないようにやんわり伝えていたつもりでしたが、一番彼女が求めていたのが「私は実家暮らしを辞めるつもりがないから、婿に来てくれる人」というもので、その最強の条件だけは譲るつもりがないようでした。
 ある日、某お笑いタレントの女性が結婚したというニュースがありました。
 すると彼女からすぐに連絡があって「怒りが止まらない」という言葉がありました。

 何に対する怒りなのかさっぱり分からなかったのですが、ともかく彼女にとって、世間的に「不美人でモテない」というようなイメージであった彼女が結婚できたことに納得がいかないのだろうな、ということだけは察しました。

 でも、私たちはテレビのモニターを通した状態の彼女しか知らないのですから、世間的にどう思われているお笑いタレントさんだろうと、私たちが知らない魅力に溢れている可能性なんていくらでもあるじゃないですか。

 そのあたりから、彼女の「結婚したい」系の話題に辟易し始めました。
 当時はまだ今ほどマッチングアプリなどが普及していなかったのですが、いくつかの婚活サイトなどは存在していて、彼女はそこに登録して、様々な人とやり取りしては「体目的の人しかいない」と嘆いたり怒ったりしていました。

 私はそういうサイトやアプリに触れたことがないので分からないのですが、憤慨する彼女の話を聞きながら「そういうもんなのかな」みたいに、少し同情したりしていました。

 そんなある日、彼女からいきなり、私への怒りの長文メールが届きました。
 内容としては、私がいつもしていた言動にすごく頭に来て、自分はひどく傷ついた、というようなことでした。

え? いつもしてたことだけど……
 急に頭に来たのか、それとも前々から耐えていて、遂に言おうと決心したのか……

 かなり混乱したのですが、だんだん腹が立ってきて、これまで彼女に抱いていた違和感などについて、こちらもぶちまけてしまいました。

 そこで彼女との関係性は途切れました。15年の関係性が、よく分からない理由で突然終わったんです。

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 数年後、
「そういえば、あの子と仲良かったけど最近どう?」
 と、別の友人に聞かれる機会がありました。
「いや、数年前に色々あったから、なんとなく今は絡んでないね」
 そう答えると、友人は
「あーそうだよね。彼女もいきなりお父さん亡くして大変だったみたいだもんね」

 普通の声色でそんなことを言いました。

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 彼女は随分前にお母さんを亡くし、お父さんと二人暮らしだったはずです。
 かなり驚愕したのですが、友人に話を聞いてみると、私にいきなり怒りのメールを送ってきた時期、彼女は突如倒れたお父さんの看病で非常に忙しく、精神的に不安定だったということが分かりました。

 その友人も、そのことを知ったのは最近だということでした。
 なぜ彼女は、それを私に言ってくれなかったのか、今でも分かりません。言える空気を私が作ってあげられていなかったのかもしれません。

 あの時、冷静に一言、

「どうしたの? 何かあったの?」

 と彼女に聞けていたら、違う世界線にいたのかもしれません。

 あの時、占いというスキルを持っていれば、占いの結果に頼る頼らないではなく、一度立ち止まって「急に何言ってるんだろう? 一旦彼女の気持ちでも占ってみようかな」と、頭を冷やす時間が取れていたのかもしれません。

占いは、衝動的な自分を一度立ち止まらせて考えさせる手段のひとつでもあります。
 当たっても当たっていなくても、そのことについて考える時間を自然と取ることになります。

 返す刀で反論した自分を、今でもたまに残念に思うことがあります。
 思考の整理の手段としても、占いというのは有用なのだと思っています。
衝動的に何か行動しそうになった時は、一度立ち止まってみてください。
 ポジティブなものでない限り、勢いで行動すると碌なことがない、と、一旦自分を落ち着かせてみていただきたいです。

後悔しても取り返せないものの大きさに後から気付くというのは、なかなか引きずります。
 今はあの日のことを思い出すたび、彼女が平穏な結婚生活を送っていることを願っています。
*Raula*
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