家庭教師の生徒で一番長期にわたって担当したのは、小学2年から大学卒業までの15年間です。
実はその生徒さんはいわゆる学習障害(LD)との診断を受けていました。
LDと言っても様々な種類がありますが、その中のディスレキシア(読字障害)というのが主な診断でした。
ディスレキシアの診断がついていても、状況はそれぞれで異なりますので、
それぞれの生徒さんの状況をみて、それに沿った指導をしていくことになります。
ただ、その中でもそういったLDと診断されたお子さんにありがちですが、
ものすごく「自己否定感」を強く持っていました。
「どうせ、僕はできないから、いいんだ」
「どうせ、わからないから…」
「やっても、覚えられないし…」
などなど。
もちろんLDと診断されたかどうかに関係なく、そのような「自己否定」的なお子さんもいらっしゃると思います。
まずは、この「自己否定感」を取り除くことから始めなければいけません。
どんな些細なことでもいいので、「自己肯定」できることを探してあげることから家庭教師の指導をはじめました。
その生徒さんの場合は、「映画に詳しい」「虫に詳しい」などありましたので、まずはその話を聞く。
そして「その知識はすごい」と認める。
もちろん、学校に通っている以上、学校の勉強をする必要はありますが、
「できなかったことに対しては絶対に怒ったり否定したりしない」
ただし「努力を怠ったことに対してはいさめる」
とはいっても読字障害があると、普通に教科書を読むだけでも、他のお子さんの何倍も疲れるので、そのあたりももちろん考慮しながら。
そうすると1年ほどしたあたりから、
「自分はこういうことが得意」
ということを自覚し、「自己肯定感」をしっかり持ってくださるようになりました。
そうなると、「自分はこう思う」など、自分を発信できるようになりました。
「自己否定感」を強く持っているお子さんを「自己肯定感」を持てるようにするのは簡単ではないかもしれません。
でも、どんな些細なことでもいいので、それを糸口として「自己肯定感」を持てるようにすることは、重要だなと思います。