相関係数算出ツール株式版の概要

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マネー・副業
相関係数算出ツール株式版は、登録した銘柄の株価推移同士の相関を分析し、一覧表やチャートを表示することで、リスク低減などに有効な組み合わせを見出すためのツールです。

例えば、株式を長期保有する際に、本ツールを用いて見出した、互いに補完し合う銘柄同士を組み合わせることにより、シャープレシオの大きな運用が行えるかもしれません。

株価推移同士の相関係数を求めて、相関の小さい銘柄同士を組み合わせ、リスク低減を図る手法は、投資信託などで一般に行われています。
そのためには通常、月次、週次、もしくは日次の騰落率を求め、それら同士の相関係数を求めて判断します。

しかし、この方法だと、銘柄同士の相関が明確に現出せず、多くの組み合わせにおいて、似たような結果しか得られません。日次騰落率同士の相関係数の一例を次図に示します。
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これでは、何を基準に組み合わせを判断すればよいのか、さっぱり分からなくなります。

そこで、本ツールではこの問題に鑑み、株価推移の回帰直線からの乖離(残差)同士の相関を分析しています。その結果の一例を、次図に示します。
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騰落率の場合と比較して、相関係数の分布の幅が広がり、メリハリが効いていることが分かります。
これが実際に何を意味しているかを、考えてみます。

その前に、本ツールの使用方法を、ざっと説明します。

次図に示す銘柄登録シートに株価データファイルを登録し、シート右上にある「相関係数算出」ボタンを押すと、相関係数一覧シートと各銘柄のデータシートが作成されます。
相関係数一覧シートは、上掲の図に示す内容となります。
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相関係数一覧シート上の相関係数をダブルクリックすると、当該銘柄同士の散布図が表示されます。例えば、1662石油資源開発と2264森永乳業との散布図は、残差間の場合が次図上段、日次騰落率間が下段となります。
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同様に、相関係数を右クリックすると、次図に示すように株価推移、もしくは騰落率推移の各チャートが表示されます。株価推移チャートでは、それぞれの株価とその回帰直線とが表示され、株価と回帰直線との差が残差となります。
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この2本の株価推移を重ね合わせると、残差がプラスの部分とマイナスの部分とが相殺され、全体的に残差の小さい株価推移が得られます。
これが、株価合成によりリスクを低減できる理由です。

なお、この事例では回帰直線の傾きが逆ですので、実際に合成しても収益を得ることは困難です。

例えば、前回の記事で報告した6754アンリツと9432日本電信電話の場合、元システムの株価推移は次図のようになります。
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この場合、回帰直線の傾きは共にプラスであり、相関係数は-0.7995と強い逆相関にあることから、両者を合成すると、先日の記事に示したチャートになるわけです。
また、両者の直近株価水準がほぼ同じであることから、合成比率は1対1としています。

これを騰落率における相関だけで判断しようとすると、相関係数は0.2213に過ぎず、突出して小さいわけではありません。
このことから、騰落率を用いた相関分析では、有効な結果を得ることが困難だということが分かります。

ちなみに、本ツールでは株価残差、騰落率、騰落率残差の3種類の分析を行うことが出来ます。騰落率残差は株価残差を単利ベースで分析したものであり、株価水準に影響されにくいという特長があります。

これらの分析を全て行うか、いずれかを行うかは、銘柄登録シートの左上にあるスイッチで設定することが出来ます。

また、分析期間はテスト期間と運用期間、そして全期間に分かれ、それぞれの期間毎に相関係数を求めたり、チャートを表示したりすることが出来ます。
運用期間は標準で、直近1年程度に設定していますが、後で変更可能です。

全期間における開始日は、登録銘柄の開始日の内、最も新しい日付を自動設定しますが、手動で任意日付に設定することも出来ます。
更に、全期間における終了日は、登録銘柄の終了日(直近日)の内、最も古い日付を自動設定しますが、手動で任意日付に設定することも出来ます。

登録銘柄数は、エクセルの互換モードで最大250銘柄程度、標準モードで基本的に上限なしですが、銘柄数が増える程、相関係数算出に掛かる時間やファイル容量は増大します。

そのため、通常は100銘柄程度を上限とすることを推奨します。相関係数算出時間はパソコン環境に依存しますが、3GHz程度のCoreiパソコンで、最大5分程度の時間を要します。

チャート表示等には再計算を必要としないのでほとんど影響ありませんが、日付変更等の処理を行うと、再計算が生じて時間が掛かります。
日付を固定するなどして再計算の必要がない場合は、「結果固定1」ボタンを押すことで、動作速度を向上させたり、ファイル容量を低減したりすることが出来ます。

更に、チャート表示も必要ない場合は、「結果固定2」ボタンを押すことでデータシートを削除し、ファイル容量を大幅に削減することが出来ます。
ただし、この用途はほとんど必要性がないかもしれません。

相関係数一覧の最終列には、次図に示すように株価推移のEERとRSQ(決定係数)を表示しています。EERがプラスなら回帰直線の傾きは正、RSQが100%に近いほど直線に近い推移となります。
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リスク低減を目的とした銘柄同士の組み合わせを求める場合、互いの相関係数が強い逆相関にあると共に、合成元銘柄のEERが共にプラスで、その値やRSQが十分に大きいことが理想です。

あるいは、互いの相関が強い正相関であると共に、合成元銘柄のEERが正と負で、RSQが十分に大きい場合、EERが正の銘柄を買い、EERが負の銘柄を売れば、やはり良好な組み合わせとすることが出来ます。

本ツールは、それ以外にも工夫次第で、様々な場面に活用することが出来るでしょう。ここでは方法は示しませんが、裁定取引などにも利用することが可能だと思います。

以上、相関係数算出ツール株式版について、概要を説明いたしました。
詳細につきましては、後日、取扱説明書を公開する予定です。また、サービスへの出品や出品形態につきましては、取扱説明書の公開後、速やかに開示したいと考えます。

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