任意同行の限界とは?~「任意」だから何でも許されるわけではない~

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刑事ドラマでは、警察官が「ちょっとお話を聞かせてもらえますか?」と言いながら人物を警察署へ連れて行く場面をよく見かけます。

このような捜査手法を「任意同行」といいます。

しかし、「任意」という言葉がついている以上、警察が自由に人を連れて行ってよいわけではありません。

今回は、刑事訴訟法における任意同行の限界について解説します。

任意同行とは?

任意同行とは、被疑者や参考人に対して、警察署などへの同行を求め、事情聴取を行うことをいいます。

法律上、捜査は原則として任意捜査によることとされています(刑事訴訟法197条1項)。

つまり、

本人の意思に基づいて行われること
強制力を伴わないこと

が大前提です。

任意同行と逮捕の違い

逮捕された場合には、

身体拘束を受ける
帰宅の自由がない
弁護人選任権などの告知が行われる

といった法的効果があります。

一方、任意同行では、

断ることができる
いつでも帰ることができる
身体拘束を受けない

というのが原則です。

そのため、警察が「任意」と言いながら実質的に帰宅を許さないような場合には問題が生じます。

任意同行の限界
① 同行そのものが強制になってはいけない

例えば、

多数の警察官に囲まれる
威圧的な言動で同行を迫る
拒否を認めない態度をとる

ような場合には、本人の自由意思が失われている可能性があります。

このような状況では、任意同行ではなく実質的な強制処分と評価されることがあります。

② 同行後も自由に帰宅できなければならない

任意同行で警察署へ行ったとしても、本人はいつでも帰宅できるのが原則です。

ところが、

出入口を警察官が塞ぐ
帰りたいと言っても認めない
長時間にわたり説得を続ける

などの行為が行われると、実質的な身体拘束となる可能性があります。

任意同行は「行く自由」だけでなく「帰る自由」も保障されていなければなりません。

③ 長時間の取調べにも限界がある

任意の取調べであっても、

深夜に及ぶ
何十時間も続く
睡眠や食事を十分に与えない

といった状況になれば、任意性は失われます。

取調べの適法性は、

時間の長さ
場所
警察官の対応
本人の年齢や健康状態

などを総合的に考慮して判断されます。

有名な判例

最高裁判所は、任意捜査であっても社会通念上相当な限度を超えてはならないとしています。

任意同行後の取調べについても、

「実質的に身体拘束と同視できる状態」

になれば違法となる可能性があると考えられています。

つまり、形式上「任意」と呼ばれていても、実態が重要なのです。

任意同行で得られた証拠はどうなる?

違法な任意同行や違法な取調べによって得られた供述は、証拠能力が否定される場合があります。

刑事裁判では、

「警察が何をしたか」

だけでなく、

「どのような方法で証拠を集めたか」

も重要な問題となります。

捜査の違法性が重大な場合には、供述調書が証拠として採用されないこともあります。

まとめ

任意同行は、捜査機関にとって重要な捜査手法ですが、あくまで本人の自由意思に基づくものでなければなりません。

任意同行の限界は、

同行を強制してはいけない
いつでも帰宅できなければならない
長時間の取調べは許されない
実質的な身体拘束になってはいけない

という点にあります。

「任意」という言葉が使われていても、実際には強制処分と変わらない状態であれば違法となる可能性があります。

刑事訴訟法は、犯罪捜査の必要性と個人の自由・人権保障とのバランスを図るために、このような限界を設けているのです。

南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本
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