地面師と司法書士の役割 ――今朝のニュースをきっかけに

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今朝のニュースでまた「地面師」という言葉を耳にした。
何度聞いても、響きだけは妙に軽い。でも、やっていることはとても重い。
不動産という、人生でもっとも高額になりがちな取引の“根っこ”を狙う犯罪だ。

地面師とは何者か

地面師は、簡単に言えば
「本当の所有者になりすまして土地や建物を売ってしまう詐欺師」。

偽の身分証、偽の印鑑証明、偽の委任状。
書類の完成度は年々上がり、素人はもちろん、業者でさえ一瞬迷うレベルになることもある。

彼らが怖いのは、
「勢い」ではなく「準備」でくるところだ。
空き地、相続未登記、長年使われていない建物。
“声を上げる人がいない不動産”を、静かに、正確に狙ってくる。

そこで登場する司法書士

この局面で、必ず登場する専門家が司法書士だ。

司法書士の仕事は、単に登記申請をすることではない。
本質はここにある。

本人確認(なりすましではないか)

書類の整合性チェック

売主の意思確認

不自然な取引条件がないかの見極め

つまり、
「この取引、本当に現実の世界で起きていいものか?」
それを最後に止める立場でもある。

だから地面師事件では、
「司法書士はなぜ見抜けなかったのか」
という問いが、必ず後から投げかけられる。

司法書士は“保証人”ではない

ここは誤解されやすい点だ。

司法書士は、取引の安全を最大限確認する専門家ではあるが、
未来を完全に保証する存在ではない。

どれだけ注意しても、
偽造が高度で、関係者全員が役を演じきっていれば、
突破される可能性はゼロではない。

それでも、
司法書士が関与していない取引と、
関与している取引では、
リスクの厚みがまるで違う。

ニュースを見るときの視点

今朝のニュースを見て、
「また司法書士か」と感じた人もいるかもしれない。

でも一歩引いて考えると、
司法書士が関与していたからこそ、事件として“見える化”された
という側面もある。

もし誰もチェックせず、
誰も記録を残さず、
誰も専門家が関わっていなければ、
被害はもっと深く、静かに広がっていたはずだ。

不動産は、紙一枚で動く

土地や建物は動かない。
でも、権利は紙一枚で動く。

だからこそ、
地面師は紙を偽り、
司法書士は紙を疑う。

この緊張関係の中で、
不動産取引の安全は、なんとか保たれている。

ニュースは一瞬で流れていく。
でも、
その裏で何を守ろうとしている仕事なのか。
そこまで想像できると、
同じニュースでも、少し違って見えてくる。

――朝のコーヒーが、ほんの少しだけ苦くなる話。

南本町行政書士事務所 代表 特定行政書士 西本
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