自筆証書遺言で公正証書遺言の内容を覆すことができるか

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コラム

遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」という2つの代表的な形式があります。
では、一度 公正証書遺言 を作成したあとで、本人が新たに 自筆証書遺言 を書いた場合、
その内容で公正証書遺言を“覆す”ことはできるのでしょうか。

結論から言えば、条件を満たせば可能です。
ただし、いくつかの重要なポイントとリスクを理解しておく必要があります。

公正証書遺言とは

公正証書遺言は、公証人が作成し、公証役場に原本が保管される遺言です。
偽造や紛失のリスクがなく、最も確実な形式といわれています。

そのため、法的な有効性・信頼性は非常に高く、裁判でも重視されます。

自筆証書遺言で覆すことは「理論上可能」

民法第1023条第1項では、

「前の遺言と後の遺言とが抵触する場合には、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす」
と規定されています。

つまり、後に作成された遺言が優先される のです。
したがって、公正証書遺言よりも後の日付で有効に作成された自筆証書遺言が存在すれば、
その内容が公正証書遺言を「撤回した」ものとして扱われます。

ただし、実務上は慎重に考えるべき理由
① 自筆証書遺言は形式不備で無効になる可能性がある

自筆証書遺言は、全文・日付・署名を自書しなければなりません。
誤字や日付の曖昧さ(例:「令和五年八月吉日」など)があると、
無効と判断されることもあります。

公正証書遺言を上書きするつもりで書いたのに、
結果的に無効になるケースも少なくありません。

② 保管・発見の問題

公正証書遺言は公証役場に保管されますが、
自筆証書遺言は自宅などで保管されるケースが多く、
発見されないまま執行が進んでしまうこともあります。

法務局の「自筆証書遺言保管制度」を利用すれば安全ですが、
それでも“本人の意思”が確実に反映される保証はありません。

③ 意思能力・作成状況の疑念

公正証書遺言は公証人が本人の意思確認を行うため、
「判断能力に問題がなかった」という証明が容易です。
一方、自筆証書遺言は本人が単独で作成するため、
後に「認知症の進行中に書かれたのでは?」と疑われやすいという弱点があります。

実務的なアドバイス

遺言内容を変更したい場合、新たに公正証書遺言を作成 するのが最も確実。

どうしても自筆で書く場合は、日付と署名を明確にし、
 法務局保管制度を利用する。

「前の遺言を撤回する」という文言を明記しておくと、後の争いを防げます。

まとめ

公正証書遺言を自筆証書遺言で覆すことは 法律上は可能 ですが、
実務的には「非常にリスクが高い」方法です。

遺言は人生の最終意思を示す大切な文書です。
形式の違いが「意思の伝わり方」を左右してしまうのは避けたいところ。

本当に内容を変更したい場合は、専門家に相談し、
確実に有効な形で“最後の意思”を残す ことをおすすめします。

南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本
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