不採用通知を書く手が止まる。採用を兼務している方なら、一度は経験があると思います。
落とすと決めたのは自分なのに、いざ文面にしようとすると言葉が出てこない。冷たく響かないか、逆に思わせぶりになっていないか。そう考えているうちに、送信までに何日も経ってしまう。
スタートアップ・中小企業4社で人事を21年担当し、不採用通知を出すのはずっと私の仕事でした。この記事では、実際に送っていた立場から、文面の型と、その前に決めておくべきことをお伝えします。
例文は7パターン、そのままお使いいただける形で載せています。
■ その前に:不採用通知は、送り方で会社の評判が変わる
先に、文面より大事な話をさせてください。
不採用通知は、その会社と応募者の最後の接点です。そしてここでの印象は、意外なところに残ります。
私が理由を伝えないと決めていたのには、はっきりした理由があります。
今後どこで、うちの得意先になるかわからないからです。
きれいごとではなく、実務の判断です。今日不採用にした方が、数年後には取引先の担当者になっているかもしれない。同業に転職して、どこかで名前を聞くかもしれない。採用側は、そこまで現実に想定しています。
だから、落とす連絡ほど丁寧に出す。これが基本です。
■ 落選理由は書かない
不採用の理由は、原則として書きません。書くのは結果だけです。
「今回はご期待に沿えず」で止めます。「経験が不足していたため」「他の候補者と比較した結果」といった具体的な理由は入れません。
理由は2つあります。
1つは前述のとおり、相手との関係が今後どうつながるかわからないこと。もう1つは、理由を書くと必ず反論の余地が生まれることです。「経験不足」と書けば「この経験があれば通ったのか」という問い合わせにつながります。そこに応じる時間は、たいていの採用現場にありません。
冷たいようですが、理由を伏せるのは相手を軽んじているからではありません。むしろ、変に含みを持たせないための配慮です。
■ 出すタイミング:早すぎても遅すぎてもいけない
私は「少し寝かせる派」でした。
面接をやって、その翌日に不採用通知がボーンと届く。受け取る側になって考えると、これはこたえます。「その場で決まっていたのでは」と思わせてしまう。
かといって放置もよくありません。1週間を超えると、応募者の気持ちはもう離れています。他社の選考が進み、そちらで決まってしまうこともあります。
目安としてはこのあたりです。
・書類選考の不採用: 3日〜1週間以内
・面接後の不採用: 2〜3日ほど間を置く
・最終面接後: 3日前後(それ以上待たせない)
これは私の運用で、絶対の正解ではありません。ただ「即日」と「1週間超え」の両方を避ける、という考え方は持っておいて損はないと思います。
■ 送信する時間帯にも気をつける
意外に見落とされるのがここです。
朝8時前に不採用通知が届いた。土曜日に採用停止の連絡が来た。こうしたことは、それだけでSNSに書かれることがあります。文面がどれだけ丁寧でも、届く時間で台無しになります。
平日の日中、できれば10時〜17時のあいだに届くようにしてください。
夜中や休日に作業した場合は、そのまま送らないこと。Gmailなどの送信予約機能を使えば、指定した日時に届けられます。時間帯を管理するだけで、会社の印象は変わります。
■ 段階によって文面を変える
全員に同じ定型文を送っていたわけではありません。
・書類選考で見送った方 → 定型文のまま
・一次面接まで来た方 → 来社(または面談)への御礼を一言足す
・最終面接まで進んだ方 → さらに言葉を厚くする
最終まで進んだ方には、申し訳なかったという気持ちを添えていました。ここまで時間を使ってくださった方に、書類選考と同じ文面を送るのは、やはり違うと思います。
手間はかかりますが、足すのは1〜2行です。
■ 不採用通知の例文7パターン
そのまま使える形で載せます。【 】の部分を置き換えてお使いください。
【1】書類選考の不採用(定型)
件名:選考結果のご連絡/【会社名】
【氏名】様
このたびは、【会社名】【職種名】の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。
慎重に選考を進めてまいりましたが、誠に残念ながら、今回はご期待に沿いかねる結果となりました。
ご応募いただきましたこと、あらためて御礼申し上げます。【氏名】様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
【会社名】採用担当 【担当者名】
【2】一次面接の不採用
件名:面接結果のご連絡/【会社名】
【氏名】様
先日はお忙しいなか、面接のお時間をいただき誠にありがとうございました。
選考の結果、誠に残念ながら、今回はご期待に沿いかねる結果となりました。
貴重なお時間を頂戴しましたこと、重ねて御礼申し上げます。【氏名】様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
【会社名】採用担当 【担当者名】
【3】最終面接の不採用(手厚く)
件名:最終選考の結果につきまして/【会社名】
【氏名】様
先日は最終面接にお越しいただき、誠にありがとうございました。
社内で慎重に検討を重ねてまいりましたが、誠に残念ながら、今回はご期待に沿いかねる結果となりました。
複数回にわたりお時間を割いていただいたにもかかわらず、このようなご連絡となりましたこと、心苦しく思っております。
【氏名】様のこれまでのご経験とお人柄については、選考を通じて十分に伝わっておりました。ご縁がありませんでしたこと、重ねてお詫び申し上げます。
今後のご健勝とご活躍を、心よりお祈り申し上げます。
【会社名】採用担当 【担当者名】
【4】アルバイト・パートの不採用
件名:選考結果のご連絡/【店舗名・会社名】
【氏名】様
このたびは【店舗名】のアルバイト募集にご応募いただき、ありがとうございました。
選考の結果、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。
ご応募いただきましたこと、あらためて御礼申し上げます。またご縁がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
【店舗名】採用担当 【担当者名】
【5】応募多数のため選考しきれなかった場合
件名:選考結果のご連絡/【会社名】
【氏名】様
このたびは【会社名】の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。
今回は多数のご応募をいただき、慎重に選考を進めてまいりましたが、誠に残念ながら、今回はご期待に沿いかねる結果となりました。
ご応募いただきましたこと、あらためて御礼申し上げます。【氏名】様の今後のご活躍をお祈り申し上げます。
【会社名】採用担当 【担当者名】
【6】電話が繋がらなかったときのフォロー
件名:ご連絡いたしました件について/【会社名】
【氏名】様
【会社名】採用担当の【担当者名】と申します。
本日【時刻】頃、選考結果のご連絡でお電話を差し上げましたが、ご不在のようでしたのでメールにて失礼いたします。
慎重に選考を進めてまいりましたが、誠に残念ながら、今回はご期待に沿いかねる結果となりました。
お電話でお伝えできず恐縮ですが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。ご応募いただきましたこと、あらためて御礼申し上げます。
【会社名】採用担当 【担当者名】
【7】採用を一時停止するとき
件名:採用選考の一時停止についてのお詫び/【会社名】
【氏名】様
このたびは【会社名】の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。
大変申し訳ございませんが、社内の事情により、当該ポジションの採用活動を一時見合わせることとなりました。
【氏名】様には選考にお時間を頂戴しておりながら、このようなご連絡となりましたこと、深くお詫び申し上げます。
募集を再開する際には、あらためてご連絡を差し上げてもよろしいでしょうか。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
【会社名】採用担当 【担当者名】
■ 書かないほうがいい3つの表現
例文とあわせて、避けたい書き方もお伝えします。
1つ目は、具体的な落選理由です。前述のとおり、問い合わせと反論を招きます。
2つ目は、「またの機会に」「ぜひ次回は」といった、次を思わせる表現です。再応募を想定していないのであれば、期待を残す言い方は避けたほうが親切です。
3つ目は、過度な持ち上げです。「大変優秀な方でしたが」と書くと、では何が足りなかったのかという疑問だけが残ります。人柄や経験に触れるなら、最終選考まで進んだ方に限って、簡潔にとどめるのがよいと思います。
■ 不採用通知に返信が来たとき
まれに、応募者から返信が届くことがあります。御礼のメールもあれば、理由を尋ねる内容のこともあります。
御礼への返信は、必須ではありません。返す場合は1〜2行で構いません。
理由を尋ねられた場合も、方針は変えないでください。「選考の詳細についてはお答えいたしかねます」と、丁寧に、しかしはっきりお伝えするのが原則です。ここで個別に理由を説明し始めると、対応の基準が人によって変わってしまいます。
■ 最後に:これは「合わなかった」の通知です
不採用通知を送るとき、自分に言い聞かせていたことがあります。
たまたまうちに合わなかっただけで、その人の人間性を否定しているわけではない。
求人票も自分で書いていたので、その求人を見つけて、時間を割いて応募してくださったこと自体に、こちらが感謝すべきだと思っていました。流れ作業になる日もありましたが、申し訳ないという気持ちと、ありがとうという気持ちは、いつもどこかにありました。
その気持ちが、文面の丁寧さに出ます。そして受け取った側は、それを案外読み取ります。
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不採用通知のほかにも、採用のやりとりでは文面に迷う場面が続きます。応募受付、面接日程の調整、前日のリマインド、内定通知、内定辞退への対応、選考途中の辞退——状況ごとに検索していたら、それだけで半日が消えます。
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