化粧品の化学 ~使われている材料・技術を解説~
化学技術の宝庫。そう言っても過言ではないくらい、様々な化学の先端技術や物質が化粧品には使われています。1990年代半ばまで、化粧は厚ぼったく、一目見ただけで「化粧をしている」と分かるものでした。しかし、ナノ粒子とその分散技術の登場によって一変します。ナチュラルメイクの誕生です。肌に塗布した化粧品が膜となり、その中に含まれた微粒子(酸化チタン、酸化鉄)がシミなどを隠しながら光を散乱させ、白く綺麗に見せます。ナノサイズ(A4用紙の厚さと同等以下)の粒子の大きさを上手く調整し、均一に分散させるのは至難の業ですが、その困難を乗り越えて完成したのが現在普及している化粧品の原型です。更に、しわや毛穴をぼかして見え難くする、ソフトフォーカス効果が登場しました。これは、光を散乱しつつ透過もするという高度な技術です。この技術を前進させたのがシリコーンゲルの微粒子です。光をある程度透過しつつ、散乱させて白く見せる。地肌のまま美しくしてくれます。ナチュラルメイクには、ファンデーションによる肌色の調整も重要です。主にマイカ(雲母)の板状結晶の表面を酸化チタン粒子でコーティングしたものがパール顔料として使われています。この顔料は、干渉光によって赤・青・緑・黄や金・銀など、コーティングの厚さを調整することで多彩な色を出すことが出来ます。微粒子のコーティング厚を調整することが出来るようになり、メイクアップの技術は大幅に進歩しました。日焼け止め化粧品のサンスクリーン剤には、紫外線を吸収する物質も含まれています。紫外線を吸収して熱に変換します。前述した酸化チタンも、紫外線を散乱させる散乱材としての働きを持ちます
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