【「やっくん」 著者:久木弥九蔵】
今回は、最大の自己開示と言うべき長編。
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父親譲りの並外れた小柄な体格の所為か、
母譲りの並外れて真面目な気質の所為か、
意識が芽生えてから今までロクなことが
ない。幼稚園の頃クラスの女の子に面と
向かって「泣かしたろか?」と言われて、
つい頷いてしまい見事に泣かされたこと
がある。小学六年の時、三年の時の担任
の先生の家に遊びに行こう、という話に
なったが、女子の一人が、私が行くなら
行かない、と言ったために中止になった。
彼女がそう言った理由は不明だが、私に
とっては、そのことよりも、それに憤慨
した友人達に近所中連れ回され、道行く
子供達に「彼のことどう思う?」と延々
聞かれた続けたことの方が余程痛かった。
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身長は大抵クラスで一番低かった。逆に
妹は大柄(今思えば成長が早かっただけ)
だったので小柄な兄と大柄な妹と近所中
で言われた。一度だけ自分より背の低い
男子と同じクラスになった時は「あんた
より小さい子がいたんや」と母が驚いた。
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中学一年の夏休み明けに自転車で転んで
右の鎖骨を折り、その夜、入院して手術
を受けた。約一カ月間学校を休んだ所為
で二学期に著しく下がった成績の遅れは
三学期で取り戻し、何とか汚点は消した。
だが、右肩の手術の跡は死ぬまで消えぬ。
中学三年で転校し、夏休みには一年生の
問題集からやり直すという、恐らく我が
学生時代最大の猛勉強により実力をつけ、
何とか進学
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