月よ星よと、君を思うこと許されば。
某青い鳥さんで投稿させていただいたものになります。#小説が読めるハッシュタグ
#創作NL #創作BL(添える程度)
#オメガバース
「由貴さん」
「七緒くん」
そうやって寄り添っている先生と先輩の姿に、私はなぜか尊いものを見た気持ちになって拝みたいという欲を押さえ込み、手元の課題に目を落とす。夕暮れも夕暮れ。時計は18時を指そうとしていた。
家に帰りたくなくて居座る保健室には、私の従兄弟にあたる保険医の先生と、ここの卒業生で先生の恋人である先輩が居る。先輩、いつも忍び込んでるけど、なぜか私以外の生徒にはバレていない。
「今日も居んのか、瑞佳」
「……うん」
「課題は?数学か。どこが分かんねぇの」
「大丈夫だよ、せんぱい」
先輩が動く度に作業着から香る機械油の匂いには、すっかり慣れて。先生に移った煙草の香りにも慣れたものだ。
「そういえば、先生と先輩っていつからお付き合いしてるの?」
「え?」
先生の色白の頬に朱色が走る。先輩は目を瞬かせて私を見下ろしている。
「単純な疑問だから、答えなくても良いんだけど。いつか私にも先生たちみたいな恋人出来たらいいのになあって」
とん、と答えをノートに書いてペン先を打ち付けた。先生や先輩から返事はなくて。
見ちゃったんだよね。保健室の隣の仮眠室に忍び込んで眠る先輩の目元を覆ってキスしてるの。なんだか、神聖なものに見えてさ。美しかったとも言えるほどに。
「時々さ、先輩が私に牽制するじゃん。いや、私たち従兄弟だよ?だからそれ以上は何も思わないし、なんなら私もオメガだから兄さんを先輩から奪うつもりないんだよね」「は?お前、ベータって」「うん。この前、
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