よろず相談員として③
私が「自己実現」という言葉に出会ったのは大学時代でした。それまで、意識することが全くありませんでした。大学の講義で「Abraham Harold Maslow(マズロー)氏」の「欲求階層説」に出会うまでは。
大学で学び、医療福祉の実践を行ってから、このことは支援者としてはとても大切な視点であると考えています。この理論上では、人間の基本的な欲求を、ピラミッドのように並べています。ピラミッドの一番下にあるのは「生理的欲求」。つまり、生命を維時するための本能的なことです。食事、睡眠、排泄、(一部の)性的行為などです。その上にあるのが、「安全の欲求」。このことは、安全性、経済的安定性、良い健康状態の維持、良い暮らしの水準、事故の防止、保障の強固さなど、予測可能で秩序がある状態を得ようとする欲求です。この上層にあるのが、「社会的欲求と愛の欲求 」です。「生理的欲求」と「安全の欲求」が十分に満たされると、この欲求が現れるとされています。自分が社会に必要とされている、果たせる社会的役割があるという感覚。情緒的な人間関係についてや、他者に受け入れられている、どこかに所属しているという感覚。愛を求め、今や孤独・追放・拒否・無縁状態であることの痛恨をひどく感じるようになるといった感覚があります。その上層にあるのが、「承認(尊重)の欲求」です。自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求ことです。多くの支援対象者が、この段階付近におられると考えています。その根拠として、自己承認欲求が満たされないために、認知症状や精神疾患が悪化してしまった例を数多く見てきました。「誰かに認められた
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