パクチー抜いてと言えなかったから
以前、コーラだけ出されたフォー屋さんだったが、一度入った店というのは、多少汚くても安心感があるナイフとフォークナイフとフォーク コーラ事件の翌日から、私は朝と夜、そのフォー屋さんに通い続けた。コーラの反省を生かし、次は他の客が食べているものを指差しながら「フォー」と注文。「〜をください」などと、しっかり発音もできないことを言うよりも、欲しいものの名前だけ何度か繰り返せば通じるはずだ。(←完全文を練習するよりこの方が確実に欲しいものをゲットできると思う) 恐らく私の発音は、Pho, phớ, phờ, phố, phổ, phỏ・・・とにかく必死で、メチャクチャだっただろう。 "Phở"に辿りつくまでにかなりの時間を要していたと思う。 しかし、この作戦は成功し、無事私のテーブルにフォーが運ばれてきたときの感動は忘れられない。 ついでに、「Coca(コーラのこと)」も注文してみると、コーラも出てきたジュース感無量であった。 しかし、ここで大きな問題が立ちはだかる。私はそれまでパクチーというものをちゃんと食べたことがなかった。フォーのスープに浮かぶ緑の葉っぱ。細かく刻まれているのか、どれがそれだかわからなかった。初めて食べたパクチーの味は「カメムシ」の香りがした。「Không cho rau thơm(パクチー抜いてください)」 など、当時は言えなかった。私はその言葉を正確に発音することよりも、今後、いたるところで投入されるその香り爆弾を克服する道を選んだ。 あの独特の香り、風味に吐き気を覚えながらも、パクチーと友達になる努力を続けた。 最初の頃は食べ終わったフォーの丼にはたっぷりの
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