私の家庭みんな花粉症・・・
春の訪れは、いつも、私たちの家庭にとって、苦痛の始まりだった。
小さな窓を開けると、やわらかい光とともに舞い降りてくるのは、無数の、小さな敵たち。彼らは空気中を舞って回り、目、鼻、喉に侵入し、私たちの体を蝕んでいく。花粉。私たちの家族全員が、花粉症に苦しんでいる。
祖父は、一番ひどい。毎年、春の到来とともに、鼻水とくしゃみが止まらない。まるで、鼻の中に小さな滝が流れ出ているかのように。そして、その滝は、涙となって、頬を伝う。目も腫れ上がり、視界はぼやける。春の美しい景色は、かすんだフィルターを通して見えているかのようだ。
祖母は、祖父とは別の苦しみ方をする。彼女は、喉の奥に、小さな砂粒が詰まったような違和感を感じ、咳が止まらない。夜も、咳の音で目が覚める。寝苦しい夜が続き、朝を迎える頃には、喉は火照っている。春の空気は、彼女にとって、まるで砂漠の嵐のようなものだ。
父は、花粉症を軽視するタイプではない。春になると、部屋中を掃除機でくまなく掃除する。窓を開けるのは、できるだけ避ける。それでも、花粉は、どこからともなく侵入してくる。彼は、毎日のように、鼻の奥に綿棒を突っ込み、鼻詰まりに苦しむ。マスクは、彼の常備品。外に出かける時は、欠かせない。
母は、私たち家族の中で、唯一、花粉症の症状が比較的軽い。それでも、春の空気は、彼女にとっても、心地良いものではない。鼻水は、わずかながらも出る。そして、春の日は、いつも、少しだけ、憂鬱な空気に満ちている。
私は、家族の中で一番若い。まだ、花粉症の深刻さを、十分に理解していない。それでも、春になると、喉の奥が痒くなる感覚を覚える。そして、次第
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