「悩む」のをやめて、「遅い思考」で生きる痛みを解きほぐす
「生きるのが辛い」と感じることは、決してその人が「弱い」からではありません。 むしろ、複雑すぎる現代社会の構造の中で、知らず知らずのうちに「弱くさせられてしまった」というのが本当のところではないでしょうか。 心が限界を迎えているとき、私たちは自分自身の辛い状況をまっすぐ直視することすらできなくなります。どうしてこんなに苦しいのか、その理由さえ分からなくなるものです。 それもそのはずで、「生きるのが辛い」という状態は、個人の心の持ちようなどではなく、人間の認知能力の限界を超えるほど複雑な現象だからです。 ここで混同してはならないのは、「考えている」ことと「悩んでいる」ことはイコールではないという点です。 心理学者のダニエル・カーネマンは、人間の思考には2つのシステムがあると提唱しました。 ひとつは、脳の扁桃体から発信されるような、直感的でバイアスに支配されやすい「早い思考」。 もうひとつは、前頭葉を使い、数学の難問を解くときのように理性的にアプローチする「遅い思考」です。 私たちが「どうして辛いのだろう」とぐるぐる思い悩んでいるとき、脳は「早い思考」の渦に呑み込まれ、ただ感情に圧倒されているだけなのかもしれません。 本当に必要なのは、一歩立ち止まって「遅い思考」を起動させ、理性の力で問題を整理することなのです。 例えば、「なぜ日本の景気が良くないのか」という社会全体の大きな問題なら、私たちは客観的に語ることができます。しかし、自分自身の人生という混沌とした問題になると、途端に全体像が見えなくなってしまいます。 だからこそ、絡まった糸を一度に解こうと焦る必要はありません。 大切な
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