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気づくと、隣にいてほしいと思っている。

陽菜が卵焼きを口に運ぶ。「おいしい」小さく笑う。凪は少し肩の力が抜ける。「ほんと?」「うん」陽菜はもう一口食べる。それだけなのに、凪は少し嬉しくなる。なんでだろう。自分でもわからない。ただ、胸の奥が少し温かい。陽菜は気づいていない。普通にお弁当を食べている。それなのに、凪の視線は何度も陽菜へ向いてしまう。横顔。髪が風で揺れる。時々笑う。本当に、ただそれだけ。なのに。凪は思う。悠真の時は、こんな感じじゃなかった。好きだった。それは確か。でも、もっとわかりやすかった。会えると嬉しい。話せると嬉しい。そんな感じだった。でも今は違う。気づくと見ている。気づくと考えている。気づくと、隣にいてほしいと思っている。陽菜がふと顔を上げる。目が合う。凪は慌てて視線を逸らした。「なに?」陽菜が少し笑う。「えっ」凪の顔が熱くなる。「な、なんでもない」陽菜は不思議そうに首を傾げる。それから少し考えて、ぽつりと言った。「凪ってさ」凪の心臓が跳ねる。「最近、前より笑うよね」風が吹く。木々が揺れる。凪は返事ができなかった。陽菜は続ける。「前はもっと」少し考える。「頑張ってる感じだった」胸が揺れる。図星だった。でも、その言葉が嫌じゃない。むしろ、見つけてもらえた気がした。凪は陽菜を見る。陽菜は普通に笑っている。その笑顔を見ながら、凪はまた思う。私は、陽菜の何に惹かれているんだろう。そして初めて、別の問いが浮かんだ。私は、陽菜にどう見られたいんだろう。その問いに、自分自身が少し驚いていた。
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私は、陽菜に好きだと思われたいのかな

陽菜の言葉が、凪の胸の奥に残っていた。「最近、前より笑うよね」その一言。たぶん、何気なく言っただけ。でも、凪にとっては違った。今まで、いろんな人に言われてきた。優しいね。真面目だね。しっかりしてるね。でも、"笑うようになった"と言われたことは、あまりなかった。それはつまり、陽菜が見ていたのは、"頑張っている私"じゃなくて、もっと別の私だったのかもしれない。風が吹く。木々が揺れる。陽菜は、お弁当箱を閉じながら言った。「ねえ」凪が顔を上げる。「凪ってさ」また心臓が少し跳ねる。陽菜は少し考える。「昔からそうだったの?」「え?」「なんか」陽菜が笑う。「人のことばっかり気にするの」凪は言葉に詰まる。図星だった。気づけば、いつもそうだった。誰かが怒っていないか。誰かが傷ついていないか。誰かが困っていないか。そればかり見ていた。そして、自分のことは後回しだった。「……たぶん」小さく答える。陽菜は頷く。否定しない。笑わない。ただ聞いている。昔なら、ここで何か説明していたかもしれない。大丈夫だよ。そんなことないよ。そう言われるのを待っていたかもしれない。陽菜は、凪を変えようとしない。ただ、見ている。その静けさが、なぜか心地いい。しばらく沈黙。でも、もう苦しくない。陽菜が空を見上げる。「私ね」ぽつりと言う。「凪が無理してる時、なんとなくわかる」凪の胸が揺れる。「だから」少しだけ笑う。「今のほうが好きかも」風が止まる。世界の音が、少し遠くなる。凪は返事ができなかった。"今のほうが好き"その言葉が、胸の奥で何度も繰り返される。嬉しい。なぜだろう。陽菜にそう言われることが、こんなに嬉しい理由をまだ説明で
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