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あの一杯が、今日の私を立て直してくれた

―― 寒い季節に連れて行ってくれる、小さな幸せこのところ、寒い日がつづいていますね。あっという間に、ダウンコートが手放せなくなりました。そんなとき、ふっと恋しくなるのがラーメン。昨日の夜も、冷たい風に背中を押されるようにして、いつものラーメン屋さんへ向かいました。そのお店は、魚介ベースのあっさり醤油ラーメンが看板。もう、年齢も年齢でございまして――ボリュームどーん!油どーん!チャーシューどーん!という一杯は、食べたい気持ちはあっても、もう体がついていかなくなっております。だからこそ、「おかえり」と言ってくれるような、やさしい味のこのラーメン屋さんは、今の私にとってありがたい場所です。昨日は、シンプルな醤油ラーメンを注文しました。煮干しの出汁がしっかり効いた、透き通るようなスープ。ひと口飲むと、甘みと深いコクがふわっと広がり、醤油の香りが後からすっと追いかけてくる――そのバランスが本当に絶妙なんです。中太のちぢれ麺は、そのスープをよくつかまえて、ひとすくいごとに幸せが増えていく感じ。チャーシューも脂っこすぎず、かといってパサパサでもなく、ほうれん草の青み、メンマの歯ざわりもすべてが「ちょうどいい」。食べ終わった瞬間に訪れる、あのふーーーっ……と胸の奥からほどけていくような時間。そして、自然とお店を出るときに、「…おいしかった」と声に出していた自分に気づきました。誰に向けたわけでもない、小さな独り言。でも、あの一言が、その夜どれほど満たされていたかを物語っていました。その日、どんな嫌なことがあっても、どれだけ不安があっても、一杯のラーメンが、人を幸せの頂点まで連れていく。ラーメンっ
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ああ、そうなりましたか──シナリオ通りの旅

夜の帳がゆっくり降りて、カップの中のハーブティーから、静かな湯気が立ちのぼっていました。窓の外には、小さな雨粒が、淡々とガラスを打っています。「ねえ奈央さん」向かいに座る友人が、少し眉を寄せて言いました。「どうして、私の人生ってこうなんだろう。もっと頑張らなきゃって思うのに、空回りばかりで…」私は、カップをそっとテーブルに戻し、少し間をおいて答えました。「それは、もしかしたら、あなたが生まれる前に書いたシナリオ通りなのかもしれないわ」友人は首をかしげます。「シナリオ?」「うん。生まれる前に、どんな出会いをして、どんな出来事を経験して、いつ笑って、いつ泣くのか…ぜんぶ、自分で決めてきたっていう考え方があるの。だから、いま目の前で起きていることも、全部“予定通り”」「予定通り…?」「そう。もしそうだとしたら、無理に変えようとして、気に入らないって言い続けるより、ただこう言ってみるの。『ああ、そうなりましたか』って」窓の外の雨が、静かに強さを増していきます。「受け容れるとね、不思議と心が軽くなるのよ。努力目標や達成目標を立てるのが好きなら立ててもいいけど、“必ず”って縛る必要はないの。頼まれごとが来たら、ただそれをする──それで充分」友人は少し笑いました。「じゃあ、今の私の空回りも…?」「ええ、ちゃんとシナリオに書いてある出来事。ほら、雨もちゃんと降るべき日に降っているでしょう?」二人で笑ったその瞬間、部屋の空気が、ふわりと柔らかくほどけていきました。
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天津飯が教えてくれた、「自分のために作る」ということ

占い師・理科準備室の博の、あたたかいレシピの話仕事でくたくたの日は、家でご飯を作るのがしんどい。そんなとき、最近の私の定番は天津飯だ。以前の私は、「天津飯なんて、中華屋さんで食べればいいじゃない」と思っていた。あのふわふわの卵に、野菜たっぷりの餡。どう考えても手間がかかりそうで、自分で作ろうなんて思わなかった。喫茶店を手伝っていた頃、友達がお昼のまかないに天津飯を作ってくれることがあった。白いご飯の上にふわりとのった卵。その上には、その日の残り野菜――きのこ、はくさい、にんじん、時々ピーマン。優しい餡がとろりとからんで、卵の中には小さなかにかまも隠れていた。驚くほどあたたかい味だった。その友達が喫茶店を閉めるとき、「はくちゃん、自分の食べるものは、自分で作らなきゃだめだよ」と一冊の大学ノートを渡してくれた。中には、毎日作ってくれていたまかない料理が、かわいいイラストと一緒に書き込まれていた。久しぶりにキッチンに立ち、ノートを開いて天津飯に挑戦してみた。すると――思っていたより行程が少ない。20分もかからずに出来上がってしまった。味はもちろん、彼女のレシピのおかげで大成功。一緒に食べた息子が「ママ、おいしい!やればできるんだね」と言った瞬間、“今までどれだけ微妙なものを作っていたのか”と思わず笑ってしまった。私は、新しいことを前にするとすぐ身構えてしまう癖がある。「難しそう」「大変そう」と決めつけてしまう。でも天津飯は教えてくれた。やってみると案外、すぐできることは多いのだ、と。それ以来、しんどい日ほど天津飯を作るようになった。残り野菜と卵とかにかまさえあればいい。鍋の中で餡がと
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